表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
410/518

10-2.同。~御使いよ、我が元に来たれ~

~~~~しかしここ、何だろうな。謎だらけだ。


 左手の緑の腕輪を、回して。



「『涅槃の彼方より(Salvation)来たれ(call)』!!」



 暗闇にまだらの空間が現れ。


 そこから蒼い神器車がやってくる。



 荷物を持って、運転席のドアを開けて乗り込み。


 まず、後部座席に布で包んだ魔道具を放り込み。



 ベルトを締めて、ハンドルを右手で握り。


 シフトレバーに左手を置いて。



 深く息をする。



 右手の、赤い腕輪を回す。



極小神器機構(P.S.T.S.)、起動!」



 車内の空気が俄かに紫になり、ついで緑がかっていく。


 四年かけ、開発した新システム。


 直接攻撃などに使えるわけではないが、エネルギー供給面での不安はなくなった。



 こいつがあれば、かなりのことができる。


 例えば。



 ロザリオの端で親指の腹を少し切って。


 ハンドル脇、奥のキーボックスへ押し付ける。



「『災いの(Disaster) 箱よ(sequence)開け(start)』!!」



 適切なカラミティコール。


 呪装火砲。


 重魔力収束鏡。そこまでの連続起動。



 四年前なら、一人でできたのはここまでだった。


 だが新たな力を得た今。


 ボク一人でも、この先が見える。



「『救世の(Salvation) 獣よ(call)今こそ(phase4)』――――」



 一気に段階を飛ばし、phase4を開始。


 蒼い魔力流がさらに濃くなっていく。



「『精霊(Reach) に、(the) 至れ(spirit)』!!」



 収束鏡の歪みもあって、その身は悍ましい卵のようになった。


 アウラの宿らないこのクルマでは、ただ魔力流が強くなるだけだ。



 だが――――ここに精霊がいれば、話は別だ。



 瞠目し、脳の撃鉄を起こす。


 袖を咥え、呼吸をし、呪いの獣を起こす。


 紫の魔素を叩きだし、緑の光に融合させていく。



 仄かに、車内に電光がちらちらと走り出す。



「行くよ、四世」




━━━━『サンディ・ザ・フォース』。




 どこからともなく、赤いスーツのすっとした紳士が現れ、後部座席に座る。


 バックミラーに、彼の顔が映る。


 その身は砂でできていて、口や目鼻などはない。



 あるいはその性質上……そのすべてが目だと言ってもいいだろう。



 車内の緑の光が、ごっそりと消える。


 だが呼び水の役割は果たした。



 サンライトビリオンは、ストックに取り上げられてしまったわけだが。


 アウラとの対話を通し、どのようにして精霊があのクルマに取り込まれたのかは分かった。


 そしてわかったからには……再現できる。




━━━━『その力(Dedicate) (your) 捧げよ(power)』。


━━━━『仰せのままに(Yes)我が君(My load)』。




 対話で解析しきった「精霊語」。


 これを用いれば、魔力のないボクでも、精霊と会話ができる。


 向こうが顕現してないとダメだから、どのみち魔力はいるんだけどね。



 しかし。召喚は実験も重ねたのでもう幾度もしているが……毎度こうなのよな。


 君の仕える主は、メリアではないんかね?


 素直にお願い聞いてくれるのは、とてもありがたいんだけどね??



 赤い紳士は融けるように砂となり、車体に浸透していく。



 では仕上げだ。


 シートに腰かけ直し。


 最後のオーバードライブを、起動する。



「『災厄よ(Calamity)箱より出でて(call)――――。


 魔王と化せ(LevelX)


 顕現、赤砂(Red)眼霊(eyes)王魔(demon)』!!」



 蒼い魔力流にひびが入り、割れる。



 精霊が受肉し。


 世界の卵が、孵る。



 蒼黒い魔力流をばらばらに砕いて、いてはならない存在が降り立つ。


 赤砂が象るその体は、巨大な芋虫。背に無数にある斑点は、黒い大きな瞳だ。


 これは異物を追いかけ、逃さず粛清する、世界の白血球の一つ。



 いろんな意味で過剰な存在だが。


 ま、クラソーを撃退するあたり、甘い敵ではない。


 これはこれでよかろ。



 魔物が含まれているなら、ほぼ必殺だろうからな。


 楽ができる。



『精霊……いや、精霊?魔物?お前、精霊使いだったのか?』


『なったんだよ。あとちゃんと精霊だ。


 ま、知恵と技術の結晶ってやつさ』



 窓は開けられないので、拡声と収音の魔導でやりとりする。


 なお車内は別に変わってないのよな。


 不思議な変形……変身?だよねぇ。



 アクセルを踏むと、うねうねと動き出す。


 これ、ボクと契約経由で連結があるのか、外のことわかるんだよね……。


 正直最初は気持ち悪かったが、もう慣れた。



 しかし……地味なお披露目になった。


 この機能は、一人であれこれ試してはいるが、人に見せたのは初めてだ。


 観客がいたのだから、まだマシかね?



 一人で起動できて、かつあの魔晶人とやらを確実に倒せるのがこれしかないからなぁ。


 しょうがあるまい。



 では。


 我が御使いとの、初陣だ。

次の投稿に続きます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

――――――――――――――――

幻想ロック~転生聖女は人に戻りたい~(クリックでページに跳びます) 

百合冒険短編

――――――――――――――――

残機令嬢は鬼子爵様に愛されたい(クリックでページに跳びます) 

連載追放令嬢溺愛キノコです。
――――――――――――――――
― 新着の感想 ―
[一言] 変形しても中は変わらないのはブロックスとかと同じかね?ブロックス時代のアニメ見てなかったからあってるかはわからんが
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ