4.寄せ波
声が大きいから
という理由で
選ばれた集会係。
赤浦夏生と一緒。
運動会で思わぬハプニングが起きる。
小6になって
集会係 を赤浦夏生と一緒に任された。
集会係は
毎週月曜の朝の全校集会を始め
他に生徒が集められる時に
体育館内に整列をさせたり
声がけをして静かにさせるといった
業務。
私と赤浦夏生は声が大きいから、という理由で
選ばれた。
拡声器を学校で貸してくれるので
大きな声で怒鳴らなくてもいいけれど
学年以外の人に声をかけるなんて大役
私に務まるのかな、と不安だった。
彼はその役を淡々とこなしていき
注目を集めていた。
私も最初は緊張していたけど
少しずつ慣れていき
集会が楽しみになってきた。
一緒に係ができる
それだけでうれしかった。
小6の運動会
集会係で認知されてきていたので
点呼係を任命された。
運動会の種目2つ前になったら
種目に出る人たちの点呼をする。
種目に出る学年、メンバーの確認
種目に出ない人たちと一緒に待機
(特に低学年)
応援を促したり
トイレに行ったりして席を外した生徒の把握など
かなり気が回る。
種目の進行も気にかけなくてはいけないし
入場門と待機場所の往復で足がかなり疲れた。
拡声器があっても
声を張り上げなければ
運動会のBGMにかき消されてしまう。
必死になって拡声器で声を出していた。
種目が終わるまでの間、座っていて
次の点呼のために待機していた
小1,2年の生徒たちにこう聞かれた。
「お兄さんとお姉さんは
恋人同士なの?」
・・・へ?
は? はあっ?!
こいびとどうし・・・???
疲れて頭が回っていなくて
一瞬何を言っているだろうと
思っていたけど
復唱して気づく。
恋人同士?!
「そっ そんなんじゃ・・・」
赤浦夏生と私の声がかぶる。
二人で顔を見合わせて驚く。
「あ、もう種目が次だよ、入場門へ行こうね?」
と
生徒を促すことになり
なんとなくお茶を濁したような感じになって
アタフタと点呼に戻っていった。
運動会が終わって
二人共声はガラガラ。
「おーわったぁ ~ ~」
「つかれた~」
小1,2年生が言った
恋人同士 の言葉は
疲労感と共にどこかへ消えていた。
小さい子供は
なぜか一緒にいて
親しく話をしているだけで
恋人と呼ぶのでしょうか・・・