15-4.同。~生きた人の形~
~~~~エイミーはたまにダリアが見てるけど、厳しいので管理にはつけていない。エイミーが泣くので。
「三……ああ、新入りの子たちね。
ウィスタリアとリィンジアには、何かさせるの?」
「まずは普通に勉強です。
三人は、魔道具科としての勉強を兼ねているからですね」
「あの聖女たちの勉強は、誰が見るの?
ミスティとベルは、共和国絡みで忙しいわ」
「なら、ボクの助教でしょう。
あとはボクがフォローします」
「ん。よろしく」
あとはいいだろうか……?
「ハイディはしばらく、どう過ごすの?」
ん?それはあまり考えてなかったけど……あ。
「体を、用意しないと」
「からだ?もしかして自動人形の?」
そう。このままだと、フィラは起動できない。
動いたら、そのまま自壊するだろう。
「はい。たぶん引っ越ししないといけない。
しかもその際の……ある種の手術方法の構築もいる」
「精霊人形だとするなら、どうやって引っ越すのよ?」
ビオラ様の御懸念は、ビリオンのように壊れないでしょ?ということだ。
体が壊せなければ、中の精霊は取り出せない。
……はずなのだが。
「前の時間で、フィラは自死してるんです。
おそらく、魔道具として起動すると」
「ああ……例の。単純機構だって話だったわね。
それが引っかかると」
サンライトビリオンは、分類としては神器車だ。
だが自動人形フィラは、魔導で動く魔道具の一種。
人並みの動きをすることを期待した、かなりの高出力魔導だった。
複雑で高出力を要求する魔導が、単純な機構に刻まれており。
この状態で動くと、攻撃魔導を刻んだ魔道具のように、崩壊してしまうはず。
そうでなければ、彼女は「死ななかった」。
「そうです。自壊するはずなので、ここで別の器に移します」
「何か必要なものは?」
「いえ。エイミーが仕様詰めたやつがあるんで、材料もそろえてありますし。
あとは細部設計して、製作するだけ。
少し時間だけもらえれば。今のうちに作ってしまえるでしょう。
あとは製作者の手を借りるくらい、でしょうかね」
エイミーは人型魔道具に行き詰って、なぜか生体魔導人形?を設計をしてたことがある。
仕様を詰めさせて、一応形にはできるようにしてあるんだよ。
そこで何か閃いたのか、彼女自身は忘れて元の開発に戻っていったが。
ボクが預かってたんだけど、細部を詰めて、何なら作れるように手配済みだ。
「わかった。そこまで詰めてあるなら?」
そりゃあもう、計画書から何から何まで、整ってますとも。
材料の調達については、他のプロジェクトの試験用に集めたものだけどね。
改めてこの生態人型魔道具の作成用に、パンドラの在庫から集め直す。
「あとで提出しますとも。
人形態の人型魔道具。
ボクが作ってしまいます」
「エイミーが拗ねそうね?」
「声はかけますよ。
できれば、手伝ってもらいます」
「ん。任せるわ。じゃあ私は……」
「叔母上、私も話があるんだが」
洗い物を終えたストックが、出ようとするビオラ様を引き留めた。
そして二人して……ボクを見てる。
「なんだ、浮気か?」
「ほー」「ふぅん」
おい、二人してなんだねその反応は。
そりゃつまらない冗談言った、ボクが悪いんだけどさぁ。
「はいはい。君らは内緒話が好きだねぇ」
「ごめんなさいねハイディ。
あなたは秘密主義が嫌いなのは、知ってるけれど」
そうなんだけど、このくらいは可愛いもんだ。
ボクだって今は、エイミーの研究仔細は知らないわけだが。
そこに文句を言ったりはしない。
この二人やスノーが何かやってるのを知らされないのは、それと同じだ。
「『度の過ぎた』です。
連中のはひどかったでしょ?」
「ひどかったわねぇ。
ああはなりたくないものだわ」
「前の時間の、クレッセントの連中か?
そんなにひどかったのか?」
「必要な手続きも出し渋るぞ。
不信は結構だが、自分の研究費に関わるんだから、情報は開示してほしかったねぇ」
「そのくせ急に、あれが要るこれが要るって言ってくるの。
何がしたかったのか、よくわからないわ」
「非合理と非効率の塊だったよ。
というわけで、必要な段階になったら教えてくれればいいさ」
エプロンを脱いで。
さて、じゃあせっかくだからエイミーでも探してみるか。
あるいは、新入りたちの方だな。
あとどっかでダリアが見つかったら、話してみるか。
お話や手伝いの確保が終わったら、フィラの体を作っておこう。
「ボクは行くよ。スノーに怒られない程度にね?所長」
「ご機嫌なら、ちゃんととってるわよ」
そういう問題かね?
ストックに手を振って。振り返されて。
ボクはキッチンを後にした。
次の投稿に続きます。




