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13-4.同。~また一人、未練に囚われしもの~

~~~~リコがいるのだから万が一はそうはないが。正直ほっとしたよ。でも人来るときにやるなや。


 ベッドで二人、絡むように抱き合ってる。


 こう、転んだ拍子に押し倒して、そこにボクらが来て。


 リコが身を起こそうともがいてる感じ?



 …………オリーブはなんでぼーっとしとるんだね。


 そしてその絡めてる腕と脚はなんだね。


 放してあげないと、リコ起きられないじゃないか。



「他に人の気配はないよ。ストック、てっしゅー」



 野暮ってやつだろう。ここにいるべきではない。



「わかった。早とちりしてすまなかった、二人とも」


「ちち、ちが、ちがっ!まってハイディ様まってー!」



 なんだよめんどくせぇなぁ。普通に修羅場っててくんない?



 ストックが肩を竦めてる。


 ボクは魔素を戻して。



「あー。しょうがない。ボクが聞くよ。


 乱入した君よりはよかろ」


「すまん、ハイディ」


「いいんだよ。ボクが頼まれたことで。


 君たちは、付き合ってくれてるんだから。


 こないだの寮の件で、ちょっと警戒お強めなんだろ?」


「……まぁな。二人と外で待ってる」



 ボクらが話してるうちに、二人はのそのそと這い出し、ベッドに座った。


 …………普通こういう状況のときは、もっと離れて座らんかね?君たち。



 ストックが表に出たので。


 入れ替わり、ボクが部屋の中へ入る。


 扉を閉め、玄関口で少し靴の砂やら土やらを落とさせていただき。



 ん……特に座るとこもないし、このままでいいか。



「事情に関しては、特に聞く気はないから。


 偶然そうなったのでも、別の理由でもどちらでもいい。


 咎めやしないよ」


「咎めないんですか!?」



 咎めてどうしろっていうんだリコ。


 まぁ、君からじゃなさそうだから、そうするんだけどな?



()()()()()()()、叩きだした。


 そうじゃなさそうだから、ボクから言うことはない。


 合ってる?オリーブ」


「ん……その、はい。私が引き倒しました」


「オリーブ!?」



 オリーブが、ためらいがちに白状した。


 普通逆の状況だとは思うのだけど、ねぇ。



 部屋の主はリコで、ボクの知る限り同性愛者なのはリコだけ。


 何があったしオリーブ。カワさんになんて言おう……。



「そ。なんで?っていうあたりは聞いて行ったほうがいい?


 それとも、二人で解決できる?」



 本当はくそめんどくさいから、放置したいが。


 どうも、それじゃだめそうな雰囲気だ。


 特にオリーブの方が、話を聞いてほしそうにしてる。



「……ハイディさん。一つ、聞かせてください」



 オリーブが、リコの手に触れようとして、やめて。


 そしてボクを見て、聞いてきた。



「ハイディさんには、前世の記憶、があるんですよね?」



 おっと。


 この子、小さい頃から妙に頭もいいし、なぜか仕事ができると思ってたら。


 さてはこれ、ご同類かよ……。



「オリーブ。答える前に確認する。


 この世界には、前世と言うべきものが二つある。


 一つは、輪廻転生と言うものだ。


 それにおける、前の人生。完全なる別人。


 そちらのことか?」


「いえ……輪廻転生というのは、わかりますけど。


 それではないです」



 はい1アウト。


 輪廻転生は、この世界の言葉ではない。


 実際、リコはきょとんとしているしね。



「では、時間を巻き戻って同じ人生をやり直す。


 呪いの子と俗によばれるものだが。


 君が聞いているのはそのことだな?」


「はいそうです」



 順当に2アウト。



 呪いの子は調べてもみたが、やはり知る人ぞ知るくらいの言葉だ。


 魔導技師で食ってくくらいなら、聞きはしない。


 さて、前の時間でどんな目に遭ったことやら……。



「質問の答えだが、その通りだ。


 ボクは18年ほど時間を遡り、4歳からやり直している。


 君にも同じような前の時間の記憶があり。


 かつ、この世界のものではない記憶があるんだな?」


「はぃ……えっ、どうしてそれを」



 3アウト。いろいろすっ飛ばしてゲームセット。



「そして前の時間で、リコに会ったと。


 さては、結晶結合解除に熱心だったのはそのためか」



 呪いの子の時間逆行。


 おまけに、どこかに色付き結晶を持ってる。


 過魔力化症にそれとは、そりゃちょっとお辛い状態よな……。



 道理で、リコでもないのに、魂の名を自ら名乗るわけだよ。


 さすがに誰かに教わったのだとは思うが……。


 場合によってはそれ、前の時間のリコに聞いたのか?



「う”。何でもわかっちゃうんですね、ハイディさん……。


 私もたぶん、同じくらいの年なのに、全然違う」



 自慢というより自虐なので言わないが。


 そりゃ神器船の統率を二回もやってたり。


 魔物やそれ以上の何かと、切った張ったしてたらなぁ。



「君の人生を知らないから、ちょっと比較はできないが。


 ボクは前のときも、5歳から神器船兼研究所で働いてて。


 15を前にして長になった。


 今生では5歳からパンドラを作り始めてるな。


 どう客観的に見てもおかしな人生だから、そら違うさ」


「「5歳」」



 そんなに驚くほどのことかな?


 たぶん、リコだって同じくらいの時期から、手ほどき受けてんだろ?


 この子は忍として、幼いころから修行を積み、そしてその才能を開花させたはずだ。



 でなきゃ、事情があろうともこんな年で忍頭におさまらないし。


 常任議員に選ばれたりもしまい。

次の投稿に続きます。


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― 新着の感想 ―
[一言] まず前世の時5才から働いてるのがおかしいからねハイディ
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