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【完結】逆行した幼女と令嬢は車で旅に出る~ボクは4歳で攻略されたので、乙女ゲーや王子たちは今更来てももう遅い~  作者: れとると
第二章幕間.聖暦1086年秋~1090年冬-みんなでわちゃつく日々-
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C-2.同。~彼女たちの目指すところ~

~~~~控えめに言ったけど、意識飛んでるんじゃないかと思った。ベルねぇ。そんなに?


 一方、王立魔導学園では好成績を収めており、マリー、エイミーと並んで講師となった。


 まだ初等部なんだが……ベルねぇだけはすでに教壇にも立ち、精力的に活動しているとのこと。



 目標となる学園考査1950点に今年は届かなかったが、1900点強までをマークしている。


 1950点以上の三年連続取得を在学中に達成するつもりだ。



 この点数を満たすと、永世教授として一気に教授職に至れる。


 研究室も与えられ、一定の予算ももらえる。



 各試験の10%は、各分野の専門家の「頭の中当て」だ。


 200点のうち20点はそういう問題なので、10科目試験で200点。


 つまり1800点から先は、各分野の最先端を網羅していないと話にならない。



 そして実際の問題は、先端研究を理解している、が前提であって。


 正解する方がおかしい問題しか出ない。


 しかも総記述式。偶然の正解はあり得ない。



 当然、わかるやつはその分野で、その人に並ぶと評価できる。


 それを三年連続で全分野でとられたら、そら学園は白旗上げるしかない。



 今までの学園の歴史では、18~20歳の間に達成する人しかいないそうな。


 それも、史上まだ10名程度しかいない。


 先々代の学園長がそうで、以降はまだ出ていなかったと記憶している。



 在学中の達成は0。


 ベルねぇがとれば、そりゃ話題性抜群。


 そして潤沢な予算も得られるから、それで自身の力をさらに研究できる。



 彼女は「二択なら正解の方がわかる」という資質を持っている。


 これを解析し、何らかの方法で再現することで。


 共和国の永年議員となるつもりだ。



 共和国の議員は、選挙で選ばれる公選議員、持ち回りの役選議員、そして常任議員の三つが主で。


 それに加えて、現在二票だけ「永年議員票」というのがある。


 偉大な業績を残した議員の、投票基準を魔導で解析、保管。この基準をもとに行われる投票だ。



 当然、本人にも十分な報酬と名誉が約束されている。


 そして基準が真っ向から対立する現行の二票に対し、120年出ていない3票目が加わると。


 共和国の政治は、かなり根底から覆ると言われている。



 「必ず正解がわかる」というその仕組みが明らかになり。


 これが永年議員票に加わる、となると。


 その栄誉、まさに王と呼んで相応しいものになるだろう。



 そして王国の高位貴族の娘である、ギンナを傅かせるつもりなのだ。



 ぶっちゃけ結婚したいだけなら、永世教授だけでも十分なのは十分なんだが。


 ギンナは、ベルねぇを王にしたいのだ。


 そのため、ファイア大公家の力を積極的に利用しつつ、裏でベルねぇの政治活動を手伝っているらしい。



 なので最近は、二人して共和国にもよく来ている。



 一応、パンドラの転送路の一つと、ロール家所有の転送路が結ばれてるので、行き来は簡単なんだがね。



「……ベル」



 遠い目が長いベルねぇの袖を、ギンナが引っ張ってる。


 そんなに趣味がかわってらっしゃるのか。君のお父さまとお兄さまは。



「はっ。ごめんごめん。


 ハイディもストック様も、おなかすいたよね?」


「すいたが、もう様はいらないんだぞ?ベル。


 君は共和国民になった。私とはある意味、対等だろう」


「ふふ。じゃあストック。何から食べたい?」


「そうだな。最初は丸羽からでどうだ」



 お?最後に回されると思ったけど。


 ……なんか企んでるのか?



「じゃあ行きましょうか。


 今日は朝から動いてて、私もおなかが減ったわ」


「はい、こちらですギンナ様!」



 ボクには何も聞かれず、ベルねぇが案内を始めた。


 やっぱ何かあるなぁこれ……。


 ストックは素知らぬ振りをしているけど。



 なお、ベルねぇはギンナのことはいまだに様付けだ。


 何かこう、思うところがあるんだろうな。





 この街の名はロードⅩⅢ。13ある共和国都市、最後の一つ。


 西端の水源近くにあり、昔は水運もやってた、そうな。


 今は外洋に出られないとか、聖国とは行き来が少ないなどの理由で、あまり行われていないとか。



 丸い外壁に囲まれたこの街は、ちょっとごちゃごちゃしている。


 道は整備されているが、通りは広くない。


 馬車道としては十分なんだが、あまりクルマ向きではないんだよな。



 なので街を回るときは、基本徒歩になる。


 前の時間も来たことはあるけど、そこがちょっと不便なんだよね、ここ。



 街並みはその時と、あまり変わりがなさそうだが……。


 あの時はいたるところに、外国人お断りの札が立っていた。


 食料を始め、半島全体が困窮しかかっていたので、共和国は自国民保護を優先していたのだ。



 そりゃ王国も連邦も滅んだあとだからね……無理なからん。


 結局、共和国らしい飯は何も食べられなかった。


 帝国や聖国に比べればおいしいのはおいしいけど、高くて無個性な感じだったなぁ。



 食べられるだけ、ありがたくはあったけど。



 あの頃は、魔境でなんとか魔物を狩って。


 ばらしたのを必死にクルマに詰め込んで。


 安全圏で食べる、くらいしかなかったからね。



 他にまともな食糧確保手段がなかった。



 共和国と帝国のダンジョンは国に管理されてて、外国人は入れなかったし。


 聖国はそもそも、ダンジョンに魔物が出ない。


 食べ物を潤沢に得たければ、魔物ひしめく魔境を往くほかない。



 おいしいから、その点はほんとよかったけど。


 あれで食えたものじゃない食材だったら、さすがに生きるのを諦めていた。


次の投稿に続きます。


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