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10-3.同。~霊の言葉~

~~~~えぐい外見なのが玉に瑕よな。さすがにボクの趣味じゃねぇ。


『じゃ、ちょっと片づけてくる。君らは休んでろ。


 特にそちら、疲れてそうだ。魔物か?』



 クラソーが、犬?っぽいのを少しかばうように立つ。


 魔物にしては小さい。眷属にしては……強すぎるように思う。


 そういう伝説の存在がいることは、知ってる、けど。



 人と相容れるもんかなぁ?魔力は足りないんじゃねーの?



『そうだ、娘。否……精霊の巫女よ』



 うわおこれはびっくりだ。


 喋った……魔力が足り、知性が働く状態の、魔物。



『魔力がどうやって供給されているか、気になるところですが。


 礼もとらず、申し訳ありません』



 こんななりだしな。礼どころではない。



 あと精霊の巫女ってなんだ。気になる。


 前もそういう存在がいたってことか?


 魔法使いのことじゃねーよな??



『構わぬ。人の礼は知らぬ。


 クラソー』


『…………こいつなら任せても大丈夫だ、とは思うが。


 ディックを倒した女の片割れだ。


 いや、これは正直、よくわからないが……』



 あのクラソーがだいぶ困惑している。


 ふふん。見せた甲斐があろうというものだ。


 いい反応じゃないか。



『四年前の話だったか?なるほど、それでも大したものだ。


 そも精霊王を従える存在。問題はなかろうな。


 では任せる。荷が重かったら、戻ってくるがいい』



 わんこ魔物は、悠然と通路の隅に伏せ、丸くなった。


 傷も少し見えるし、回復、再生するつもりなのだろう。


 …………ん?傷?魔物に??



『おいクラソー。あっちの連中、呪いを使うのか?』


『そうだ。傷を治らなくさせるとみられる』



 おおう、再生阻害ってとこか。


 そりゃ人によってはきつい呪いだな。



『そうか。油断しないでおこう』



 確かシフォリアに聞いた範囲だと。


 魔晶人は呪いが結実すると、魔獣というのになるらしい。


 ただそれは、人を取り込んだ場合だと。



 ということは、また別のケースか?これは。


 相対し、調べるとしようか。



 ほんのり足音がし始めたので。


 ボクは奥に向かった。




  ◇  ◇  ◇ 




 おお、いるいる。うようよいる。


 人型の結晶が、何かを求めて彷徨ってる。


 意思があるのかないのかよくわからん……気味が悪いなぁ。



 少し進んだら、たむろしている……100以上の結晶体に出くわした。


 視線は通っているが、向こうから認識できているかはよくわからない。


 距離はまだかなりあるが……蹴散らすか。



 シフトレバーをニュートラルに戻し、アクセル。


 吹かしてはレバーを横に回し。数度それを繰り返す。


 砂の芋虫から、奇妙なオーラが立ち上る。



 では行こうか、砂の守護神よ。



「――――いくぞサンディ、閃光となって!!」



 シフト。


 一射目。閃光(Flash)先駆け(start)で強引に突っ込む。


 精霊が宿り、不壊となった車体が、それなりの数の石くれどもを跳ね飛ばし。




━━━━『やってしまえ(Do it)


━━━━『(Under) (stood)




 短く命じる。


 応じた彼は――――目を開いた。


 背中の無数の黒目の中に、白い輝きが現れる。



 彼の視線は、呪いに対して「世界の外を見せる」もの。


 その目に見られると、この世界を見ることで存在している魔物たちは、意義を失って消滅する。


 対魔物の切り札だ。呪いの親玉、クストの根であっても対抗し得た。



 だが顕現し、受肉。最大限に強化されたその瞳は。


 「世界の外を叩きつける」。


 赤砂の攻性防壁が、脅威を焼き尽くす。



 出力は弱め。だが。


 光りを浴びた、魔物の力を得ているものが、根こそぎ蒸発していく。


 砂というよりは粉になり、それすらも砕け、流れる。



 正確には、魔物というよりは異物への必殺なんだっけな?


 不自然な魔物や邪魔(ヤマ)、あるいはこうした不測の存在に対し、効き目が高い。



 ……となるとある意味、ボクもその餌食なる口かもな。




━━━━『そのようなことは(I will not) 致しません(do that)我が君(My load)




 心読むなし。



 さて、それはともかく二射目だ。


 ほとんどないなったから、消化試合だが。



 アクセルから、レバーを倒す。


 再び閃光となり、まばらに残ったやつらを後部を振り回して薙ぎ払っていく。



 こっちとしては、ネフティスの後部車両でやってるのと同じ感覚なんだが。


 絵面は、巨大な芋虫がしっぽで結晶を砕きまわってる、なんだよな……。


 違和感がすごい。



 そして三射目。残り一体。


 瞬時に近寄り、のしかかる。


 押し倒し……なんか触手みたいなの出てるよ!?ボクだした覚えないぞ!



 まぁいいか。



 とにかく拘束し、抵抗する様を見つつ分析を進める。


 剥がされない、壊されない。


 呪いも放ってきているようだが、効きゃしない。



 人型の結晶体。


 確かに、ほのかに赤い宿業の光が見える。


 けど、強くはない。先日、ストックと洞窟で倒したのと変わりはない。



 呪いの力はあるが、まだ結実していない……いや、違うな。


 おそらくこの宿業……親のものだ。


 こいつには、魔物の眷属が使われている。



 これは、まずいかもしれない。


 素体としては、魔物そのものを使っているようだが。


 それ以外に、呪われた魔物の、眷属を埋め込む。



 魔物は親子関係があると、呪いが伝わる。


 8年くらい前、ダリアと再会したダンジョンで。


 チキンチキンが猛威を振るっていた、あの時のように。



 あれも、本体の魔物自身の呪いが、生み出された眷属に伝播していた。



 そうなると。


 もしこいつが人を取り込めば、呪いの力もあり、即魔獣になると考えたほうがいい。


 魔獣は量産できるもの、として警戒しなければならない。



 魔獣ってのは、どうもボクがかつて使っていた、呪文の獣に相当するらしいのだ。


 そのものの強靭さも、警戒すべきだ。大型の魔物に匹敵する。


 だがそれ以上に、どんな超能力を操るか、わかったものではない。



 バジリスクやドラゴンに類する、新種の大型魔物。


 それが、かなりの数作れる可能性が、ある。


 魔晶人自体は、思ったより大量に作れるみたいだし。



 どう量産体制をとっているかはわからないが。


 これは……場合によっては。


 それこそ、半島を埋め尽くす物量と質に、警戒しないといけないな。



 …………備えておいて本当によかったよ。


次の投稿に続きます。


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― 新着の感想 ―
[一言] 砂が光の速さで移動したらぶつかった相手細切れになるよなあ
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