10-3.同。~友の気遣いに、いつか応えたい~
~~~~変な目的が増えてしまった。まぁいいか。せっかく再会した……友達のためだ。
「…………それはそれとして、連絡がとれるならあいつも呼んでおけ」
「ん……そうか。何かあるなら、ミスティもドーンに置いておいたほうがいいのか」
「他の連中も、いるならいたほうがいいが……」
ボクら――ボクとボクの六人の友達は、なんだかんだ七人でいることも結構あった。
それなりに仲も良い。何かするなら、全員に声をかけて、都合を合わせる程度には。
特にそれが困難を伴うものなら、全員そろってから当たることを考えるくらいには、互いを信頼していた。
でも今は、その時からだいぶ時間を戻っている。
ボクとキリエとカレンは年下で、今4歳。
フィリねぇとダリアが同い年で、9歳か10歳。
マリーはさらに5歳上で、14か15か。ミスティが20くらい。
ほとんど子どもだぞ。どうしろっていうんだ。
「いや、あとはだいたい年齢一桁だろ……。集めてどうするんだよ」
ミスティを除けば、マリーは成人してるかどうかくらいのはず。
ただ彼女は、いろいろあって居場所が分かりにくい。
「む。言われて見ればそうか。ハイディがそんなだから、忘れて……」
「ん?どうした」
「こんな幼児がおるかああああああああああああああ!!!!」
そこで突っ込むんかい!!
そういやこっちの事情は特に話しておらんわ。
「今更なんだ、どこに文句があるんだ。あと幼児ならあそこにもいるが」
御付きの人たちを見ててくれてる、ストックの方を手で示す。
「…………そういえば、あれは誰だ?」
「ラリーアラウンドのストックだよ。知ってるだろ?」
カレンは、王国崩壊のあたりで普通に王都にいた。
ボクともクレッセントの一員として行動を共にしてるから、ストックやラリーアラウンドのことは知っている。
ストックに会ったことはなかったかな。遠めに見たとか、そんなことを言ってた記憶はあるが。
カレンが一度彼女を見てから、こちらを振り返った。
何今の動き。首がぎぎぎとかいってそう。
「馬鹿なあああああああああああああああああああああ!!!!」
「何が不満なんだ、何が」
「あのおっかないやつが、あんな穏やかな顔してるわけ……ヒィ!こっち見てる!?」
あれはボクを見てるだけだ。安心しろ。
「そっか、カレンは学園のストック……リィンジア様を知らないんだな。
君は魔道具科だったっけ」
科が違うと、全然会わないんだよね。
キリエやカレンとは、同学年のはずなのに、ほとんど学園では会わなかった。
二人とも在学中にいろいろ縁があってクレッセントに入ったから、あっちでボクとは友達になったんだけど。
なおストックはボクと同じ経営戦略科だから、ずっと一緒だった。
経営戦略科は、魔力がなかったり弱かったりして魔導を使えない人間が。
それでも魔導を研究するために来るところである。
「ああえ?あれリィンジア・ロイドなのか?亀公ぶっ殺した」
「そうだよ」
「ひえっ」
ああ、そっちの方を知ってるか。帝国人だもんな。
しかしなぜ余計に怖がる。
しょうがねぇなぁ。
「ストック!お菓子と飲み物、追加持ってきて!」
声をかけると、彼女が手を振ってクルマを漁りに行った。
「…………おぬしあれとよく仲良くできるな」
「君らがボクを殺しに来たとき、一人だけ話をしにきてくれたのがあの子だよ。
そういや、あのときも意識なかったの?」
「意識がないというと、少し語弊があるがな。
記憶はあり、制御が効かない。そんな感じだ。
おっとそうだ、礼を言わねばならん」
「は?礼?」
「おぬしを殺すなど御免だったからな……私の首を刎ねてくれてありがとう。
辛い役を押し付けて、すまなかった」
頭を下げられた。
人が見てないとはいえ、君の頭は安くなかろうに。
…………ボクは握り締めた拳を、苦労して解いた。
この子にそれを悟られるのは、非礼というものだ。
「じゃあその分は返してもらうぞ?もう君の首を斬るのは御免だ」
「ああ。いくらでも、力を貸してやるとも」
首筋をさすりながら、カレンが照れくさそうに言った。
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