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12-3.同。~良い部屋に恵まれる。これぞ観光地~

~~~~いいじゃんよ、同衾くらい。ストックは手は出さねぇし。


「おっ、そうだったか。すっかり忘れておった。


 ハイディのせいで、私の中じゃすっかり魔導なんて飾りだ」


「どういう意味だね。王国貴族相手だと、前のボクでも分が悪いぞ?」


「同感ではあるが、ダリアに勝った女が言うことではない」



 あの山では、メリア――カレンの前に、ダリアが来ている。



「それを出されると何も言えんな……」


「そのダリア、『魔女姫サレス』なんだったか?


 ほんとに勝ったのか、ハイディ」



 魔女姫サレス。イスターン連邦稀代の魔導師。


 戦略級の魔術構築を行った話とかが有名だろうか。


 あの人は小技の方が怖いんだけど。



 ストックはダリアと王都で戦ったとき、実際にその魔術を体感している。


 そらそういう感想になるよな。わかりみ。



「まぁうん。ダリアは魔術師としては間違いなく最強だよ。


 でも強さで言えば、キリエ親分にはかなわねぇな」



 ボクら7……いや、ストックを入れて8人の中で誰か最も強いか?といえばキリエで間違いない。


 なんかもう、練度が違う。我々が岩なら、彼女は山だ。



 岩の中でなら、メリアだろう。この頑丈さをどうにかできる手段は、キリエ以外は持ってない。


 その次はミスティかダリアで、あと四人は団子だ。


 ボクやストックは、代償なしなら下から数えたほうが早い。



 なお強弱ではなく、勝負の話ならフィリねぇが台頭してくる。


 次点がマリー。マリーはフィリねぇには勝てない。


 あの人たちが「勝つ」つもりなら、ボクらは勝てない。エリアル様と同類の理不尽だ。



 ……二人とも、コンクパールのときは、ボクに勝つ気などなかったんだろう。



 まぁそんな二人でも、キリエやメリアに対してはそもそも、勝ち筋すらないんだけどね。



「キリエはまぁそうだな……おいなんだ親分とは」


「ボクらはファイア領でお世話になってね。そこでもう会ってる。


 あの子自身別に前の記憶はなかったから、普通の四歳児なんだけどね……。


 すでにボクやストックは敵わない。ボクはぼっこぼこにされた」


「はぁ!?え、王国貴族こっわ」


「ほんとね。精霊使わないのにあんななんだよな……。意味わからん」



 話しているうちに、最奥までついた。


 部屋はここみたいだ。


 ストックがカギを開け、扉を開いてくれた。



 入ると……


「おおおおおお!!いい部屋ではないか!!」



 広い。そして見てすぐわかるくらい豪華なお部屋。


 あ、天井の照明。鉄の装飾がボク好みだ。いいなぁ。



 そして特筆すべきは、奥の窓の外。


 ほぼほぼ日が沈んでいるので、仄かに赤い水面が遠めに見える。



 そこから見える大河の名はブルーパール。


 北西領から流れ込んでいるはずだが、パールの名がついた河だ。


 たぶん、河川港がここしかないからだろうな。流れが少し複雑で、他の大きな街は通っていない。



 窓は南西向き。河はそこまで近くはないが、ここから河までの間がひらけているから、よく見えるのだろう。


 パールの西側は、見る限り平屋の建物が多い。


 川路が入り組んでいて土地面積が少ないから高い建物が増えそうだが、そうではないみたいだ。



 とりあえずカバンを床に置いて、ボクも窓際まで行く。


 皇女様は大変気に入ったようだ。とてもはしゃいでいる。


 遅れてやってきた侯爵令嬢も、どこか楽しげだ。



 それにしてもほんと、よく見えるなぁ。



「なるほど。南西側は桟橋街だから、高い建物がないのだな」


「桟橋街って……あの下は橋で、しかもだいたい川なの?」


「そう聞いている。北側はレンガ造りの二階建てが多かったはずだ」


「ふーん。買い物とかをするなら?」


「そのあたりがよかろうさ。流通の要衝になるから、商店も多い」


「桟橋街はそういうのには向かないと?」


「取り扱いのモノが違う。食品や庶民向けが多い」


「そうか。ならまず北で服を始めとした買い物。お茶もそっち?」


「何なら、ここで出してもらえるぞ」


「そりゃあいい。ちょっと優雅に過ごそうか」


「ん?またお茶会か?」



 ボクとストックが話してたら、メリアが食いついてきた。


 気に入ったんだろうか、お茶会。



「連邦式だってよ」


「おおお!それは経験がないぞ。いいな!」



 ああそうか。『カレン・クレードル』が普通に出歩くころには、連邦滅んでるんだな。



「あの桟橋の街にも行ってみたいが、難しいか?」


「そんなことはないさ。服を買って、それから冷やかしに行こう」


「よーし!明日が楽しみだな!」


「何言ってるんだメリア。お楽しみはまだこれからだぞ?」


「ん?」



 ボクとストックがにやりとする。



「「一杯やりに行こう」」


「…………まず味見させろ。それから飲むかを決める」



 素晴らしい譲歩の意思だ。


 では遠慮なく、赤いエールの沼に沈めてやろう。


ご清覧ありがとうございます!


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