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【完結】逆行した幼女と令嬢は車で旅に出る~ボクは4歳で攻略されたので、乙女ゲーや王子たちは今更来てももう遅い~  作者: れとると
第三章その後.聖暦1091年夏~-特になんの意味も山もないし、たまにオチのつく日々-
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A.実はボクには弟子がいるんだが。

――――地球ではこう、いろいろとやりすぎた。これはその、名残りから生まれたお話。



# お久しぶりです。たまーに書きたくなるので、SSを投稿します。

# 今回は新作用宣伝を兼ねております。


 やぁみなさんお久しぶり。なんでまた見てるの?……そう。ありがとうね。

 ボク……ハイディのこととか覚えてる?

 へぇ。自己紹介はいらなそうだね。


 最近じゃ仕事の方がなくってね。のんびり学生してるんだけど。

 魔導学園だって、毎日あるわけじゃない。

 たまの休暇には、のんびり過ごしたりするわけさ。


 例えば――――ストックをのしたりとか。


「…………姉上」

「なにさスノー」


 引き締まったお体に、凹凸もがっつりある子は、ボクの妹、スノー。

 短めにしているピンク髪に、緑の目。だが王位を継承したら、金髪碧眼になる。そういう仕組みだ。

 そうこの子、王太子なんだよね。トレーニングジャージ姿が似合いすぎだけど。


 ジャージなんて異世界にあるのかって? そりゃあるさ。作ったから。

 地球の良い文化・文明はそりゃ取り入れないと損だ。

 ジャージはいい。何より楽だ。もっとデザインも豊富に増やしたいところだね。


「…………ストック、大丈夫なんです? これ」


 鍛錬場の地面に倒れている、スノーよりさらに背が伸びてる女子は、ストック。

 長い銀髪は高いところでまとめられてて、赤い瞳は白目剥いてるから今は見えない。

 息もせず、びくびくと痙攣している。


 ボクの婚約者。ふふ。恋人って言ってあげてもいいんだけど、それは地球の間だけって約束だったからね。


「生命維持困難になったら復帰するようにしてあるから、大丈夫だ」

「……そう」


 スノーが、そっと無様を晒しているボクの大事な人から目を逸らした。

 なんだねその物悲しい瞳は。

 あれだな、新しいプレイだとでも考えたな?


 ……あんまり間違ってないから文句も言えない。


「――――はぁー! 私も息止まるところでしたよ。面白過ぎる」


 声を押し殺して、ストックを指さして笑っていた女が言う。

 彼女はマリー。雑に伸ばしていたホワイトブロンドの髪は、最近肩下くらいで整え直したようだ。

 赤い目の端には、笑いすぎでまだ涙が溜まっている。


「それで? 何がどうなって私のトレーニング中に割り込んできたの、あなたたちは」


 マリーを見るスノーは、少し呆れた様子だ。

 マリーはちらり、とボクを見た。

 ボクは肩をすくめて、彼女のそばにある長椅子に向かった。


 ストックしばらく起きそうにないし、のんびりするとしよう。


「私とハイディが、ちょっと新しい研究開発を検討していたらですね」

「……また何か作るのか。それで?」

「そこのヘタレが乗り込んできて、『耐久72時間ディープキス主導権勝負、今日やろう!』って」

「……ストックはばかなんだな」


 ストックは扉をばーんとあけて、勢いに任せて言ったあと、マリーがいるのに気づいて真っ赤になっていた。

 ボクは快諾し、にやにやするマリーとストックを伴って、三人で鍛錬場にやってきたわけだ。

 なお仕事部屋で過ごしていたので、ボクとマリーは今も白衣だ。そのまま来て、ストックをのした。


「ひどいですねぇ。万に一つは勝てるかもしれないじゃないですか」

「勝てるわけないだろ。確かに格闘戦なら、うちじゃストックが最強だ。間違いない。だが」


 スノーがボクを見る。そして口元を手で隠した。ため息つきやがったな。


「姉上に勝てるものかよ。ストックは……もしかして、知らんのか?」

「みたいですねぇ、ほんと面白い。教えてあげてないんですか?」


 マリーが良い笑顔でボクに水を向けた。


「よく考えたら、直に見せたことはなかったんだよ」

「……姉上、返し技上位勢が脱帽モノの名手でしょうに」


 返し技上位勢とは、ボクのそっくりさんのウィスタリアと、ストックのそっくりさんのリィンジア。

 あとは娘たちかな。クエルとシフォリア。

 いずれも、後の先が得意な子たちだ。


 ボクは彼女たちの技を模倣・昇華して体得している。


「ストックは、ハイディのことなんでもわかってる気になってて、何でもは見てないですからねぇ」

「気を遣ってるんだよ。バランスがいいとも言うが」

「知ってます」


 マリーは実に楽しそうだ。

 この子、なんだかんだ言ってストックのことはかなり好きだよな。

 ダメなことは言わないように煽ってる。期待している、のかもしれない。


「それにしても。地球でも披露の機会はなかったんです?」

「あー……そりゃ使う必要がないもの」

「さすがにそんな強敵はそうそういないですか」


 まぁ重火器武装のテロリスト如きじゃ、ちょっと振るう機会はない。

 たまに武人とも遭うけど、悪いが地球の人らとはこちとら作りが違うからな。

 魔素の有無は天地を分ける。地球に魔素を持ち込んでたボクに敵う者は、ない。


 …………いや。


「そういや、一人だけいたよ。敵ってわけじゃないから、忘れてた」

「「え」」


 二人がそろってボクを見る。


「敵じゃないなら? どんな」

「弟子」

「「弟子ぃ!?」」


 声揃えて驚くようなことかぁ?


「不遇な子でね、バイト……臨時雇いでしばらく面倒見てたんだよ。

 ボクらが帰った後には、自立できるようにはしておいたけど」


 どうなったかなぁ、あの子。


「ああ、サヤカか」


 ストック今まで息止まってたろういつ気づいたし。


「そ、幸夜香(さやか)。身を守れる術が欲しいって言われたから、徹底的に歩法と投げを教え込んだ」


 虐待されてて体が弱かったから、あんまりがっつりは鍛えてあげられなかったんだけどね。


「そうだったのか。面倒を見ているとは聞いていたが」

「君は所長で忙しかったしね」

「……その子、どのくらい強かったんです? 姉上」


 おや、スノーは興味が出たようだ。

 瞳がちょっと赤くなりかけてる。


「ボクが勝てなくなった」

「「「はぁ!?」」」


 ストックまで驚くんかい。


「え、あの点きは」

「要所点きは返し方を教えた。同じ土俵なら、ボクは勝てない」


 点きというのは、魔素の結節点を狙う打法。

 経絡秘孔を点くって言った方がわかりやすいかな?

 別に無敵の技じゃない。効かない人なんてたくさんいるし。


「あの子、魔素なんてなかったろう……よくお前と戦えるな」

「君だって持ってなかったろう。例外なんてどこにだっているさ」


 地球でのストックは、魔素のある体ではなかった。

 後付けで宿したけどね。

 もちろん、幸夜香(さやか)にはない……なかった、はずだ。


「言われて見れば、そうか。そうしてみると、存外あの子は私に似ているな」

「へー! ちょっと興味ありますね。どんな子なんです? ハイディ」


 マリーに言われ、少し彼女の姿を思い出す。


「不遇でも小さな幸せを見出して、めげない子。

 力を尽くすことを、当然に果たす子。

 あとすごいうっかりさん」


 マリーとスノーが、刺すような勢いでストックを見ている。


「そう言われると……照れるな」


 悪いけどあんまり褒めてねぇよストック。二人の視線も鋭くなっとるし。


「バイト辞めた後は、大丈夫なのか? 確か家庭が……」

「手は回したから、逃げられてるとは思うよ。間に合うか、は分からないけど」


 どうにも巡り合わせの悪い子だったから、財産喪失して路頭に迷うとか普通にしかねない。

 それでも逞しく生きてるとは思うけど、ちょっと読めないなぁ。


 おや? なんでスノーとマリーは顔を見合わせたし。

 そしてスノーはどこ行くんだ。更衣室か? 着替えるのか?


「ハイディ、ちょっと地球のこと聞かせてくださいよ。お茶でも飲みながら」

「えぇぇぇぇ!?」


 ストックぅ?


「連休だからそれくらい大丈夫だろストック」

「ぐぅぅ。72時間」


 楽しみだったのかよ。かわいいか。むっつりさんめ。


「ストックも着替えておいで。せっかくだから、君の口から話してあげてよ」

「むむむ。そう言われては、話すのもやぶさかではない」


 ストックがキリッと表情を変え……立って、スノーに続いて更衣室に向かった。


「ふふ。やったぁ。地球のことは、予言に引っかからないんですよね」


 マリーは未知を知る「予言」の力を持っている。

 たださすがに、この世界の外のことは分からないようだ。


「君は何でも知りたい、ってことかね」

「ええ。あなたのことなら、何でも」

「ダリアのことは何でも知ってるからいいと?」

「もちろん」


 ダリアというのは、マリーのお嫁さんだ。

 というか、嫁さんほっとくなし。


「ダリアも呼ぼうか。どこにいる?」

「実験室の方ですね。エイミーちゃんと一緒です」

「……爆発とか、起こさないよな」

「わかりません」


 おいなぜ笑ったマリー、何を知った。

 変なもの爆発させると、後が大変なんだぞ?




 なお当然に何か妙なものの爆発は起こり、後始末がそりゃあ大変だった。

 その後で実験反省を兼ねたお茶会を開き、そこで……ストックは黒歴史を大暴露した。

 なぜそんなに自ら投げ込んだし。あと、ボクに関する惚気と好みを語るなみんな引いたじゃねぇか。


 ボク? ボクはいいさそりゃ。今更引きゃしないよ。

 だってストックのことなら。

 何でも知ってるもの。

本作のその後or隙間SSはたまーに上げようと思います。

リハビリです。執筆力が2000字/1日くらいまで落ちているので。


逆行幼女はノリと勢いで出来ているので、とにかく書くのに向いています。

今後も時折、思いついたものを雑に投下してまいります。



さて、少々宣伝です。


お読みの方ならご承知かと思うのですが、魔素は結構な劇物です。

この作で地球に持ち込ませたので、せっかくだから拙作の転生者はこの影響を受けていることにするか!

という点から成立したのが次作「残機令嬢は鬼子爵様に愛されたい」なのです。


追放令嬢嫁入り溺愛モノ、百合……ではなかった、はずでした。

子爵は男性なのですが。どうしてああなった。

最近忙しいのでカクヨムでぼちぼちやっていたのですが、10万字を無事超えたので放出します。


明日にかけてまず一章16話ほど、投稿してまいります。

その後は一日2000字ペースです。投稿間隔は平均すると2日に一回程度かもしれません。

一日一万字とか狂ったこと、しばらくやりませんので。


リンクはランキングタグで貼らせていただきました。

ラブコメ?だそうなのですよ。コメディ色強めです。

おかしい、みんな大真面目で大事件渦中なのに。


本作一章幼女編以上に、またわちゃわちゃしております。

是非に、お読みくださいませ。

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幻想ロック~転生聖女は人に戻りたい~(クリックでページに跳びます) 

百合冒険短編

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残機令嬢は鬼子爵様に愛されたい(クリックでページに跳びます) 

連載追放令嬢溺愛キノコです。
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― 新着の感想 ―
[一言] 勝てないだけで負けはしない防御特化の弟子かな?
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