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13-7.同。~隠蔽、即時離脱~

~~~~緊急事態になったが……これはチャンスだ。今しか、ない。


「がっ!!」



 ボクに点かれたイオの魔素が、各所で乱れ、あるいは止まる。


 ……その身の内で働くものを、含めて。



「「ハイディ!?」」「姉上なにしてるの!!??」



 倒れかかる彼女――イオ嬢を抱え、部屋の中へ。



「二人とも、ちょっとベッド貸して」


「は、ちょ、ハイディさん何を!?」


「どうぞ、ハイディ様。後は何を?」



 さすが切り替え早い子。


 後ろからなだれ込もうとしてた子らも、視線で黙らせ。



「ちょっと待って。確認とるから」



 イオをベッドに寝かせる。意識はちゃんとある。


 右の赤い腕輪についた玉を、いくつか回し。




━━━━『敵から(Hide from)  隠せ(enemies)


━━━━『畏まり(I’ve) ました(got it)




「ひゃ!?」



 ぬっとあらわれた紳士に、さすがにオリーブが驚きの声を上げる。


 あまり精霊王を便利に使うものではないだろうが、本当に便利なのでしょうがない。


 頼むぞサンディ。知られてはならないし、ここで来られるのも困る。



 赤い砂が静かに、そして広範囲に舞い散っていく。



「おぬし、四世を気軽に呼びよるな……」



 メリアの呆気にとられた声が、入り口からする。



「みんな、とりあえず入ってドア閉めて」



 素直にストック、メリア、スノーが入ってきた。


 ちょっと狭いけど、どうせすぐ手分けしてもらうことになるしな。



「これで大丈夫だ。さて……。


 イオ嬢。君の魔素を部分停止させ、体に収められてる機構のいくつかを阻害した。


 分かるね?」


「ぅ……は、ぃ」



 ちょっと苦しそうだ。感覚がいつもとかなり異なるせいだろう。


 魔素をだいぶ乱し、彼女の中に入れられているものが、働かないようにした。


 本人に出る影響は最小限にした、つもりだ。



「その上で、魔導で隠ぺいを施している。


 同等の力――精霊王のそれでなくては、破れない。


 これで懸念は晴れたかな?」



 イオ嬢が、ゆっくり首を縦に振る。



「念入りにまずは各魔道具および、結晶を停止。


 その後は……執刀はボクが担当できないが、手術し、ものは全部取り出したいと考えている。


 治癒術師も用意するし、予後は安静に過ごせる環境を用意する。


 もちろんそのまま暮らしてもらってもいいし、安全も学業も保証しよう。


 何か質問は?」


「ぉか、ね、とか」


「すべてボクが払う。心配するな」


「ふぃ、らも」


「請け負った。ご家族は」



 イオが、弱弱しく首を振る。


 そうか……。



「わかった。任せてくれ」



 まさかそっちから頼ってきてくれるとは、思わなかったが。


 この機会、逃したくはない。



 イオ嬢は髪の奥から、しかとボクの目を見て。


 頷いた。



「よし。みんな、手を貸してくれ。


 この子をパンドラに運ぶが、その前に処置をする。


 それについてはボク、リコ、オリーブでかかる。


 スノー、最速でパンドラと連絡をとれ。


 メリア、ストック。周辺警戒。


 特に、アシャードを始め、聖国関係者が近づいたら追い払え。


 最悪、武力を使用しても構わない」


「姉上、そんな喫緊の事態なの?」


「事態だ。魔導と呪いを駆使し、この子を縛った連中がいる。


 そいつらから隠し、守り、まず確保する。


 パンドラにとっても、王国にとっても必要な人材だ。


 詳しくは、後に説明するが。


 この子は……ビリオンのような、精霊の器を作れる可能性が、ある」


「!」「それは……おおごとではないか」



 二人の精霊使いの顔が、険しくなる。



「おおごとなんだよ、メリア」


「追跡は、先の精霊王の力で撒けるのか?」


「気になるなら、ドアの外を見てみればいいよストック。


 基本的に、ここには近寄れない。


 内からは出られるがね。ま、護衛は万が一の備えだ」



 少しドアを開けたストックが、ドン引きした顔で戻ってきた。



「ちょ、姉上。これ私戻ってこられないのでは?」


「戻ってくる必要はない。シフォリアに報せてくれ」


「はぁ。あー……あの子、ね。


 わかったわ。ほんとに便利ね」



 同感だ。


 あまりに便利なので船内で公開まではしてないが。


 そもそもスノーとビオラ様は知ってる、ようだしな。



「ハイディ、私は何をすれば」


「先の通り、君はボクを手伝え。オリーブもだ」


「え、え?何を?」


「繊細な魔道具関連の制御がいる。


 ボクでは限度がある。指示は出す。


 頼めるか?オリーブ。


 この子が――――自動人形・フィラの生みの親だ」



 二人が、息を呑んだ。



「この子の体には、魔道具及び、結晶が埋め込まれている。


 明らかに、自然発症したものではない結晶だ。


 厳重に隠蔽しつつ、これを機能を安全に停止させていく。


 手伝ってくれ」


「――――はい!」



 オリーブの首肯は、とても真っ直ぐなものだった。

次の投稿に続きます。


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[一言] ほんとあの国の貴族はろくなのが居ないなあ聖女派以外・・
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