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線香花火または打ち上げ花火、もしくは  作者: きなこともちお
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はじめまして、真名の兄の真琴と言います。どうやら、妹のことを誑かしてる輩がいるっぽいので、とっちめにやってきました。現在出社前であろう妹の家の前にいます。一人暮らしをするときに、作った合鍵を握りしめてここまできました。

鍵を差し込むと、鍵はかちりと音を立てて解除されました。そっと開けると、中に妹はいませんでした。

どういうことでしょう。


「で、俺のところに来たってことか。」


こいつは大学の同期だった、弘樹。たまたま今日は休みだったみたいなので、呼び出しました。


「だって、おかしいだろ!なんで嫁入り前の女の子が朝自宅にいないんだよ!!」


「良いだろ別に。もう法律を自分で守る年齢なんだし。それに、彼氏がいるかもしれないのに邪魔しているようなもんだろ。お前は行動を考え直すべきだ。」


こいつに俺の心配や苛立ちは伝わらないようです。俺はただ、あいつの周りにいるやつが、どんなやつか知りたいだけなのですが。


「つーか、お前真名ちゃんに許可とったのかよその鍵。どうせまた勝手に作ったんだろうけど。」


眼の前でため息をつくなよ。明らかに俺が悪いみたいじゃないか。はぁ。


「いや、お前が悪いからな。」


「どうして、考えていることが分かった!?」


「声抑えろって。」


いきなり口を手で塞いできました。もういいです。こいつに話が通じないみたいだし。その心を読む能力、俺も欲しかった。


「お前ってやっぱり面倒くさいやつだよな。」


「なんだか、あたりがきつくないか今日。いつものメンバーでいるときよりも、言葉がきつい気がしている。」


気の所為だー、とはぐらかされました。


「お前、どうせ今日暇だろ。俺の家来いよ。良いのが手に入ったんだ。」


ちなみに、弘樹の言う良いのというのは、プラモデルのこと。小さい頃からアニメや漫画を好んでいた俺たちは大学で出会ったときから意気投合し、卒業して社会人になった今でもこうやって交流がある。


「行く。」





こんばんは、一ノ瀬です。一日ぶりに家に帰ってきたら、どうやら嵐が過ぎ去っていったようでした。

絶対あの馬鹿兄貴だ。手つかずでだったはずの果物は丁寧に皮まで向かれて冷蔵庫に入ってるし、干しっぱなしだった洗濯物は畳んでしまってある。最近洗ってなかったシーツとか枕カバーまで、ご丁寧に洗濯とベットメイキングがされていた。

はぁ、私の家来たってことだよね。しかも勝手に合鍵まで作って。

さっきまで先輩といた会社に戻りたい。先輩に癒やされたい。

というか、流石にまずい気がするからこれは本気で誰かに相談しないといけない気がする。


「もしもし、先輩。今週末ってお時間ありますか?兄のことで相談したくて。」






今日、出社すると珍しい光景があった。いつも通り山本と対面のデスクに座ると先に来ているはずの山本の姿が眼の前に見えず、奥のカフェルームで朝から何か話し込んでいる後ろ姿があった。

影からして、話をしているのは一ノ瀬?この前結局は酔っ払っちゃったから、本当に話したいこと相談できなかったのかな・・・。

申し訳ないことをした・・・。

でも、山本に話せたならそれでよし!


「山里さん、さっきこの方から連絡ありました。」


伝言メモを受け取り、送り主を見る。


「はぁっ!?」


そこにあったのは、一ヶ月前に別れた彼氏だったやつの名前だった。


”堤下廣様より、先日のプロジェクトの引き継ぎについてのお電話がありました。”


一ノ瀬 真琴 いちのせ まこと

真名の兄

少しやばいやつ


弘樹 ひろき

真琴の大学の同期


堤下廣 つつみした ひろ

山里の元彼

ただの普通の人


元彼って案外普通の人だったりする

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