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【完結】逆行した幼女と令嬢は車で旅に出る~ボクは4歳で攻略されたので、乙女ゲーや王子たちは今更来てももう遅い~  作者: れとると
第二章幕間.聖暦1086年秋~1090年冬-みんなでわちゃつく日々-
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C-4.同。~共和国の麦を味わい、次へ~

~~~~これはいいやつ。腕のいい方だ。ぜひお招きしたい。


「ほい。エールレッド。お嬢ちゃんたち二人でいいんだな?」


「「はい」」



 まずは一口。


 ――――これは。



「うまいな」


「うん。一度アルコールを抜いているはずなのに、いいエールだ」


「ああ違うんだよ。最初からアルコール抜きのを作ってる」


「「!!??」」



 びっくりして、思わず顔を上げた。



「秘伝の製法ってやつさ。酒は勝手に作っちゃ駄目だからな。


 ああ秘伝っていっても、うちじゃなくて、俺が作ったものだけど」



 よし。この人をパンドラに連れて帰ろう。


 ストックと密かに頷いた。



 たぶんこれは、アルコールを入れたら入れたで、いいのを作ってくれる。


 なんてこった。こんなとこに腕のいい酒造者がいるとは。



「さぁ次の皿だ。たっぷり味わっていってくれ」



 もちろんだ。


 エール片手にこれほどの焼き鳥とは。


 最高じゃないか。




  ◇  ◇  ◇ 




 ベルねぇとギンナが少し店主とお話して。


 こちらに戻ってきた。



「おいしかった」


「満足だ。


 さすがにあまり量は食べられないがな」


「腹二分ってとこ?」


「「そう」」



 おなかを満たすほど食べるのはさすがに大変だ。


 けど、屋台はのれんを下げた。


 今日の分は食べきらせていただいた。



 まさに、丸羽鳥を余すところなく味合わせていただいた。


 満足だ。



 せっかくの丸羽なのに、卵がないのはいただけないが。


 それは……たぶんストックが何か、企んでるんだろう。



「じゃあ次は、たっぷり目に食べられるところにしましょう。


 四足の――揚げ専門店です」



 ほほう。


 このボクを揚げ専のとこに連れて行くとは。


 ずいぶん自信があるのだな?ベルねぇ。



 これは楽しみだ。



 いつも食わせている揚げで、舌が肥えているこの二人が。


 なお食わせたいと思う、うまい店。


 いいね。実にいい。



 腹が鳴るのを抑えるのが、大変だ。



 少し歩いたところの店で、引き戸を引きながら、ベルねぇがのれんを潜る。


 …………ここ、木造だらけで明らかにどっかの国みたいな風情なんだけど。



 共和国は、文化由来が謎なところがあるよな……。



「来たなベルっ子。ほんとに全部食ってくんだろうな?」



 扉には貸し切り、の札がかけられていた。


 ここも、ボクら向けで一日分使ってくれるようにしてくれるのか。


 ベルねぇたちの配慮に感謝だ。遠慮なく食べられる。



「はい。まだおなかだいぶ空いてますし、大丈夫ですよ」



 言ってなかったかもしれないが、ベルねぇとギンナも食べる勢だ。


 ボクたち8人はうち5人が、大食乙女ということである。


 あとビオラ様も……ボク以上に食べるんだよね。



 なお近年加わった7人もたいがい食べる。


 ……いや、全員よく食べる。


 彼女たちのおかげで、調理負担は爆上がりだ。



 なんでみんなあんなに食べるの?


 マリーとダリアくらい慎ましやかでもいいのよ?



「よし、じゃあ揚げたてを出していく。


 じっくり行くから、しばらく待っててくれ。


 ああ、カヤさん。お茶だけ出してあげてくれ」


「はいはい」



 女中さん?の給仕がカウンターの四席にお茶を並べていく。


 まだ熱々だ。しかも量が多い。


 これは……少しずつ飲んで。冷めた頃に揚げが来るな。



 そして口の中を、さっぱりさせてくれるやつだろう。



 こちらは手洗いをさせていただいた上で。


 カウンター席にベルねぇ、ギンナ、ボク、ストックの順で座る。



「ストック、そのお茶はあと。香りだけ楽しんでおきな」


「ん?わかった」



 ちょっとカウンター向こうで絶賛揚げ中の店主に見られた。


 何かこう……ターゲッティングされたか?



「そうそう。後でさっぱりさせてくれるので。


 熱々も口の中に広がる香りがいいですけど。


 冷めた時が濃くて美味しいです」


「そうなのか……ん。確かに、これはいい」



 ストックが少し口に含んで、熱さをのけながら楽しんでいる。


 ボクもほんの一口。……とても濃い香りだ。


 緑茶というんだったか。これは地球でもあるものと同じ名称だ。



 茶葉の発酵で色が変わるんだったかね。


 ボクらが普通にお茶と呼んでるのは、いわゆる紅茶だ。



 さて。


 揚げのいい音でも聞きながら、しばらく雑談でもしようかね。



「そういえばハイディ。


 あれ以来、またあなたも何か作ってるの?」



 おっと、先にギンナに聞かれた。


 「あれ」とは、マリーのクルマ――人型神器・不死者(survivor)だ。


 マリーは最近もあれで元気に、魔物掃討を行っている。



 普通にダリアとドライブにも出てるみたいで、とても楽しそうだ。


 お土産や土産話をよく持ってくる。実にいいね。



「ん、んー?作ってはいないよ。製作は娘たちに任せてる。


 ボクは研究」


「何研究してるの?


 最近のハイディ、ずっとマリーちゃんと一緒だし」



 なぜそこで拗ね気味なんだね、ベルねぇは。

次の投稿に続きます。


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― 新着の感想 ―
[一言] 近年生まれた和紅茶とか飲ませた時のハイディの反応見たいな
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