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【完結】逆行した幼女と令嬢は車で旅に出る~ボクは4歳で攻略されたので、乙女ゲーや王子たちは今更来てももう遅い~  作者: れとると
第二章幕間.聖暦1086年秋~1090年冬-みんなでわちゃつく日々-
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C.女四人、共和国肉巡り

――――普通にお肉食べまくって帰るだけのつもり、だったのに。なぜここにいる。


 見上げる空が、いつも見るところよりだいぶ近い。


 今日は快晴。雲一つなく、太陽はまだ頂点にあがり切っていない。


 そして空には――――何もいない。



 この半島には、空を飛ぶ鳥がいない。


 これ、ゲーム知識が入って、しばらくしてから気づいたんだよね。


 ボクらにとって、鳥とは地を行くもので、空を飛ぶものではないから。



 なんでかっていうと……空飛ぶ魔物に食いつくされたからだ。


 他の動物だって、人類の生存圏にしかいない。


 野生動物は、人の庇護下でないと生きていけないのだ。



 そして空は守れない。


 いくらかは、流れの囲みの中にいた時代もあるのだろうけど。


 いつの間にかいなくなり、地上にだけ、残ったという。



 そのためか、半島人にとって鳥とは、ある種、家畜の別名でもある。


 三種の鳥が、共和国、連邦、そして帝国と聖国の一部で飼育されている。



 ボクが信仰を捧げる丸羽鳥。たまごすばらしい。


 そして四足鳥。地球で言う豚や猪に近い。


 豚や猪は、こっちではそれぞれ特定の危険な魔物の別称だ。



 最後が牛鳥だな。まんま牛だ。退化した羽はついてるけど。



 共和国は、そのすべての畜産が盛んだ。丸羽鳥が中軸だが、四足や牛もやってる。


 そしてそれぞれを使った料理を出す店が、たくさんある。


 鳥肉は、共和国民の大事なたんぱく源なのだ。



 そう、共和国。ボクらパンドラの一部の人間は、今、ロード共和国に来ている。


 目的はいくつかある。



 ダリアやエイミーを始め、魔導・技術寄りの人間は、ここで盛んな特殊な魔術が目当てだ。


 共和国固有の、繊細な魔術や魔道具の大家とお会いすることになっている。


 エングレイブ王国所属研究所パンドラとしては、大事なお仕事だ。



 それに付随し、パンドラ政治担当のモブリンさん、ビオラ様とスノー、そしてミスティとメリア。


 彼らは、共和国のお偉い人のとこを歴訪だ。


 今回の訪問の実現へのお礼を述べるとともに、今後のお付き合いのため、交渉を進めていく。



 他にも技術交流、交渉、買い付け、見学などでだいたい皆、この共和国に入っている。


 神器船パンドラ自体は、国外の近いところに停泊中だ。



 そしてボクとストックの仕事は――――料理店の誘致だ。



 連邦から、素晴らしい麺の専門家たちを招くことに成功した。


 パンドラの炭水化物摂取状況は、非常に良好となった。



 そして畜産に成功しつつあるのだが、実はうまくさばける人がボクしかいない。


 ……手が回らない。なので専門家を招きたいとなり、ベルねぇとギンナに相談した。



 何せ彼女たちは、今。



「お待たせ、ハイディ」


「ごめんなさい。少し遅れたわね」


「気にするな」


「ちょっと早めでの集合だったし、大丈夫だよ。


 で……ロール家はど?ベルねぇ」


「良くしてもらってるよ。


 お父さまは、趣味は変だけどいいひとだし。


 カイト兄さんは、趣味は変だけど頼りになるし。


 …………。


 ハイニーは癒しだなぁ」



 少し遠い目をしている。



 ベルねぇことフィリアル・フリーは、正式にベル・ロールとなった。


 ロール家は共和国評議会の常任議員を二人も輩出している、結構な御宅である。


 今言及のあった、カイト……ローカイト氏と、ハイニー……ハイニル嬢がそうだ。



 ちなみに、その二人も養子だそうだ。


 別にロール家は優秀な子を集めているわけではなく。


 ただ見捨てられず孤児を拾い、育て、巣立たせる人なんだそうな。



 そうしてたくさんの子を見送ってきた「お父さま」ことカール・ロール氏は。


 もうそれなりのお年である。



 で。この養子話だが。



 ギンナ経由でファイア大公家からベルねぇの話が行き、二つ返事でOKされ、話が進んだとのこと。


 ファイア大公家は、聖教聖女派の国である共和国にもコネクションを持っていて、ロール家はそこの一つのようだ。



 そんなにすんなりいくもんかという気がするが、ベルねぇの母エリアル様は嫁に出す感覚でOKしたらしいし。


 ロール家は大歓待の構えだったそうだ。



 対面したとき、ベルねぇの真の目的を聞き、爆笑した後、是非にと受け入れられたと聞いた。


 なんというかこう……ロックな方たちだ。


 王国大公令嬢を嫁に娶るため、共和国の王になると言われ……それに乗ろうとするんだから。



 とはいえ、ロール家自体が力を持った家とは言い難い。


 ベルねぇは自身の才気で、その道を進み始めたばかりだ。


 さしあたって、共和国内ではまず選挙で評議員となる道を目指すそうだ。



 ベルねぇはまだ未成年なので、いろんな人にご挨拶しつつ、地盤を固める日々なんだとか。


 選挙に出られるのは、成人してから。誕生日を迎えればOKだ。


 おそらく15になった冬、年末あたりが、初選挙になるだろう。



 さすがに一発目は無理じゃないかなぁ、とは思うが。

次の投稿に続きます。


#本話は計9回(18000字↑)の投稿です。


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