18-6.同。~人形遣いの、変化した運命~
~~~~フィラは口調は物静かだが、情緒豊かな印象だ。その……情念とかもたっぷりありそう。
やっぱりー。許せねぇよなぁそりゃ。
どうやってか、対であるセンカ……イオの状態はずっと知ってて。
我慢、してたんだろうなぁ。動けねぇし。
「すぐ了承できない。その意向には沿う。
センカは止める気……はなさそうだね」
紅い瞳が、暗い。
「嫌なことの確認だが、君にあれをやった施術者は誰だ?」
「えっと、実際にやった人は、わからない。
あの家に連れていかれたときに、されて」
ウォン家アウト。
「ご両親は……亡くなったのか?」
「わからない、んです」
ん?これ、さては……スノーと、同じでは?
スノーは誘拐され、殺される役どころのはずだったが。
ビオラ様に助けられ……家族などの知り合いから認識されなくなっていた。
前の時間の話で、今はそんなことないけどね。
そして「イオ・ニップ」。
前の時間、ニップ家は全員そろって、亡くなっていた。
その詳細はさすがに、追えなかったが。
それが今生で、助かってしまった、場合。
周囲の認識に、ある種の齟齬が出る。
イオ自身は、受肉した精霊。強い加護がある。
だがご家族は、そうではない。
イオ……センカだけは、引き続き周りから認識され。
ご家族は、元の知り合いすべてから見えなくなってしまった。
そうだとすれば……辻褄は合う。
「ちなみに、そうなったのは君が何歳頃の話だ?」
「8歳……になる前。7歳」
……クストの根の討伐前の可能性が、あるな。
「月か日付まで覚えてれば」
「それなら、5の月」
そうか。
いったん認識不能になって。
後に解除された、かもな。
名前が同一かは、ちょっと現時点では確認が難しいが。
とにかく、ご本人を探す必要がある。
「君の両親は、さる奇怪な現象に巻き込まれた可能性がある。
現在は、それが解消されているはずだ。
リコ」
「はい、御屋形様。必ずや」
同じ名前では、追跡が難しいかもしれないが。
箒衆ならば、何とかしてくれるだろう。
邪魔な星帚もいなくなったなら、動きやすいはず、だが。
「そういえば、星帚はあれで全部か?」
「はい、こちらの確認している限りでは。
裏はこれから取ります」
体に聞いても、相手もさるもの。そうは喋りはしないだろうが。
常任議員の権限、フルパワーってとこだろうな。
「では任せる。
フィラ。先の話だが、事情確認が先だ。
正直、今回の彼らの行動は思い切りが良すぎる。
裏を疑った方がいい。
まぁそれはそれとして……ずいぶん前からその扱いだったのなら。
復讐するは君らにあり、だ。
ただ殺すなよ?それは問題が大きくなる。
それ以外だったら、だいたいは許可できる」
「はい。我が主よ」
フィラは丁寧に礼をとった。
おお、精霊式の礼は、ひょっとするとそもそも精霊側発祥なのかもな。
次投稿をもって、本話は完了です。




