表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】逆行した幼女と令嬢は車で旅に出る~ボクは4歳で攻略されたので、乙女ゲーや王子たちは今更来てももう遅い~  作者: れとると
第二章幕間.聖暦1086年秋~1090年冬-みんなでわちゃつく日々-
343/518

B-4.同。~ハイディの光に灼かれ済みの女たちのコメント~

~~~~おのれストック。さらっと地雷を置いていきやがって。


「では続きまして。王太子内定の王国第二王女様!」



 公式には、ボクが王族入りしてないので第一王女なんだがね。


 ボクは今の……パンドラ職員という身分のままだ。


 準備ができたらシルバの爵位をいただき、家を興すことになっている。



 王族には復帰しない。



 まって。その子、ボクの妹なんだけど。



『あ、姉上と!?あ、ではなくハイディ、と想定しろと。


 ん、んー。んー……恋人ねぇ。ちょっと恋人、自体が私、想像つき辛いのだけど。


 今のビオラのような立場だと思えばいいのかしらね。


 それなら…………ひゃ』


「この後、スノー叔母様はしゃがんですごい悶えてらっしゃいました。


 しばらく続きます」


「おのれスノー!!」



 なんでストックはそこでいきり立つん?



 あと、クエルとシフォリアはボクの娘なので、血縁上はスノーの姪にあたる。



『…………はぁ。ちょっと落ち着いたわ。悪かったわね。


 あの人は私の憧れなのよ。少々刺激が強いわ。


 ビオラと比べて?その比較は無理ね。


 ビオラはまさに私の伴侶。妃よ。そばにいることが、無上の幸福となる。


 姉上はドキドキするけど、いろんな意味でするけど、ビオラとは違うわね。


 その……好きなのはすき、よ?』


「スノーめぇぇぇぇぇ!!」


「はい、短めですがここまでです。


 ストックお母さまは、リアクションが面白かったので飛ばします」


「なぬ!?」


「じゃあボクね。


 まぁ姉妹だしねぇ……そりゃそうだろとしか。


 抱いている感情が憧れってとこもポイントかね?」


「ん?何かまずいんですか?」


「理想と現実は違うものさ。あの子が見てるのは、理想のボク。


 そしてビオラ様という現実だ。


 そっちが幸福だというんだから、あの子は現実を選んでるんだよ」


「ほほー。コメントありがとうございました!」



 ま、いいお姉ちゃんではいてやろう。


 とはいえ、特別なことなんてしてないんだけどな。


 ボクのどこに憧れる要素があったし、スノー。



「では最後、我らが所長、ビオラ様!」


『ふふ。言っちゃっていいの?まぁ大丈夫ね。ハイディは。


 ごめんなさい、ストック。


 愛しているわ、ハイディ。大好きよ』



 ダンッと音がした。テーブルにめり込む勢いで、ストックが突っ伏してる。


 …………おでこ大丈夫かな。



『だって、あの子は私の希望。共に戦う仲間。


 ああ、私が勝手にそう思ってるだけど――ハイディはわかってくれている。


 そう、確信してるわ』



 ええ。あなたはボクと一緒に戦ってくれる、戦士です。


 あのふざけたゲームとやらの、運命と。


 あなたがくれた名は、ボクの誇りでもある。



『脳の魔素を制御できるといったあの子。


 本当は他の子から教わったそうなのだけど。


 でも見た時、違いは一目瞭然だった。


 活路を見出すために、いろいろやってきたけど。


 この子こそ、私の求めていたものだって、すぐわかったの。


 なのに……先に死んでしまって、本当に申し訳なかった。


 でも再会して、やはりハイディこそが希望だと想いを強くしたわ。


 だってあの子、あのくそふ……んん”。クレッセントを一人で切り盛りしたのよ?


 私にはできなかったことだわ。それをやってのけ……結末を自ら変えて、切り開いた。


 だから私、ハイディの望むものならすべてあげるわ。何としてでも用意する。


 ないとは思うけど――私自身を、望んだとしてもね?


 スノーに謝って。国を出てでもそうする。


 あの子の手を引いて、船を後にする勇気がなかった私は……そうしてでも、ハイディの力になりたい』



 そんなに考えててくれたなら、我がままいっときゃよかったな。


 こんな船一緒に出ようって。


 そんな可能性は、今から望むべきではないけど。



 ちょっと未練を感じる。きっと、楽しい道行きになっただろう。



『ふふ。そしてそれと同じくらい、スノーも大事。


 一目見て惹かれた。


 まぁ私は年だし、離縁済み、娘までいる。相応しい相手だとは、思わなかったけど。


 選んで、くれた。時を超えてまで、復讐も、約束も、全部果たして。


 あの人こそ、我が伴侶。我が王。


 比較して?んんー。まぁそれはちょっと難しいわね。


 もしどちらかを、という状況になったなら。


 私は二人を選ぶ。もう、諦めない』



 …………万が一ボクが、ビオラ様がいいって言ったら。


 スノーとボクを連れて逃げるということかね?それは。


 やりそうだなぁ。あの人結構、滅茶苦茶だし。



「お母さま」


「ん。まぁそういわれるくらいのことは、したつもりだよ?


 同じ戦場に立つことは、滅多にないけどね。


 我が師にして、長く共に戦ってきた、戦友だよ」


「良い関係ですね!……?ストックお母さま、何か?」



 ストックががばっと起き上がった。



「ビオラッ、お前もか!!」


「はい。コメントありがとうございました」


「流された!?」



 すっかりリアクション担当にされてるねぇ……。


 おでこちょっと赤くなってるな。


 冷たいものは今近くにないし、後で冷やしてあげよう。



「で、聞けて満足できたかい?クエル」


「はい。みなさんの人となりが知れてよかったです。


 その。未来ではあまり……関われなかった人もいるので」



 ちょっと濁したのはやはり、10歳前後から死者がでているから、と見るべきか。



「そりゃ何よりだ。今後十分世話になるといい」


「はい!お時間いただき、ありがとうございました」



 クエルがお辞儀して――腕輪を回収して、出て行った。


 素早い。取り返せなかった。



「…………あぁ!?腕輪持ってかれたぞ!!」


「そうだよ気づくの遅いよストック。


 君の管理が朴訥だったのが悪いということで、しばらく持たせておこう。


 そのうち、シフォリアが残りを持ってくるだろうしね」


「――――!ちょっと在処を確認……」


「ダメ」



 ボクは繋いだ手を固く握りしめた。



「はい、でぃ?」



 そして彼女の赤い瞳を覗き込む。



「お仕置きがまだだぞ?ストック」



 ――――逃げちゃだめ。



 囁くと、手で顔を覆って身悶えようとしたので、抱き着いて防ぐ。



「や、ちょ、ハイディ!?ひ、ひとま……」


「人いなくなったよ?


 だから、さっきのつづき」


「あ、こら吸うな嗅ぐな食むのは禁止ぁぁぁぁ……」



 最近、留守が多い君が悪い。


 胸の内を全部喋れとは言わないけど。


 君はボクのものだ。離さないからな?

ご清覧ありがとうございます!


評価・ブクマ・感想・いいねいただけますと幸いです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

――――――――――――――――

幻想ロック~転生聖女は人に戻りたい~(クリックでページに跳びます) 

百合冒険短編

――――――――――――――――

残機令嬢は鬼子爵様に愛されたい(クリックでページに跳びます) 

連載追放令嬢溺愛キノコです。
――――――――――――――――
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ