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3.波間
夏休みの夕方
ロードバイクを走らせる青年に出会う
瞳が感じるものとは
小5の夏休み。
広場から家への帰り道。
ロードバイクが前から迫ってきた。
青いバッグが自転車のハンドルに
取り付けられているのが見えた。
学生のような男性?
その瞬間
私の眼の前を
鮮やかに走り去っていった。
あっと言う間だった。
ひたすら足を回し
ケイデンスを上げていく。
脇目もふらずに走っていく
その姿は、自転車競技の選手のようだった。
夕暮れ間近に一瞬の風が吹き抜けていく。
いいな・・・私もあんなふうに
何かに一生懸命になれる時があったら・・・。
数年後、この青年と再会するとは
この時はまだ何も知らなかった。
数年後
この青年と再び出会うなんて
この時 まったく思いもしていなかったそうです。
この時は ひたすら道を
自転車で走ってばかりいたのだとか。