表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/518

6-5.同。~魔からも外れし、怪異に挑む~

~~~~冒険者になった。しかも初仕事決まった。早い。早くない?


 領兵に事情を話して――前の車両間引きの人が、まだ戻ってないことを聞いて。


 鉄扉を開けてもらい、クルマに乗ったのまま中へ。


 洞窟は浅く、入ってすぐにダンジョンの門があり……そこを潜り抜けた。



 内部は、質感は違うが先の天然洞窟の続きのようでもある。


 神器車が余裕をもってすれ違える程度には広さがあり、天井も高い。


 暗いんだろうけど……神器車の「窓」は魔導で外部を映し出しているものなので、周囲の暗さは関係ない。



 外に出たときは、真っ暗だから気をつけないといけないけどね。



 そのまま、荒れた地面を滑らせていく。



「…………間引きはされているようだな」


「そうだね。僅かだけど、眷属の残骸がある」



 血痕とか、肉片が見える。


 血はともかく、肉はあまり時間が経ったら残っていないはずだ。


 そして一部しか残ってないので、これは眷属のもの。人ではないな。



 眷属が神器車で轢かれ、体の大部分を魔力流に消されたんだろう。



 このダンジョンは入り組んでいるというほどではないが、分かれ道はあるようだ。


 差し掛かったら、左に曲がる。



「こっちでいいのか?」


「神器車での間引きの常識は、左回り。


 これで先行を追いかけるのが、一番近道だ」


「なるほど」



 もう一度左折。


 やみくもに回っても、生存者や魔物、手がかりを見つけるのは難しい。


 だが、こちらで正解のようだ。やはり、眷属の残骸がちらほら見える。



 このまま行こう。



「ストック、スロウポークとの戦闘経験は?」


「ある。いや、すぐ首を刎ねて終いだから、戦闘とは言えんが。


 ハイディはあるんだな?」


「神器車でのダンジョン間引き依頼中に、4回ほど。


 一番多かったときは、三匹に囲まれた」


「神器の魔力流が効かないのに、どうやったんだ?」


「ストックはどうやって倒したのさ」


「神器でそのまま叩き斬った」


「こっちもだよ。ほどよく車体で体当たりしてひき潰す。


 まぁ一体ずつだけどね。おっと」



 …………いた。前方に一体。まだ後ろを向いている。



 スロウポークは、二本足で立つ何かだ。背丈は2mくらい。



 肘から下と、頭が、丸太か何かのようなものになっている。


 豚の名がついているが、太いわけではない。どちらかというと、細く高く、不気味だ。


 豚なのは、鳴き声だ。どこから声出てるかわかんないけど。



 珍しい、人型の魔物。そして、魔力流が効かない。


 流れを越えてくる。



 ただ非常にのろく、強くはない。


 強度も、あの丸太以外は大したことはない。


 首は細く、ここを斬られると再生もせずに死ぬ。



 なお神器車でどうにかする場合は、頭の丸太に当たりに行く。


 そうすると、首がもげて死ぬ。


 魔力流が効かないのと、膂力が大きいことが脅威だが、わかっていればそう強くはない。



 アクセルを踏みこもうとしたら……ストックが声を上げた。



「おい、ハイディ。


 ……後ろにもいるぞ」


「は?」



 分かれ道やないぞここ、どっから現れた??


 見上げてミラーを確認すると、確かに後ろにも一体いる。仄かに、赤いような……。



 まずい。前のが振り向いた。しかも、両方が右腕を掲げ始めている。


 いつの間に戦闘態勢に入った!?



 ――――まずいと思ったら、不敵に笑え、ハイディ。



 かつてボクに運転のいろはを教えてくれた人の言葉が、蘇る。


 恐るべき技術を持ち、かっこつけることに執念を燃やす人だった。


 その方がかっこいいと思ったら、不可能だって捻じ曲げる。



 ボクもだいぶ影響を受けている。


 クルマをサンライトビリオンと名付けたのも、その人の真似だし。


 今、思わず口の端が吊り上がってるのも、そのせいだろう。



 無意識にハンドルを握り直す。


 シフトレバーを操作、ディレクションギアをニュートラルに切り替えて、アクセル。


 ボクの愛車が、気炎を上げる。



 あの少年のような大人の口癖が、勝手に口をついて出た。



「――――いくぞサンライトビリオン、閃光のように!!」

次投稿をもって、本話は完了です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

――――――――――――――――

幻想ロック~転生聖女は人に戻りたい~(クリックでページに跳びます) 

百合冒険短編

――――――――――――――――

残機令嬢は鬼子爵様に愛されたい(クリックでページに跳びます) 

連載追放令嬢溺愛キノコです。
――――――――――――――――
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ