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線香花火または打ち上げ花火、もしくは  作者: きなこともちお
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「晴夏先輩、大丈夫ですか?かなり飲まれてますけど。」


優しくゆすり声をかける。完全に飲まれている状態の先輩はふわふわしてて物凄く破壊力があるから、とりあえず店の外に出たい。


「先輩、荷物私が持ちますから、今日は帰りましょう。」


耳元で小さく話すと、こくこく動く頭を確認して上司への報告を済ませ先輩と店を出る。飲み始める前に、約束したこと多分覚えてないよな。この状態じゃ。


「先輩、大丈夫ですか。お家まで送りますよ。」


一度行ったくらいで覚えてしまった先輩の家。流石に覚えていないからと言って泊まるのはよろしくない。寝室に向かったことを確認したら帰ろう。


「先輩、晴夏先輩。大丈夫ですか、お家着きましたよ。歩けますか?」


ぼそぼそと何かを言っているように聞こえるが、詳細が分からない。でも、眠いのは確定だろうし布団まで運ぼう。


「お布団着きましたよ。上着だけハンガーにかけておきますからね。本当に大丈夫ですか?」


ここまで応答が弱いと心配が募る。返事があるまで声をかけ続けるかと決めて、上着を脱いでそこら辺に置く。


「先輩、大丈夫ですかー。ベッド上がれますか?私の力では上げられませんので、ご自身で上がってくださーい。起きてますかー。気分悪くないですかー。」


こんな感じで十数分声をかけてたけど、どんどん眠そうになっていくのが分かった私は何とか布団を下ろしてそこに先輩を寝かした。


「失礼しました。私は帰りますので。お疲れ様です。」


もう寝てるし多分聞こえてない。でも、先輩が私に頼ってくれている気がして優越感を感じることができて十分に満足。上着を着て、寝室を出ようとしたとき裾を引かれた。何かと思って慌てて振り返ると、


「ん?泊まっていいよ。」


は、え?起きてる?

パニックになっている私のことなどつゆ知らず、先輩はむくっと起き上がり布団を整え始めた。


「ほら、一緒に寝よう。明日一緒に行けば間に合うでしょ?」


いや、まぁ。そうですけども。え?どうして?なにが?どうやって?


「ほら、おいでって。一人じゃ寒いから。」


上着を剥がされ布団に連れ込まれた。もしかして夢だったりする?なら、目が覚めたら分かるからそれまでは。


「おやすみなさい。」


私もかなり疲れていたみたいで最後まで言葉を言えているかなんて分からないほどすぐに眠りに落ちた。



「うん、暁斗。おやすみ。」









はぁ、俺は何をやっているんだ。俺と二人で飲むときと同じくらいのスピードで飲み始めた山里は案の定潰れた。隣が一ノ瀬だから、知らないやつに介抱されることはないと安心しすぎていた。気づけば二人共いなくなってるし、山里の元彼には宣戦布告されるし。


「はぁ。」


「山本くん大丈夫?もしかして沢山飲みすぎた?」


そう声をかけてくるのは、デスクの花と呼ばれている女性社員だった。同期や後輩、先輩までもが彼女に好意を寄せているらしい。俺には彼女に惹かれたことが一度もないからその良さを理解することはできないのだが。


「大丈夫です。俺、明日も早いので早めに抜けても大丈夫ですかね?」


一応先輩であるし、ここの予約なども彼女がやってくれているため、確認をしてみる。すると、机の下から手を伸ばし足におかれる。


「それならさ、私と抜けない?課長たちのタクシーはもう用意してあるから、あとは電話かけるだけだし。2次会にはどちらにしろ行かないつもりだったから。」


「すみません。俺、明日朝が早いので。失礼します。」


手をそっとずらし、荷物を持って店を出る。できる限り自然に逃げたつもりだから、明日会社で噂になるなんてことも多分ない。

はぁ、こんなことなら山里の近くにいればよかった。






”おはよう。昨日早めに帰ったみたいだったけど、大丈夫?改めて今日からよろしく。昔のことは気にしなくていいから、とりあえずはいい仕事にしよう。”



”昨日頼んだ資料の確認をしたい。お昼ごはんを一緒に行かないか?”




”先輩、昨日はすみませんでした。鍵は郵便受けに入れておきました。”




`まだ、俺のこと覚えてたんだ。`


暁斗 あきと

えぇぇぇぇっと、人です

少しだけ出てきます


お初の山本サイド


山本には山里に告白できる勇気はあると思ってる


度胸は分からないけど

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