表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
線香花火または打ち上げ花火、もしくは  作者: きなこともちお
4/18

私はこれから同期の山本の親戚の集まりに行く。

改めて考えると、色んなことがおかしい気がする。でも、疲れてるし、ちょっといい休日ってことにしておこう。


「山里、準備できた?」


コンビニで下着など着替えを買い揃えている私を、入口で待つ山本。その手には350のビール缶が4本入っている。他にも私の好きなおつまみである、クラッカーとオリーブも入ってる。いつも居酒屋で頼むのがバレているようだ。


「うん、大丈夫。お待たせしました。」


「大丈夫待ってないよ。必要なものは揃ったね。」


さらっと車道側を歩いてくれる山本は十分に出来た男だろう。どうやらホテルまでの電車も用意してくれたみたいだし。


「さっき行くって決めたのに、電車とか急ぎで用意してもらって本当にごめんね。」


「いや、どちらかというと、いきなり誘ってるこっちが悪いからさ。気にしないでいいよ。」


そう言ってくれた言葉を信じて、甘えることにした。電車の中ではお互いに疲れていたのか、一時間丸々爆睡してしまった。


「山里、起きれる?そろそろ着きそう。」


優しく揺さぶられて、意識が浮上する。まだ若干ふわふわしているが、荷物を多少持ってくれてなんとか電車を降りることができた。


「ごめん、疲れてたみたい。すっごい寝ちゃってた。」


持ってくれていた荷物を受け取りながら、ホテルまでのタクシーを待つ。どうやら次の日が休日であるが故に、かなり出払ってしまっているようだった。


「タクシーまだ来ないみたいなんだけど、って起きてる?」


「あ、だいじょぶ。起きてる。」


さらっと荷物を持ってくれていることに気がついて、慌てて自分で持つと伝える。


「あ、気にしないで。もうすぐ一台来れるって連絡取れたから。荷物の代わりってわけじゃないけど、ペットボトル一本買ってきてもらえないかな。あとで、お金渡すから。」


「もちろん!」


少し小走りになりながら、近くの自販機を探す。目の前に来て、何味を買えば良いのかわからなくなり、一度山本の元に戻る。


「ごめん、何飲みたい?」


戻ってくると思わなかったのか、驚きながらも私の好きなものでいいと言われる。再び自販機を目の前にして、私は無糖の紅茶を買った。


「丁度タクシー来たよ。乗ろうか。」


そこから30分ほど揺られてホテルに着いた。時刻は22時を過ぎている。


「ねぇ、山本。もしかして私場違いだったりしない?」


助けるなんて大義を掲げたつもりでいたが、冷静に考えてみるとなかなかにすごいことをしている気がする。だって全く知らない家族の集まりに行くなんて。


「大丈夫。宴会自体はもう御開になってるし、酔っ払ってる人たちは温泉とか行かないから。っていうか、部屋に露天風呂あるし。」


お、おう。そうなのか。だったら顔合わせることもないだろうし、大丈夫か…?

部屋の鍵を渡されて二人でエレベーターに乗る。

もしかして、私山本と二人で一部屋ってこと…。

やば、私お嫁に行く前の女なんだけど。じいちゃんに怒られちゃうかも。言わなければバレない…!?


「そ、そっか。それじゃあ、私達ご飯どうしよう。会社出てから何も食べてないよね。」


「荷物おいたら、外に食べに行く?近くにいつものチェーン店あるし。」


上着をかけながら山本に提案され、お財布事情を確認する。今日なら少し散財しても問題なさそう。ここまでの交通費とか出してもらってるから、ここくらい出さないと。


「行く!でも、ここは私に奢らせて。気にしないで沢山食べたり、飲んだりしていいからね。」


ミニバッグと財布、家の鍵、スマホを持って部屋を出る。すると向かうの部屋から一人の女性が出てきた。


「あら、夏向。その方が噂の?」


噂?私何かやらかしてたっけ。この前先輩のボールペン勝手に使ったから?間違えてお弁当空っぽのまま持ってきたから?


「ちょっと、夏向。その子頭にはてな浮かべてるけど。」






姉さんは意地悪だな。


「ごめん、山里。紹介しよう、この人は俺の姉、佳織。見た感じあんまり出来上がってないから、まだまともに話せると思う。」


「ちょっと実の姉になんてこと言うのよ。」


だってあんたはこいつにちょっかい出しに来ただけだろ。なんてことない顔してるけど。

そろそろ山里の意識を引きたい。


「山里?ビビらなくて大丈夫。悪いところはないから、この人。良いところもないけど。」





「ちょっと山本、お姉さんにそんなこと言っちゃだめだよ。」


こんなに綺麗な人始めて見たし、加えてスタイル良すぎ。見惚れちゃう。

美しいお姉さんだな。


「あら、よく見たら貴女可愛らしいお顔してるじゃない。もっと見せてくれない?」


え、顔近っ。毛穴ないんじゃない、この人。肌綺麗すぎる。っていうか直視するの辛い。顎掴まれてるから離れられないけど。


「おい、離れろよ。困ってるだろ山里が。」


いきなり肩を引かれ、お姉さんと離れる。何か山本怒ってない?ちょっと掴む力強い気がする。


「大丈夫だよ。お姉さんが綺麗すぎて見惚れちゃってただけだから。本当にお綺麗ですね。」


その肌に触れてみたいと思って手を伸ばす。逸らされることなくまっすぐに進んだその手は美しい肌に届いた。


「うわ。」


思わず声に出てしまい、はっとなって口を抑えるが時すでに遅し。お姉さんがこちらを見ている。


「そんなに私に触ってみたかったの?可愛い子ね。」


「す、すみません。思わず…。失礼でしたよね。いきなり触るなんて。」


初対面で失礼なことをしてしまった。嫌われたりしてないかな。

そろっとお姉さんの目を見る。


「大丈夫よ。そんなに私に興味もってくれているなら、この後部屋来るかしら?」



次回


いちゃいちゃ、ぬるぬる


ふわふわ、もちもち


起こります

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ