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【完結】逆行した幼女と令嬢は車で旅に出る~ボクは4歳で攻略されたので、乙女ゲーや王子たちは今更来てももう遅い~  作者: れとると
第二章幕間.聖暦1086年秋~1090年冬-みんなでわちゃつく日々-
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C-9.同。~最後に、君の嘘と秘密を愛でよう~

~~~~肝心なとこの記憶がないとは、どういうことだボクよ。これはまた牛鳥を食べなくては。


 はっ。



 気づいたら、知らない部屋だった。


 和室?で。布団に横になってて。


 隣には……いつか見たような、とても艶っぽいストックがいて。



 首を回して周りとみると、低いテーブルに積まれている、空の容器。


 …………たまごうちゅうを開闢させられたんだろうか、これ。



 なるほど。丸羽鳥の卵がなかったのは、これが理由か。



 牛鳥も……うん。味には覚えがある。


 でも記憶が飛んでる。そんなにうまかったのか。



「ストック、あの。


 ボク、ちょっと記憶飛んでるんだけど」


「ああ……少しぼーっとしてたしな。


 ふふ。もう目が覚めてしまったか」



 なぬ。なんか珍しく強気ストックだな!?


 どんだけボクを好きなようにしたんだね。


 このムッツリさんめ。



「今日はえらく強気ってか強火な雰囲気だねストック。


 こういう時は、素直可愛くなっちゃうのに」


「んー。なんでだろうな?」



 お。それは……もしかして。



「あの子のことは、言っちゃいけなかったんだよ。


 そういう約束で、力を貸してもらってたから」


「義理堅いなハイディは。


 前の時間のこと。誰も知らないだろうに」


「そう思ってると、急に真実を突き止められるんだぞ?


 ボクは詳しいんだ」


「…………言われて見ればそうだな」



 ――――ということは、意外にバレバレ……?



 バレバレだよ。何呟いてのさストック。



「ん?そろそろ聞かせてくれる気になった?」



 ストックがすごい勢いで半立ちで下がりだした。


 下がりに下がって、ふすまのところまで行ってしまった。


 次の一言によっては、そこから逃げかねんな……。



 さて。どれを出してみたものか。


 ん……あれだな。言い逃れできないやつにしよう。



「そうだな。君が本当はコンクパールの後。


 ()()()()()()()()()、気になるな?」


「ッ!!??き、気づいて、いたのか」


「動揺がひどいな。気づくに決まってるだろう?


 聖人(reviver)ができるまでの期間が早すぎだ。


 フェニックスとは構造が違いすぎる。


 だがまぁ、一度過去に作ったことがあるなら、あれくらいだったろうな?」



 三年余り前、マリーに神器をプレゼントしたときのこと、だ。


 はっきり言って、工材があっても出来上がるのが早すぎた。


 ボクはフェニックスの後に残されたもので、何か作れないか?と聞いただけ。



 そしたらストックが、あのとんでも神器を作ってきた。


 僅か数日のことだ。



 ボクの推測では。


 あれは、前の時間。コンクパールで石になったボクを。


 救い出すために、ストックが作り出した神器だ。



 おそらく、フェニックスがあったから、ストックは死ねなかったのだ。


 その後何とかして、フェニックスから聖人を作った。


 同じ工程だから、今回も早く作れたわけだ。



 ボクとしては、気になるのはその後、ストックがいつまで生きてたのかな?くらい。


 だってどうせ。



「で。ボクの体は石から戻せたけど。


 動かなかったか、別人だったかのどちらかあたりかね?」



 様子を伺いながら、おそらく逃げ出せるように力をためていたストックは。


 全身の力を、抜いて、大きく息を吐いた。



「……お前も何か、知り得ないものを知る力を持っているんじゃないか?」


「そんなものないよ。


 まぁこの物事をほとんど忘れない脳みそは、ちょっと特別製かね」



 魔素制御は偉大だ。


 おかげで頭の回転も速くなり、物はほとんど忘れず。


 ついでに、何か優秀なセンサーまで多数ついている。



 たまに記憶飛ぶけど。


 さっきみたいに飛ぶの、本当にごくまれだけど、あるんだよねぇ。


 ただ最近、ちょっと多い、かな?



 しかし、知り得ないものを知る、ね。


 思い返せば、だからいまだにマリーは、ストックをへたれ呼ばわりするのかもね?



 あの子は予言の力で、何かを知っている。


 それが理由でストックをそう呼んでいる。


 マリー相手でもあるまいに、あそこまで煽るのには理由があると思う。



 たぶんこういう……意気地がなくてボクに言えない秘密が。


 ストックには、まだあるんだろう。


 多少気にはなるね?証拠がないから、黙っとくけど。



「…………はぁ。白状するよ。


 半島が魔界になるまで……7年余り生きた。


 その後は聖人を壊して果てた。


 それで、お前の体は……」


「石から戻したら、聖女ウィスタリアが目覚めた」



 ストックが目を見開いて、しかも少し青ざめてる。



「君、さっきのリコの話に反応しすぎだよ。


 聖女を復活させるってだけなら、過剰だ。


 ボク絡みで何かあるのだと思い、繋げた。


 合ってるだろ?」


「…………合ってる。


 お前を恐ろしいと思ったのは、前の時間の王都以来だ」


「そりゃいいね。


 あの頃のボクくらいにはなれているのなら。


 また君を――――救えるってことだろう?」



 ストックがはっとして。


 目をそらして。


 上を見上げて。



 俯いた。



 …………言えない、か。



「ま。詳しい経緯はまた聞かせてくれよ。


 さっきの話、中に共有した方がいいモノがあるはずだ」


「…………あるのか?」


「ボクが喚んだアウラの忌み名は。


 『ウィスタリア・アウラ』だぞ。


 関係があると見るべきだ。


 君が会ったウィスタリアの情報は、余さず寄越してほしい」



 マドカやアリサのことを鑑みるに。


 その備えと対応は、必要だ。


 来ないだろう、何もないだろうと見積もるのは、楽観が過ぎる。



「わかった。帰ってから、書き起こそうか」


「頼むよ。


 他にもたんまり隠してるんだろ?


 ボクはそれでいいから、元気出せよ、ストック」


「は?いや、いいのか???」


「いいよ。いい女ほど、秘密が多いってね。


 内緒にしてることが多いのは、前の頃から一緒じゃないか」


「…………すまないな」


「ふふ。そういう煩悶があるから、君は綺麗なんだよな、ストック」


「や、えぇぇえぇ……?」


「ボクみたいに、枯れた女よりよっぽどよかろ」


「別にハイディは枯れてなど……あー。いないと、思う」



 珍しく弱気目になったな。無理せんでもいいのに。



「ところで。


 色っぽい時間は……もう終わり?」


「んっ。今日はその……終わりで」



 今日って……そういや外も暗いな。もうそんな時間か。



「じゃあ支度して寝ちゃおうか。


 まずお風呂かな。部屋に浴室ついてるみたいだし。


 いこ?」


「…………ん」



 ちょっと記憶飛んじゃったせいで、堪能感が薄いし。


 イチャイチャもちょーっと足りてないけど。


 まぁいいか。



 共和国にはきっと、また来る。


 その時もう少し、楽しむとしよう。

ご清覧ありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[一言] ハイディが作るとしたらどんな卵料理なんだろうねえ
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