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【完結】逆行した幼女と令嬢は車で旅に出る~ボクは4歳で攻略されたので、乙女ゲーや王子たちは今更来てももう遅い~  作者: れとると
第二章幕間.聖暦1086年秋~1090年冬-みんなでわちゃつく日々-
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C-3.同。~肉の一:丸羽鳥の焼き鳥~

~~~~そういや今生で共和国に来るのは初だ。久しぶりって感覚だが。


「今日はこっちの、ウェイ通り沿いを行きますね。


 川辺で、いい感じのお店が結構あります」



 ロード共和国の都市は、だいたい確か名前のついた通りが5つあるはず。


 そのうちの一つだったかな。


 水源から流入した小川が、近くを流れてるんだよね。



「こちらです」



 そうしてベルねぇは、一台の屋台……屋台?を示した。


 木造の、荷車を改造したような屋台。


 やはり木造のベンチが一つだけ出ている。四人は座れそうだ。



 のれんがかかっていて、○の中に羽って書かれてる。



 連邦でもこういう屋台は何度か見たけど。


 どういう文化発祥なんだろうな……。


 明らかにこう、世界観に反する、ような。



 まぁいいか。生きてる人間にとっちゃ、些細なことだ。



 というかここ、昼間っからやってるような店なのか?


 ボクの心配を他所に、ベルねぇとギンナがのれんをくぐっていく。


 ストックもそれに続いたので、ボクも端に座りに行った。



「おお、待ってたよベルちゃん。


 仕込みは十分。今日はたっぷり食べて行ってくれ」


「ありがとうございます。


 でもほんとによかったんですか?」


「いいのいいの。


 どうせ実家で余ってる丸羽を、買い取らされてるだけなんだから。


 でも長持ちはしないからね……なんとか食いつないではいるけど。


 おっと、お初の方に話すことじゃなかった。


 お嬢さん方、焼き鳥は分かります?」


「ああわかる。食べたこともある」



 何せボクが作ったからな。


 パンドラの丸羽鳥を捌いて、思いつく限りの鳥料理は作ってる。


 焼き鳥もその一つだ。わざわざ焼き台とたれをこしらえてやったぞ。



 さぁ本場共和国の焼き鳥、堪能させていただこうじゃあないか。



「ボクもあるので大丈夫です。


 とりあえずハツ、ナンコツ、カワからいただけますか?


 タレと塩で」


「そこから行くのか!?こっちはモモとネギマ、あとレバーだな。


 こちらもタレと塩をそれぞれくれ」


「あ、私たちもそれで」


「あいよ。ちょっと待ってな。


 何本ずつだい?


 ギンナちゃんのにそろえていいのかい?」


「ええ。私より食べる子たちだから、まずはそれで」


「いいねぇ。今日の分、売り切る気でいくからね?」


「支払いと胃の容量は大丈夫ですから、お任せを」



 ボクが答えると、満足そうにうなずいた店主が焼きに入った。


 十分に温められた焼き台に、たれにつけられた串が並んでいく。


 さりげなく置かれた手拭きをとり、手をきれいにしながら待つ。



 串にささった肉、そしてかかったたれに徐々に火が通り、匂い立つ。



 ――――これは。



 炭火の向こうの、匂いの鮮度が、伝わってくる。


 鳥だけじゃない。この感じ。



「長い期間を経たつけだれが、共和国焼き鳥の主流と聞きましたが」


「おお、よく知ってるね。


 だがありゃダメだ。たまに客の腹壊すやつがいる。


 もうちょっとからっとしたとこなら、いいんだがね。


 管理に気を付けてりゃいいって面もあるが。


 なら最初から手間を惜しむなってとこでね」



 魔導も加味すれば、保存方法は確かに十分にある。


 だが衛生面を言い出すなら、そも仕込みから消費までは近い方がいい。


 寝かせたほうが味がよくなる、という利点も当然あるわけだが。



 ここの店主は、味と衛生なら、衛生をとるということか。


 いや……それはそれとして、味を落としてる感じはないな。


 たれの製作自体に、十分な工夫があると見るべきか。



 さては、それでたれがダメになりやすくなってるな?


 だから他店より気を遣っている。


 何を使っているかは、まだわからんが……はて。



 遠めの火で、脂がじっくりと落とされていく。


 ……実家から押し付けられる、ということは。


 かなり大量生産寄りの丸羽だな?



 なるほど。


 脂に癖があるから、よく飛ばす必要があり、さらにたれにも工夫がいるのか。



「まず皮からね。軟骨、ハツの順で出すから」



 皿が置かれていく。


 ボク以外の子はネギマからみたいだ。



「「「「いただきます」」」」



 一口。



 ……ミルキーな皮だ。


 臭みがない。食感もいい。そして……タレの味がしない。


 とても香る。もちろん味は十分。だがタレじゃない。



 塩の方も一口。


 ……塩は十分。だが塩ダレの味ではない。


 とろみと濃さはある。



 タレは香り、触感、風味をつけるために使っているのか。


 それを炭火でじっくり焼きこんでる。


 味は丁寧に、下味をつけているんだな。



 いい仕事だ。


 そしてこれは――――



「おじさん、エールレッドってあるんでしたっけ?」


「ああ、聞いたから用意したよ。


 あれ飲んでくれるのは嬉しいねぇ。


 ファイアもそうだけど、勧めても飲んでくれなくってさ。


 ちょっと待ってな」



 なんと。共和国であれを飲めるとは。


 王国のカクテルなんだよなぁ。


 一応、レッドの方はだいたいどこでも作れるが。



 そういや、共和国の農産は麦が主流だ。


 連邦は穀物全般で、麦もかなりやってるが、麺向きなのよな。


 こっちはパンとかでの消費が主だ。



 そして連邦の酒と言えば清酒――米から作る酒で。


 共和国なら、エールだと聞いている。


 王国を始め、諸外国とはまた違ったものになっているのだろうか。



 こう、地球の知識があると。


 明らかに和食系の食文化なのに。


 米じゃなくて、パン食が主なの、脳がバグリそうになるが。



 ああいや、米文化もちょっとあるんだっけ?


 難しくて、あまり生産できてないだけで。


 確かそういう、宗派があったはずだ。



 聖女が食通だったらしく、米を好んだという逸話があり。


 これに則って、米を愛する人たちがいるんだと。

次の投稿に続きます。


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― 新着の感想 ―
[一言] 焼き鳥は塩皮好き美味しいのだと塩の焼き鳥丼とかする。なお大抵勧められるネギまは葱がダメなので食わない
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