15-3.同。~我が末路を語る~
~~~~世界の真実なんか、ボクはどうでもいいんだが。君は違うだろう?友よ。
香味のソースが口の端についてるので、ストックのお口を拭いてあげて。
飲み物をさらに一口。
次の話を頭で整理する。
この話自体は……ボク、ストック、メリアは知ってるんだよな。時間を遡ったから。
呪いの子は、この螺旋循環の原理とは別とみる。
あくまでボクら三人は、一度行った時間をやり直しているだけではなかろうか。
メリアとミスティのめぐり逢いを考えると、それが妥当だ。
二連続でボク、ストック、メリアが会えるわけがない。
となると、ミスティだけはボクら三人が知っていることを、知らない。
あのコンクパールの最後を。
ストックの懸念を議論するには、この前提が必要だ。
彼女を見る。
「ボクらは、この人間としての存在と。
精霊としての存在が、中でせめぎ合っているようだ。
メリアが『カレンとして行動している間は意識がない』と言ったのはこれだが。
さてミスティ、君は『ウィスタリア』の末路を知っているね?」
「ん、はい」
「『ウィスタリア』はどうやってか、地上に魔物を解き放つ。
彼女の友達の一人とコンクパールで戦い、最後は『リィンジア』と相打ちになる。
合ってるね?」
「ええ」
「誰がよく行ったとか、傾向はあるの?」
「そうですね。だいたいは『キリエ』さんか『フィリアル』さん、『メアリー』さんでした」
ミスティは分かってるから、来る気もないと。徒労だしね。
そしてメリアかもしれない『カレン』は引き留めるようにしていた。
ダリア……『サレス』は他三人に比べれば少ないだけかな。
そして。やはり過去の周回は、ゲームと同等の流れをしている。
ボクが時間逆行する前の時は……そこから大きく逸脱している。
だからこそ、呪いの子として時間を遡ったんだ。
やはりこの輪廻そのもの、あるいはそのどこかに、呪いと言える何かがある。
「で、ボクとストックとメリアの三人は呪いの子だ。
あのコンクパールから戻ってきた」
ミスティが腰を浮かせ掛かる。それをメリアが抑えた。
「!?まさかあなたは、メリアを……」
「落ち着けミスティ。私……『カレン』が吹っ掛けたんだ。
どうしょうもなかった」
「でも!」
「私は納得してる。しかも、戻ることでメリアとしてミスティと再会できた。
最上の結果だ」
「っ……そういわれたら、何も言えません」
ミスティは改めて座りなおした。
ん。次の方が衝撃大きいだろうし、落ち着いてもらえて何よりだ。
「ちなみに君も含む5人も来たかんな。ボクは全員斬った」
「は?私はともかく、ぜんいん??きった???
……ちなみに、『カレン』はどうやって」
「神器を潰しながら、首の同じとこを寸分違いなく四度同じように斬った。そしたら切れた」
「えぇ~……『フィリアル』さんと『メアリー』さんは?」
「『メアリー』は、予言より早く動く者には対応できない。
フィリねぇ……『フィリアル』もそこは同じ」
まぁ、本気で勝つ気なら、二人とも挑む前に勝敗決められるんだけどね。
だから加減されていたのは間違いない。
「私と、『サレス』さんは」
「ミスティは多彩だけど、正面強引突破に弱い。
そっちが追い込んだと確信した瞬間に、最高速度で前から斬った。
『サレス』は逆に、小技豊富だけど実は魔導膂力が非常に高く、正面制圧力に優れる。
だから神器を無数に生成して、全部オーバードライブしてぶつけた」
「「「は!?」」」
あいっけね。これ奥の手だ。言うんじゃなかった。
なお限界はあるので、キリエを倒した時点で最後の一本が壊れ、生成はできなくなった。
フィリねぇは素手で倒した。ストックは無理だと思った。
あんな結果になったが。
「……いったん忘れておきます。『キリエ』さんはどうあがいても無理では?」
「『キリエ』はじっくり詰めた。あの子は引かないから、追い詰めても向かってくる。
そこを絡めとった。
ただ真っ二つにした後に、こちらも物理的に絡めとられてね……。
勝負では負けだな。ボクが生き残ってただけだ」
「勝つことも上回ることもできなくても、殺すことはできる、と」
その通り。
キリエは足場の良い、開けた場所で戦うとその時点で詰みだ。
コンクパールにいたのは、彼女との対峙を万が一に考えていたからでもある。
できるだけ彼女が力を出せないように慎重に戦い、なんとか倒した。
本話はあと二回投稿いたします。




