11-3.同。~深夜の帰宅……ただいま~
~~~~彼女のビームは、ハリセンの代わりかなんかなのか?自由すぎでは??
ま、その後はダイジェストってやつだ。
部屋に案内され、例のメザイヤだっけ?彼は出会い頭に気絶させた。
魔力光が発せられたから、問答無用にね。
まだ隠し持っていた道具があったみたいだ。
で、さっさと魔素を抜いて。
あとは自然回復すれば、意識が戻った時にはすっきりだ。
学園からの処罰はあるはずだが、どうしたもんかなぁ。
あと……学園長に「彼女たちをよろしく」って、改めて頼まれてしまった。
この彼女たちとは、今一緒のウィスタリアとリィンジアじゃなくて。
リコとオリーブのことだろうなぁ。エイミー経由で頼まれてやつだ。
聞きたいことがあったんだけど、別れ際に言われたから聞きそびれてしまった。
あの態度……おそらくだが、彼女たちが入学式の日にいなかったのは、知られたくないことなのだな。
何を企んでいらっしゃるのやら。
そんなことを考えながら、ウィスタリアとリィンジアを引き連れてパンドラに戻ってきた。
遅い時間だし、ダリアはさっさと部屋に戻っていった。
ボクとストックは、とりあえず誰かにこの二人を引き渡さないといけない。
ボクらが隅々まで案内ってわけにもいかないし。してもいいけど。
正直そろそろちょっと休みたい。
「あら、お帰りハイディ。ストック。
そっちの二人も来たのね」
とりあえず食堂に向かおうとしていたら、ギンナに廊下で会った。
「おや遅い時間まで……ベルねぇを待ってるのか」
「そう。そろそろ、迎えに行こうかと思ってたところよ。
…………大変だったそうだけど、大丈夫?」
「一応ね。実行犯の処遇が悩ましいけど」
「ん……確か、ロール家の親戚と聞いたけど」
「そう」
おや?何かギンナは思案顔だ。
「ハイディ。よければ私を引き合わせてくれないかしら?
ああ、明日でいいわよ」
「そらいいけど。何を企んでるのさ」
「ふふ。内緒よ。頼まれてくれるなら、その二人。私が案内してもいいけど」
「いや……いいの?」
「あなた、珍しく疲れた顔してるもの。
誰かにご飯作ってもらうかして、さっさとストックと休んでしまいなさいな」
そんなかなぁと思いストックを見ると。
「確かにハイディはお疲れだな。食堂は誰かいたか?」
「ええ。まだメリアがいたはず。
あなたたち。部屋の用意はされているはずだから、私が案内するわ。
その後、食事をとるといいでしょう」
「世話になるわね。何と呼べば?」
「基本的にはギンナでいいわ。
公に近いところでは、キリエ・ファイアで通してちょうだい」
「わかりました。リィンジアです、ギンナ」
「ウィスタリアです」
「よろしく。じゃあハイディ。明日ね」
「うん、おやすみ。二人もよく休みなね」
「ええ……ありがとう、ハイディ」
「私からも。世話になるわ」
「ん。まぁ礼は君たちが納得するもので、好きに返すといい。
また明日ね」
さて。あっさり二人をとられてしまった。
ギンナにお願いされた引き合わせのことは、明日の朝にでも教師の誰かに言おう。
そこから伝われば、学園長からギンナに接触がいくはずだ。
ボクが立ち会ってもいいが、ギンナが何かする気ならやめたほうがいいな。
加害者と被害者がもう一度会って、それで気持ちの良いことなんてまずない。
ボクの口添えだと言われれば、学園長は通してくれるだろうし。
ダメなら呼び出しがあるだろうな。
とりあえずベルねぇが適任か。覚えておくとしよう。
もちろん、ベルねぇならギンナが直接言えばいいし、たぶん彼女は話を通すが。
ボクからの口添えって点が大事だ。
今回の件に直接かかわって、被害も受けて、学園長と一緒に取り組んでる教授。
そのボクがいいっていうんだから、良いわけで。
教師だからって、無関係のベルねぇが許可を出せるものではないからね。
「彼女たちが部屋の案内を受けてる間に、食事にしようか。
何なら、私が作ってもいいが」
「君はすぐさっと出せるものは不向きだろ?
ぜひ食べたいけど、朝になっちゃうよ」
「違いない」
笑い合いながら、食堂に入る。
食堂には誰もいなかったが……奥から音がする。
キッチンで誰かなんか作ってる?
顔を出したのは、メリアではなく。
「おやマドカ。それにアリサも」
「ハイディ!」
エプロン姿のマドカが、静かに早足で寄ってきて。
おっと。抱き着かれた。
「ああ……よかった。けがはない?」
「ないよ。消耗も特に……気分的には疲れたけど。
心配かけたね。
しかし二人とも、遅くまで起きてるじゃないか。
明日大丈夫か?」
「ちょっとハイディが心配で寝られなかったんだよ。
マドカが」
「アリサだってそうじゃないの」
「おっと。その通りだった。
無事でよかったよ、ハイディ」
おどけたようにアリサが言う。
けど、とてもほっとしたような表情だ。
「二人とも。ハイディに何かあるわけないだろう。
心配などしなくても大丈夫だとも」
ほほぅ。
ボクを離さず、すりすりしまくったことは言わないでおいてはやるよ。ストック。
まぁ二人の視線を見るに、言うまでもなさそうだがな?
「ぜったいストックが一番心配してたと思う」
「目に浮かぶようだな」
「馬鹿な、なぜばれた!?」
君が素直可愛くて何よりだよ、ストック。
次の投稿に続きます。




