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9.領都モンストンより西、パールの街へ。街道沿い林にて。偶発遭遇。

――――行く先々にトラブルが待ち構えている。そのうち一つは、友達の姿をしている。なぜだ。

 明けて翌日。



 ミスティとは朝、ホールで会った。



 昨夜のことを謝られたが、ボクはいつものことという認識なので、適当に貸しにしておいた。


 彼女はこのまま、モンストンで次のクルマを見繕うらしい。そりゃしばらくかかるな。


 なのでひとまずお別れだ。また縁があったら、会うことになるだろう。



 どうかそれが、良い巡り合いでありますように。



 その後、受付のカロナさんに説明を受けて、ストックの実家訪問。


 こんなこともあろうかと、サンライトビリオンの3列目の座席下には貴重品箱を用意した。


 鍵がクルマと連動している。つまりボクしか開けられないので、簡単には盗めない。



 そこに入れていただいたわけだが、しかし……結構な枚数がぶち込まれたな。


 スロウポークは魔力流だけじゃなくって、魔導全体に耐性があるからね。


 小型だけど、だいたいの魔導師は敵わない。



 その脅威を加味して、素材の価値が上乗せで評価されてる。


 あとあの丸太、神器工材に使えるらしい。



 これでドーンまでの間は、間違ってもお金に困ることはないな。


 多少贅沢めな生活してても、数年は遊んで暮らせる。



 普通のクルマなら装備とか考えるところだけど。


 こいつ、ガワは固すぎて改造できないから、どうしようかな……。


 魔導オプションの充実くらいかなー?あれ、あとから入れるのたっかいんだよなぁ。



 クルマといえば。


 いろいろ考えると、やはり車両のセキュリティにストックも登録しておいたほうがいい。


 ストックも運転できたほうが、都合がいいからね。



 車両契約はいけると思う。あれは社会的信用があればできる。


 ブロンズ3の冒険者で侯爵令嬢。魔物討伐経験ありなら、特に問題なかろ。



 ただ神器車の技師に頼まないといけない。魔導が絡んでくるので、少々時間がかかる。


 車両契約なら役所で、こっちならすぐなんだけどね。


 契約は契約で、どっかでやってこないといかんが。



 やるとしたらシャドウかパールの街で、暇があったらかな。


 あるいはドーンについてからか。


 ふむ……。



「ハイディ、今日はどうする」


「んー……とりあえずパールまで行かない?


 あそこで滞在期間とって、お茶と買い物しようよ」


「途中の宿場は飛ばす感じか。わかった。それで行こう」



 飲料や食料も商店で補充したし。朝食もしっかり食べた。


 今日もいい天気だ。日差しが強くて、ちょっと暑いけど。


 良い旅になるだろう。





 サンライトビリオンは、今日も絶好調だ。


 ちょっと急ぎめの予定にしたので、速度はかなり上げて、街道が遠めに見える平地を走っている。


 気は抜けないが、直線が続くから負担は少ない。眠気には気をつけないと。



 この辺の街道沿いは、特に見るべきものもない。


 たまに枝道があって、さきの方に村があるくらいだ。


 あとは林やら、小川やら。穏やかで走りやすい平野部が続く。



 王国全体だと、この西方領は緩やかな方なんだよね。


 他のところは平野も多いけど、山があったりするし。



 これが魔境だと、どこも荒れ地で、岩場か場合によっては砂漠。


 風というより砂が吹いてくる感じだ。


 魔物や眷属もひしめいてる。さすがに走りにくいんだよね……。



 この半島の他の主だった国だと……ロード共和国は比較的走りやすかったな。


 あそこは王国の北東くらいにある。コンクパールを東に降りて、魔境を越えた向こう側。


 ほぼ完全に河川に囲まれていて、国土と魔境との直接接触はなし。その代わり全体がやや高地だ。



 聖域も持ってるが、国として武力が薄いため、効果的には運用されていない。


 記録上、100年に一度くらいの割合で魔境の主たる邪魔(ヤマ)に遭遇し、聖域が堕とされたりしている。



 共和国内は、陸運が主なためか街道整備はしっかりされていた。


 神器車もそれなりに見たな。街の間の移動は馬車が中心で、そっちの仕組みの方が充実してたけど。



 そのさらに東のウィスタリア聖国は、走りにくかった。


 国中に縦横に河川が流れていて、水運が主な国なんだよね。


 街道もないではないが、橋の整備がおざなりで、車両だと通れないところが多い。



 大河には車両を乗せてくれる船もあったが、これはお高い。


 あそこは国全体があまり豊かでないから、外国人からはぼったくる。


 魔物は出ないから、安全な国ではあるんだけどね。その代わり、ボクは職に大変困った。



 北のクレードル帝国は最悪だ。あれは国ではない。


 荒れ地に人が住んでるようなものだ。


 国の中にまで魔境ができていて、救いようがない。



 そのくせ、王国を含む半島南方の国々や、半島の東方、西方に侵略を繰り返している。


 人じゃなくて、そこにいる魔物どうにかせーよほんま。


 なお、聖域も多数持ち、神器使いも相当数抱えているはずだが、弱兵だ。



 王国と戦争したら、一夜にして国土が灰にされるのが目に見えてるほど戦力差が大きい。


 あそこ、魔導がからっきしなんだよね。


 あの亀……四聖であっても、王国の男爵にすら手も足も出ないだろう。



 しかしその亀が、王国最強の武人ヴァイオレット様をどうにかしたんだから、何か仕掛けがあるはずなんだよな。


 5-6年後に向けて、これは解明し、備えておかないといけない。


 ……あれ?まてよ?そこに詳細を知っとるやつがおるやんけ。

次の投稿に続きます。


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