18-3.同。~空の脅威を迎撃する~
~~~~こないだは勢いで変な話をし過ぎた。ちょっと反省している。
…………すみませんごめんなさい調子に乗りました。
本気でずっとガン見されて、ボクは茹だってもう限界だった。
適当に名目をつけ、街道脇に停車。少し休ませていただくことにした。
そろそろお昼だしね。ちょうどよかろ。
ミスティのクルマも、寄ってきて止まる。
ボクは背面扉を開けて……名残り惜しいが、大変名残惜しいが、ストックの手を離し。
外に出て、テーブルや食料の準備を始めた。
ちょっとふらふらしている。
ストック分を補給しすぎた。
「大丈夫かおぬし……」
「お昼、ですよね?」
「うん。おひるごはん」
茹だっているボクを見て、察しているような顔をされている。
というか出てこないストックの方を見て、あー……と言っている。
そしてクルマの方に戻っていく。自分らもお昼の準備か。そうしておくれ。
そのとき。
「みんな、クルマに戻れ!魔物だ!」
なかなか出てこなかった、ストックが叫んだ。
二人は自分たちの神器車に素早く戻る。
ボクは出しかけのテーブルやらを急いでしまって、運転席に滑り込んだ。
「ストック」
「上だ」
車体上部を中心に見渡すと――いた。
上空を旋回している、大きな鳥。
かなりの距離のはずだが、大きいとはっきりわかる。魔物で間違いない。
「バンシーバードじゃねぇか……王国どうなってるんだ」
王国南東魔境の岬辺りで確認されている、船を落とす鳥の魔物。それが都合12体。
こないだの魔狼と同じく、眷属を作るのではなく、群れを成すタイプのやつらだ。
フクロウのような鳥なのだが、四つ足。声に関するいくつかの呪いを用いる。
近海航行で非常に厄介なやつなので、その存在は有名だ。
だが当然、王国西方まで飛んでくるようなやつらじゃない。
西方魔境があるから、絶対いないとは言い切れないけど……。
窓を開ける。
「ミスティ!バンシーバードで数は12!
適当に立ち回って撤退だ!
ストック」
「もうやっておいた」
ストックが、折れた板状の魔道具を手にもってこちらに見せる。
こないだのグレイウルフのことがあったので、緊急通報の魔道具は余分に買ってある。
高いが、情報の素早く正確な伝達は欠かせない。
使い切りのやつは、正確な通報位置と、ある程度の内容を伝達できる。
伝達相手は魔力を込めた人で……出る前に、ギルドの方にお願いした。
鳥型の魔物の出没なら、領主に話が行くだろう。
……さて。
普通なら、神器車にわざわざ襲い掛かってくる魔物なんて、いないんだが。
こないだのグレイウルフと違って、こっちはいくらなんでも異常だ。何かある。
ある程度の常識は、捨てて置いたほうがいいだろう。
――来た。旋回していた鳥の何体かが、降下してきている。かなりの速度だ。
窓を閉めておく。これで神器車内に、奴の呪いは通らないはずだ。
ミスティのクルマは急発進。近くにあった雑木林に向かっていく。助かる。
彼女が何らかの形で加勢するなら、その辺から降りて魔導を撃ってもらった方がいい。
こちらはニュートラルに戻してあるシフトレバーを握りつつ、アクセル。その時を待つ。
奴らはミスティのクルマから狙いを変えたのか、左から滑空して、こちらに向かってくる。
距離を見計らって……今!
「――――いくぞサンライトビリオン、閃光のように!!」
本話はあと二回投稿いたします。




