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8-4.同。~我が友との仲。そして君との仲~

~~~~……ゲームの中、という君のその認識。どこから来たものだろうな?


「戯れに聞くが」


「なんだね」



 嫌に真剣なお顔だな?ストック。



「女性はどうだったんだ」



 そう来るのかよ。



「ストレートだっつってんだろ。恋人はいない」


「そうか?友達とやら、大事にしているみたいだし、実は大層仲がよかったんじゃないか?」


「そりゃ戦友でもあるし。強かったから、組むことも多かったんだよ」


「六人いるんだったか」


「ん。フィリねぇ、キリエ、ミスティ、カレン、あとダリアとマリーかな。


 確かにまぁ、仲は良い方だったよ。


 プライベートでも、遊んだりするくらいには」



 仕事の関係上、交流のある人は多いが、ボクがはっきり友達だと思ってるのはあの六人だけだ。



「そうか。半分ほど知らない名だな。


 ミスティは先ほど知ったし、マリーとダリアという名は初耳だ」


「おや、カレンは知ってるんだ。学園にいたからか?」


「そもそもその名、皇女カレンじゃないのか?」


「そだよ。ああ、そりゃ知ってるか。君、曲がりなりにも帝国貴族だったもんな。


 であとは……いや、君会ったことあるじゃないか」


「は?どこでだ」


「王都。ってそうか、あの子たちそうは名乗ってなかったか。


 マリーは聖国出の子。『予言の子メアリー』。


 ダリアは元イスターン王女。『魔女姫サレス』。


 有名人だし、知ってるだろう?」


「なんと。確かに王都で戦ったが……」



 ストックはクレッセント所属の二人と戦ったことがあるが、その時は別に名乗りはしてなかったしな。



 なお、メアリーが本名で、マリーはクレッセントでの名。コードネームっつったほうがいいかな。


 魔女姫も同じで、サレスが本名。ダリアがコードネーム。



 花絡みでコードネームをつける人がいたんだよ。カレンとキリエが来た頃には……亡くなっていたけど。


 フィリねぇはベル。あんまり名乗ってなかったけど。


 ミスティは……そういえば知らないな。はて。



「……クレッセントは魔境だったのか?」


「魔物扱いすんなし。気持ちは分かるけど。


 厄ネタの廃棄場みたいな感はあったね」


「それがお前の周りに集まってたのか」


「ボクだって同類やろ。


 ……この面々だと、フィリねぇが可哀そうだな」



 ストックが吹いた。


 飲んでるとこで言って、正直すまんかった。


 テーブルに念のため置いておいた布で、服や肌を拭いてやる。



 それから、手で頬をそっと撫でる。



「気にしてるようだからちゃんと言ってやるけど、そういう感情向けてくる子はおらんかったからな?


 言っとくが、男のそれは分かってたんだから、ボクの勘違いじゃないぞ」



 布巾をテーブルに置いて改めてストックを見ると、少し頷いた。


 ん。よろしい。



 しかし思い返しても不思議だが、仲が良いというか、男性から好意的にみられていたのは確かなんだよな。


 ボクはそう見られたら逃げ回っていたけど。



 モテるっつーとそうでもねぇと思うんだけどなぁ?


 こんな平坦で、疲れた顔で化粧もしない、着飾らない、美人でもない女のどこがいいんだ。


 ボクなら願い下げだ。



 なんとなくだか、おかんみを求められていたんじゃなかろうか。


 ふざけんなって気持ちだが。ボクが働いて気を回してんのはボクのためじゃ。


 世話焼きで、余計なおせっかいばかりしていたのは認める。



 しかしそんなボクを、ただ遊びに誘うのはやめろ。休めって言うのもやめろ。


 忙しいっつってんだろ。こっちはそんな余裕なかったんだよ。


 働け。もっと働いて船の仕事を減らして、ボクに休みをよこせ。



 自分の担当と定めた範囲はやってくれるけど、それ以外は振っても手を出してくれないんだよな……。


 あれは困った。根本的にクレッセントの人でないのは分かるが、もうちょっと積極性がほしかった。



 今そう思ってもしょうがないけど、当時ちゃんと言ってやればよかったわ。


 角が立つからと濁していたのはよくなかったな。


 まぁブチ切れて言っても、女・子どもの言うことだからとなかなか聞かんのやけど。責任者舐めやがって。



 友達やストックは……そこんとこの塩梅が良かった。


 滅茶苦茶やるから世話は焼けるけど、その分こっちのことは全力で手伝ってくれた。


 おかげで、彼女たちとはぼちぼち遊ぶくらいの余裕はあった。仕事帰りに寄り道する程度だったけどね。



 あとこう言っちゃなんだが、マシというか、ボクがいいと思う男というか。


 そういう人たちは、様々な理由でさっさとクレッセントからは離れてしまっていたし。


 しかも、向こうはボクには興味なさそうだったからな。



 おっといかん、愚痴と思い出に頭が寄ってしまった。



 興味……興味と言えば。


 そうだな。会話なのだから、そちらにも振ってやらねば。



「ああ、忘れてた。一人いたわ」


「……なに?」



 そういきり立つなし。


 眉根寄ってるのも、かわいいけど。



 目を見て、言ってやる。



「君だよ」



 ストックがまた吹いた。


 今度はちゃんと、飲んでないとこ狙って言ったからな?

次の投稿に続きます。


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