表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/518

15-6.同。~その力と、対策を語る~

~~~~メリアはその。ちょっと。なんでそんなにボク推しなの?


「それ……えっと、ハイディも『ウィスタリア』さんと一緒で、出奔したんですよね?」


「したね。19の前くらいに船を降りたよ」


「クレッセントは沈んだのでは……?」


「そんな雑な仕事はしない。


 引き継ぎもしたし、ボクのやってたことは誰でもできるように整備した。


 いつ死んじゃうかわからないんだから、そのくらいはやるよ」


「私はその後は『カレン』として行動していたが、特に問題はなかった。


 ハイディがいないだけで、ハイディがいた頃のようには過ごせていたよ」


「そりゃよかった。働いた甲斐があったね」


 王国貴族ですら、魔物と戦って亡くなったりする。


 クレッセントの船員は弱くはないが、王国貴族ほど強大ではない。


 亡くなった人も、少なくなかった。だから自分が死んだ場合は、常に考慮していた。



 ボクは言っちゃなんだが、そんな強い方ではない。


 代償を払って大きな力を得るのは、強いとは言わんからね。



「その、ハイディ。今ならばともかく、その時って人生一回目ですよね?


 どうやってそこまで……」


「ミスティ。魔素制御は知ってるね?」


「ええ、それはまぁ」


「あれね、ここにも使えるんだよ」


 頭をとんとんと指で差す。


 ……三人がめっちゃ引いてる。



「誰かに教わったんですか?」


「魔素制御を習った時、ボクから制御法を教えたやつがいてね。


 そいつが思いついて、一緒にやった」



 1を知ると、取り込んでから何か加えて、二乗にして返してくるようなやつだった。


 ボクの戦い方、立ち回りはそいつにだいぶ影響を受けている。


 ……結晶になって死ぬところまで真似る気は、なかったんだけどな。



「神経速度って限界があるはずですよ……?」


「神経網は信じられないくらいの数があるよ」


「えぇ~……」



 頭の回転の速さは、上げられる限界がある。


 でも情報処理という範疇でなら、その限界はずっとずっと先になる。



「天才、ではなく超人という感じよな、ハイディは」


「超人はどうかと思うが、そうだね。才能ないし。


 閃かないから、無数の計算で答えを出す感じだ」



 コンピューターだっけか?あんな感じかなぁ。


 お、ひょっとしてだからエリアル様は、ボクに雷光の武を授けたのか?


 この脳の魔素制御の先に、至れるようにと。



 あの人が、何となく物事を選択するわけがないからな……。


 きっとそうなんだろう。



「話を戻すがハイディ。


 神主が『役』を押し付けてる。それで合ってるか?」



 おっと、話がそれ過ぎていたか。


 メリアが熱弁してくれるから、つい。



「だろうね。だから本人の資質によらず、人に好かれる。


 『クルーに好かれる神主』を演じつつ、『神主と親しい誰か』の役を押し付ける。


 そんな印象だったから、ミスティはメリア……というかカレンを近づけなかったんでしょ?」


「ええ、そうです。こう、洗脳に近いものを感じましたから」



 魔導光が出てなかったから、そういうのではないんだけど。


 ゲーム由来の不思議な力?みたいなのが、また別にあるのかな。


 呪い、のような。



「ミスティは大丈夫だったのか?」


「ええストック。私は『名前』がありました。


 神主は役の名前しか呼びません。あと……」


「そのために、精霊が使えるの内緒にしてるんでしょ」


「ぐ。言わないでくださいよ?」


「ボクが神器生成できるのも秘密ね」


「それは重大さが違います。絶対喋りません」



 まぁそうよな。無から神器を生める人間とか、さすがにばれると紛争モノだ。


 おまけに、ボクは研究であらゆる神器構造を知っている。


 たいがいのものは作れてしまう。



「精霊がいれば、役に抵抗できる、のか。名前と同じ原理か」


「あともう一つある。だからここの四人は、ある程度は大丈夫。


 ミスティがコンクパールに行かされてるから、絶対ではないけどね」



 メリアが『カレン』の行動から外れたのは、あの林で再会したときから。


 ならばそれが、役に対する決定的な武器になるはずだ。



「む?あれか?ミスティも取り込んでいるのか?」


「取り込んでいるってどういう……」


「ミスティはどうやってか、ずっと持ってるんだよ。


 かつてメリアがなった、結晶を」



 神器車に使っていた核結晶。


 最初に出会った子、と言っていた。


 比喩ではなく、そのままの意味なんだろう。



 どうやって周回を持ちこしているかは……どっかわかるところに埋めてるのかな。


 あと、あれを持ってるにも関わらずコンクパールに来ちゃったのは……本人の結晶じゃないからかな?


「は?結晶は魔素に戻るんじゃろ??」


「色付きは戻らない、と見える。合ってる?ミスティ」


「ええ。合っています。ずっと一緒でした」



 ミスティが懐から、一つの結晶を出す。


 黄色、あるいは黄金の丸い石。


 神器車の核結晶としては非常に小さいが……力は強そうだ。



「ああ。確かに私が膝でつぶしたのもこういう色だったな」



 メリアが裾をちょっとめくり、右足を出す。


 脛のところが、少し黄色に見える。


 引き合うように……石と彼女の脚が仄かに光る。



「そうか。ずっと一緒にいてくれたんだな。ミスティ」


「はい。これからも、一緒です」



 ……当てられそうです。


 というか君たち、歳を考えろ歳を。自重しろ。

次投稿をもって、本話は完了です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

――――――――――――――――

幻想ロック~転生聖女は人に戻りたい~(クリックでページに跳びます) 

百合冒険短編

――――――――――――――――

残機令嬢は鬼子爵様に愛されたい(クリックでページに跳びます) 

連載追放令嬢溺愛キノコです。
――――――――――――――――
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ