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線香花火または打ち上げ花火、もしくは  作者: きなこともちお
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12

元彼とは、三ヶ月の付き合いだった。出会いは知人の紹介での食事会。仲介をした知人が計って私達を二人きりにして、気まずかったのが初めて会ったときの記憶。


「あの、すみません。あいつが、勝手にやったことなので気にしないでください。」


「大丈夫ですよ。あの子も悪気があってやったことではないと思うので。」


そんな感じで美味しいのかよく分からなくなってしまったワインに口をつける。運ばれてくる食事は本来三人で食べるはずだった量のため、食べきるのがすごく大変だった。

それでも何とか食べ終わったあと、彼は私を家まで送ってくれた。


「すみません、家まで送ってもらって。私、少し遠いのでここから帰ると遅くなっちゃいますよね。」


「大丈夫ですよ。それよりも女性をこの時間に一人で歩かせる方が問題ですから。」


その日の最後の印象は、紳士な人。だった。

次の日、食事を計った知人に質問攻めにあったが、特に進展がなかったことを知ると彼との関わりは薄くなっていった。

私の中でも、巻き込まれてしまっただけの人、という認識のまま薄っすらと覚えている人になっていた。

しかしある日、彼から食事のお誘いがくる。連絡先を交換した覚えがない事を伝えると、どうやら知人に教えてもらったようだった。


「お久しぶりです。お元気ですか?」


「はい、私は健康に過ごしてますよ。堤下さんもお元気そうで、よかったです。」


まるで数年ぶりの再会みたいな会話をしているが、実際には2ヶ月しか空いていない。仕事でも、プライベートでも、どちらでも交流のない人との関係の作り方がいまいち分からない私は、少し覚束ない返答をしていた。


「山里さん、面白い方ですね。」


褒め言葉の面白いは、気を使っている言葉だと今日テレビでやってた・・・。もしかして気を使わせているのかもしれない・・・。


「無理に褒めていただかなくても大丈夫ですよ。すみません、うまく話せなくて。少し緊張してまして。」


そりゃ緊張するよね、2ヶ月ぶりに一回しか会ったこと無い人とご飯行くんだもん。何話したら良いか分からないし、何なら食の好みすら知らないし。ドキドキしながら今もご飯食べてる。


「そんな、気負わないでください。僕はもう一度山里さんとお話してみたかっただけなんで。」


そうなんだ。話してみたかっただけなんだ。ならば別にご飯を食べなくても、カフェとかでよかったのでは。異性との交流はあるけど、このタイプは初めてだから少し戸惑ってる。


「嬉しいです。ありがとうございます。お店まで予約してもらって。」


「気にしないでください。それに、僕たち年齢も近いですし、敬語とかやめませんか?」


あれ、堤下さん何歳だっけ。同い年じゃないってことしか覚えてない。


「そうですね。堤下さんおいくつでしたっけ?」


「僕は、山里さんの1個上ですよ。って僕が敬語やめないと話しにくいよね。」


すごい自然に敬語を取り払っていった。私も頑張って敬語にしてみないと。


「いえ、大丈夫。です。」


「難しいか。気にしないで、できるときで大丈夫だから。」


ありがとうございます、と何度か伝えると堤下さんの顔から力が抜けていく感じが見えた。あれ、もしかして堤下さんも緊張してたのかな。


「飲み物も届いたことだし、乾杯しようか。」


「そうですね。」


結局その日は緊張が最後まで完全に抜けることはなく、敬語は取れなかった。

でも、その後も交流は続き連絡も多く交わすことが増えた。その中で呼び方も名字から名前呼びになり、私の敬語も消えていく。

そしてある日。


「晴夏。話があるんだ。」


「改めてどうしたの?」


大きいプロジェクトが終わった打ち上げ後、廣が二人で祝おうと家に呼ばれた。このために用意してくれたというお酒をグラスに注ぎながら廣は真剣なトーンで話し始める。


「僕は晴夏と過ごしている時間がとても楽しくて、落ち着くんだ。」


「私も廣と楽しい時間を過ごしてるって思ってる。」


グラスの置かれたテーブルの前のソファーに、腕を引かれ二人共腰を下ろす。


「僕と、お付き合いしてくれませんか。」


この言葉にとぼけて返せるほど私は若くない。それに、この言葉を意識してなかったわけでもない。

だけど、無くても構わないと思える距離だった。


「はい。よろしくお願いします。」


そう答えると、廣はソファーの背もたれに身体を預け顔を手で覆う。大きく息を吐くのが左から聞こえてくる。


「よかった。すごく緊張したよ。」


「どうして?今更断られると思ってたの?」


学生時代にあった、’お友達’という括りを作りにくい年齢にしてしまった自分が少し恥ずかしかった。きっと彼は私がお友達と言う事を恐れていたのだろう。


「晴夏から見たら、僕は数多の男の一人だから。その中で特別になれるか、なんて自信ないよ。だって、君は物凄く魅力的だからね。」


「魅力的?どこが。」


そんな魅力なんて、私にあるのか?特にこれといった覚えはなかった。昔に一度だけ、「晴夏ちゃんって一緒にいたいなって思わせてくれるよね。」言われたことを思い出したけど、あれは小学生の頃に年上の男の子から言われた気がする。


「おーい、晴夏?聞いてる?」


「あ、ごめん。昔のこと思い出してた。」


「晴夏の昔の話あんまり聞いたことないな。僕聞いてもいいかな?」


「小学生のころのことなんだけど」


そうやって始まった廣との交際は順調だった。

だけど、まだ若い分類の私達には至らない点も多くて、お互いにいっぱいいっぱいの時は喧嘩もしてた。

いつからか、他にいい人がいるのではと思うようになった。



「晴夏、僕たち別れようか。」


「そうだね、廣といるのは楽しかったよ。でも、私じゃ廣を支えられない。」


私達が別れたタイミングは、廣の海外転勤のときだった。









ほう、あいつが帰ってきたか。

<業務連絡>

ここから更新が遅くなります

でも更新は続けます

やめません


よろしくお願いします

<業務連絡終>


彼氏っていたことないけど


いたらどうなるんだろう


余裕がある人って、いいよね

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