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【完結】逆行した幼女と令嬢は車で旅に出る~ボクは4歳で攻略されたので、乙女ゲーや王子たちは今更来てももう遅い~  作者: れとると
第二章幕間.聖暦1086年秋~1090年冬-みんなでわちゃつく日々-
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D-2.同。~妹との間にあったこと~

~~~~何かやらかしたとしても、前の焼き直しだよなぁ?ボクはそう思っていたんです。


『あいつもうやだ。おうちかえゆ』


「…………」


「…………」


「はいここまでです!だれで……」


「ストオオオオオオオオオオオオオオック!!


 ボクの妹に何をした!?」


「ち、ちが、ちが!?」


「さすがお母さま、すぐわかりましたか」



 わからいでか。



「質問内容は『ストックお父さまを恋人にできるか』。


 『伴侶の方と比べてどうか』の二点です。


 スノー叔母様は、二番目を拒否されてお部屋に戻りました」



 シフォリアが何か得意げに言う。


 だがボクはそれどころではない。



「どういうことだねストック」


「……………………たぶんあれだ、と思う、んだが」



 ほほう。思い当たる節はある、と。


 それは何よりだ。



「続けたまえ。妹が幼児退行してびっくりしただけだ。


 怒ってはいない。


 だが問題があるとみられる。


 ボクは解決せねばならない。


 そうだな?ストック」


「すまない、ハイディ」


「いいんだよ。君のためにできるなら、なんだって喜ばしい。


 それで?」


「ん。ちょっと組み手を、だな」


「組み手」



 そう。君が、スノーと。


 そう……。



 ボクは席を立った。


 これはボクが悪い。


 ストックにしても、周りにも注意喚起してなかった。



「すまないがシフォリア。しばらくお茶しててくれ。


 ストック、行くよ」


「はぁい。いってらっしゃーい」


「今からか!?あ、ちょ、ハイディまって」



 これつまりさ。


 他もってことだろう?


 なら一つ一つ、迅速に対処せねば。





 スノーはすぐ見つかった。


 その……運動用の施設でトレーニング中だった。


 一息つけそうなタイミングを見計らって、声をかける。



「スノー」


「あねう……ストック」


「その節は大変申し訳ございませんでした」



 ストックが腰をがっつり曲げて頭を下げてる。



 少しだけ嘆息し……置いてあったボトルをスノーに渡す。


 彼女は受け取って蓋を開け、中身を流し込んだ。


 タオルで汗も拭いてやる。



「ありがとう姉上。


 それと。謝られると困るわ、ストック。


 私が未熟なのは確かだし」



 存外、スノーは落ち着いた様子だ。



「それで?ぼっこぼこにされて、鍛え直そうってわけか」


「忌憚なく言うわね姉上……。まぁそういうこと。


 ギンナも強かったけど、格が違うわね。


 全力だとどうなるか、ちょっと気になるけど」


「単独ならギンナだな。ストックには戦術以上の札がない。


 距離をとられた時点で負ける」


「近距離なら?」


「ストックの圧勝」


「でしょうね……。練度が違うもの」



 かつてボクは、ストックとボクの友達を合わせた8人なら。


 ボクとストックは最下位だ、と述懐したが。


 これはその通りだ。ボクとストックには戦闘能力しかない。



 他の子には何かしらの戦術~戦略能力が備わっている。


 予言とか、正語りだってそういうもののうちだ。



 だがボクとストックにはない。


 まぁお互い奥の手くらいは持ってるし、神器超過駆動は戦術能力相当だが。


 あれは代償が高くつく。乱発・常用はできない。



 今生では呪いの拳を得たが、呪文の力はすぐ使えなくなった。


 ある種の再現はできるが、きつい制限付きだ。



 だが。ことが単純な近接戦闘なら。



 ボクとストックがツートップだ。


 ダメージが与えられないメリアだって、制圧はできる。


 特にストックは、武の至りを得てないのが不思議なくらい練度が高い。



 だからまぁ、魔導や能力なしの一対一の組み手なんてストック相手にしたら。


 そりゃ相手は転がされるだけだ。ギンナだってそうなる。


 下手するとストックは、エリアル様あたりを上回るぞ。



 なお、ボクとストックが全力で接近戦した場合。


 ボクが彼女の要所を突いて、無力化するのが先か。


 彼女がボクに一瞬触れて、ボクを破壊するのが先か、という勝負になる。



 実力は拮抗で、後はほぼ運で決まるな。



「頭を上げて頂戴、ストック」


「その。さすがハイディの妹だと思って、つい」



 つい何度も転がしちゃったのか。


 あるいは、スノーが何度も再戦を挑んだな?


 この子、結構負けず嫌いだからな。



「あら。それは嬉しいわね。


 ある程度は鍛え直すから、そのうちまた手合わせ願うわ」


「ああ。それはぜひ」



 んむ。



「スノー。ストックが魔性の女だって話、聞いた?」


「ああ、ビオラに聞いたわよ。


 私は別にそんな風に思わないけど?」


「ちょっとコツを指南して、回避できるようになってる。


 ただずっとそうだったせいでこの子――――ボッチなんだよ」


「がふ」



 ストックはお倒れになった。なんだそのひ弱メンタルは。



「ああ、そうなの……。


 人付き合い、苦手なのね……」


「社交とか礼儀は完璧なんだけどね。


 人の上に立ったこともある。


 けど対等に近い関係だと、あまり経験年数がない。


 だからまぁ、ボクが後でフォローはするし、責任は持つので。


 好きなだけやっちゃってください」


「ハイディ!?」



 復活してすごいお顔になってるし。



「姉上……スパルタね」


「ボクがいないと人と付き合えないとか、それはまずいし。


 ボクは依存がしたいわけじゃないんだよ。


 ストックと並んで、一緒に歩みたいんだ」


「ハイディ……」



 別の意味ですごいお顔になっとる……。


 人前でしていいやつじゃないから。



「ふふ。ご馳走様。


 じゃあ適度に弄らせてもらうわね」


「スノー!?」


「ん。スノーくらいだとちょうどよかろ」


「それはどういう意味かしら姉上……」


「君だって対等な子には恵まれておらんだろ。


 ギンナとがっつりぶつかっておいて、実は器用なほうですとでも?」


「んぐ。それを言われると弱いわね……。


 わかったわ。


 改めて、よろしくねストック」



 スノーが手を差し出し――――



「ああ。ありがとう、スノー」



 ストックがその手を取った。


 ………………しまった油断した!?


次の投稿に続きます。


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