D-3.同。~ストック撃沈につき、娘との対話へシフト~
~~~~本当に油断した……大変だった。
「ただいま……」
やっと仕事部屋に帰ってこれたら。
「「お帰りなさいお母さま」」
あれ、娘が増えてる。
「……お父さま寝ちゃってる?」
「ちょっと疲れちゃってね」
スノーを引っぺがすのに苦労してなぁ。
ストックもぐったりしちゃって。
ボクが負ぶって来たんだけど、途中で寝ちゃった。
「じゃあ今日はお開きだねぇ。残念」
「ちなみに他も似たようなもん?」
「そです。
ビオラ様は恋愛相談に乗ってもらったらしくって、引いてました。
あと四人は技術開発絡みですね……。
すごいんだけどやっぱりドン引きみたいで」
「ボクはそれをかっこいいお父さまっつった君にドン引きだよ」
シフォリアが楽しそうに笑って。
クエルがそれを……おや?なぜそう、目を細めてみるのだね。
いろいろあったのはわかるけど、やっぱ君ら、姉妹っつーよりもっと仲良しだよね……。
「ところでそれ。どうしてシフォリアはお父さまっていうの?」
ん?愛称で呼ぶのも止めたのか??
「それはねぇ。クエルにも内緒。ね、お母さま」
「ん。ごめんね。これは二人だけの秘密なんだ」
「大したことじゃないけどねぇ」
「く。いずれ聞き出してやる」
なぜそこで反骨心を燃やすのだクエル。
とりあえずソファーがあるので、そこにストックを降ろして。
ゆっくり、楽なように寝かせる。
ん……これは疲れが出たんだね。外で何してるか知らないけど。
大変だったね。よく頑張ったね、ストック。
「お母さま。その。実はですね」
「ん?なに。言いづらいこと?」
「えっと。私たち、ちょっとスノー叔母様の仕事手伝ってて」
そうなん?
ボクの娘になにさせとん妹よ。
「まぁビオラ様がいいって言ってるなら、それは構わないよ。
というか……ストックは知ってて。
しかも同じことやってるんだな?」
「あ、はい。それでお父さまとは最近よく一緒になるんですけど」
なんだ?さらに言い淀んでるな。
「お父さま、何か私たちに隠してません?」
「だろうね」
「気づいてるんだ……」
そらあもう。正直、察しはだいたいついてる。
理屈はよくわからんけど。
「三年前から、ちょっといろいろね。
おかしな点はたくさんあった。
けど大丈夫だよ。ちゃんと対策できる。
ある意味、実績もできたしね」
「「実績??」」
二人そろって小首を傾げられた。
これは、君たちのおかげなんやで。
「まぁそこはストックのことだし、ボクに任せてほしいな。
ボクとしては、微妙に君たちが隠してそうなことが気になるけど」
「「う”」」
まぁ野暮だろうし、聞かないでおいてやるよ。
「代わりと言っちゃなんだが、その仕事はいいけど。
勉強はしてってもらうからね。
13になる年になったら、マドカたちと学園だ」
「あ、マドカちゃんたちと学園通えるんですか!?」
「やったー!」
おや、素直に喜ばれた。
……そか。未来のこの子たちの頃には、学園なかったかもだしね。
友達も一緒なら、きっと楽しい学園生活になる。
「ん。考査で多少は良い点とれるようにしておきな。
まぁ1000点くらいは欲しいね」
「卒業できちゃうやつじゃないですか!?」
「マドカはもうとれるよ?アリサはもう少し」
「むむ。それは頑張ろうか、シフォリア」
「やったろうじゃないさ!」
んむ。やる気になったようでよろしい。
「お母さまも学園に通われるんですか?」
「ん?必要はないんだけどねぇ。
行かせてもらえるなら行こうかな」
その頃なら、必要な研究はボクがやらなきゃいけないとこからは、離れるだろうし。
あとは仕事との兼ね合いだけだな。
いけるなら是非に行きたい。
「ん?興味あるのお母さま。
学園でやる内容くらい、全部知ってそうだけど」
「だいたいは網羅してるけどさ。
あそこには各分野の最先端の人たちがいるんだよ?
彼らと交流が持てるだけで、行く意味があるよ。
パンドラの立場だと、ちょっと聞き辛いこともあるけど。
学生ならそんな遠慮は無用だしね」
「お、おぉぉ……」
「さすがお母さま、そこをお楽しみとは……」
学園は勉強するとこやで?君たち。
「そんなかなぁ?
ボクは他のことは良い思い出が少なくてね。
ストックとは一緒にいて楽しかったけど。
ギンナやメリアは、学内では一緒にいなかったし。
こう……印象よくないことだってあったしねぇ」
「それ聞いてみたいです!
ってお母さまが良くないってはっきり仰ること、珍しいですね……?」
んん……まぁ注意喚起のために話しておくかぁ。
次投稿をもって、本話は完了です。




