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線香花火または打ち上げ花火、もしくは  作者: きなこともちお
15/18

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おはようございます。山里起きました。

どうやら昨日は酷い潰れ方をしたようで、一ノ瀬が家まで送ってくれたみたいです。二日酔いは軽い方ですが、流石にあれほど飲めば避けられませんでした。


「一ノ瀬、昨日のことなんだけど。」


直接謝ろうと声をかけるけど、大丈夫ですからと何となく躱される。山本も連絡はくれたけど、出社してから一回も話してないし、私何かしたか!?


「山本、お昼のお店私が選んでもいいかな?」


私が選べば、必然的に会話が生まれると踏んで話しかけたが、


「店ならもう予約してある。声かけたの俺だしな、気にすんな。」


そうですか。そうですよね、いつもスマートな君はそうしてくれますよね。

ため息が止まらない。誰か止めてくれ。


「大丈夫?昨日メッセージ送ったんだけど返事がなかったから。どうしたのかと思ったらため息なんてついて。」


「あ、廣。」


思わず名前で呼んじゃったけどまずいよね、ここ職場だし。慌てて言い直したけど遅かった。周りからの視線が痛い。


「ごめん、短期だもんね。何も起こさないようにちゃんと名字で呼びます。」


小さくなりながらそう答えると、大丈夫だと微笑んでくれた。あぁ、私達に余裕があればこうやって互いに許し合って行けたのかもしれない。たらればが一つ零れた。


「晴夏、この後のことなんだけど、」


そう廣が話し始めた時、後ろから肩を引かれた。


「すみません、こいつ借りても大丈夫ですか?仕事の打ち合わせがあるので。」


「山本!?ごめん、約束してたっけ。」


いきなり引かれてうまく立てなかった私を山本は腰に手を当てて支えてくれた。流石できる男。


「そうですか。僕は急ぎではないので、また後で。晴夏さん、後で連絡しますね。」


「わ、かりました。後で。」


そう言って別れた後、何故か少し険しい顔をした山本と仕事に取り組んだ。





「あれって、牽制のつもりですか。先輩。」


「うるさいな。仕方ないだろ。」


小学生じゃないんだから、もっと大人にできないのか。この人は無理だろうけど。

どうも一ノ瀬です。好きな子を取られたくない男たちを目の当たりにして、乾いた笑いしか出ません。でも、取り返せたのが嬉しいのか仕事はいつも以上に早く進むのでありがたいですけど。


「今日早めに上がれそうですね。ご飯とか行きます?晴夏先輩も誘って。」


最後に晴夏先輩の名前を出せば簡単に釣れるんだからこの人は。ほら、良いお店探し始めたし。ちょろすぎる。


「先輩に声かけてきます。」


渡す書類をまとめて席を立つ。朝から避けてしまった謝罪もしたい。別にこれといって原因があるわけではないが、なんだか気まずかった。

どうしてだろう。どうして寝る直前に聞こえたあの名前が忘れられないんだろう。


「あきと・・・。」


思わず口にしてしまい、はっと口を押さえる。


「どうしたの?気分悪い?」


近くにいた同期に声をかけられる。よかった晴夏先輩じゃなくて。


「大丈夫。そういえばさ、山里先輩ってどこにいらっしゃるか分かる?」


あまり探られないように話題を変え、先輩の居場所を突き止める。


「晴夏先輩、これリーダーからです。あと、今日はすみませんでした。ちょっと考え事してて。本当にすみませんでした。」


少し早口になりながら何とか言いたいことを全て伝える。何だか恥ずかしくなってきてその場を去ろうとすると、腕を掴まれた。


「待って。もしかしたら何だけどさ。私昨日何かした?」


どうしてこういうときだけ勘が鋭いんだろう。でも、もやもやしたままでいるのは嫌。


「あきとって誰ですか?」


先輩が息を飲むのが分かった。一線を超えてしまったのかもしれない。


「私言った?その名前。」


「はい。聞いてもいいですか?」


その人は誰なのか。先輩とどういう関係なのか。







’馬鹿だなぁ。晴夏も俺のことなんて忘れればよかったのに。’

暁斗は晴夏の高校時代の元彼です


暁の星


<業務連絡始>


どーもどーも


世界は確定申告


暁の明星と迷いました


一ノ瀬のお話はもうちょいあとになりそうです


お元気です


<業務連絡終>


忘れられない人っている


それは当たり前すぎて消えない


それは忘れたくないから大事に抱えてる


それは手を離してくれないくらい強く引かれてる

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