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【完結】逆行した幼女と令嬢は車で旅に出る~ボクは4歳で攻略されたので、乙女ゲーや王子たちは今更来てももう遅い~  作者: れとると
第二章幕間.聖暦1086年秋~1090年冬-みんなでわちゃつく日々-
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B-3.同。~ハイディの光に灼き尽くされた女たちのコメント~

~~~~マリエッタのせいで、マドカの内容飛んじゃったよ。


「はい、以上です。マリエッタさん気持ち悪かったです。


 お母さま、コメントをどうぞ!」


「容赦ねぇなクエル。


 マリエッタはこんなだよ。概ね予想通りだし、大丈夫」


「お母さま平気なんですか!?」


「?特に実害もないし。マリエッタは変な視線は向けてこないし。


 個人が内心で楽しんでることは、尊重するよ。


 彼女が言う通り、言われたくらいじゃ気にしない。


 その欲望に沿って、ああしてほしいこうしてほしいって言われたら、断るけど。


 それにほら、結局マリエッタが愛でてんのはエイミーだしね」


「お、お強い……。


 ストックお母さまは……刺激が強かったみたいですし、やめましょう」


「ハイディは私のだもん。あげないもん」



 もんとか言っちゃってるかわいい。


 しょうがないので椅子を持ってきて、隣に座ってあげる。


 テーブルの下で手を握るのは……まぁ許してやろう。



 人前で娘前だが、しょうがあるまい。


 何せまだ三人。半分残ってる。



「続きまして、帝国第二皇女。


 マリエッタさんの何がいいのかさっぱりわからないエイミーさん!」



 娘の毒が強い。


 ボクも多少同じ感想を抱いてはいるが。



『こい、びと……ハイディ、と。


 その。


 よろしくお願いします』



 ストックが目元を押さえている。



『ああごめんなさい今のやっぱなしで!


 え、録音始まってる!?


 ああええええええっとじゃあ、じゃあ!


 私溺れちゃうから、ダメです!』



 ストックの顔が一瞬明るくなって、やっぱり沈んだ。



『だってぜったいしあわせだし……。


 ハイディの隣にいる私は、もう私じゃない。なくなっちゃう。


 でもそれでもいい……私のお星さま。


 ああああいまのやっぱなしストックごめんなさい!!


 へ?マリエッタ?』



 お。声の調子が完全に変わった。


 とても濃厚な、情念を感じる。


 高く立とうとする女の、本性が出てくる、予感がする。



『ああ……そうね。マリエッタは私のすべて。


 私を作ってくれたのが、彼女。


 空っぽだった私を、お母さまと一緒に組み立ててくれた。


 でもお母さまはもういないから、私の世界はマリエッタだけなの。


 私、マリエッタにはちょっと依存してるの。自分でもわかってる。


 でもそれは、あの子の好みじゃないの。


 あの子は知らない私がいてほしいの。


 自分で組み上げた私が、予想や期待を超えることに歓喜するの。


 その時の顔がたまらない……愛してる』



 あー。なるほど。だからマリーがお友達言うたんだな。


 真逆だからっていうのもあるけど、それだけじゃなく。


 本当に歪んでるんだ。



 マリーが下水煮込みで咲く美しい花だとするならば。


 エイミーは虚空に咲くガラスのような花だ。



 元は外からの輝きを返すだけだった彼女。


 それがなぜか、内から光り輝くことがあった。


 マリエッタは、それを見てエイミーに陥落したんじゃないかな。



 とてもきれいだ。


 そしてその内から溢れる謎の輝きが、彼女の魅力なんだな。


 道理で。ただ明るいだけじゃなく、人を惹きつける子だなぁと思ったんだよ。



 そしてマリエッタは惹きつけられて……あんなんになったのかぁ。


 悍ましい魅力だな。



『ふふ。ハイディと私が恋人になったら、どんな顔をしてくれるかしら。


 ああでも……それは予想通りと受け取られそうね。


 ならしない。ちょっともったいないけどね』



 そしてそこに出てこないソラン王子。


 振られちゃったのはある意味、予定調和じゃったか。


 良い人だけど、エイミーの世界には、入ってなかったんだな。



「ハイ、エイミーさんでした。怖かったです!


 お母さま、コメントをどうぞ!」


「あのマリーが『お友達』ってはっきり言った女だ。さもありなん。


 ただ彼女の本性はなるべく見ないように。これはまずいものだ。


 本人もわかって、見せないようにしてるんだろうけど。


 なぁ?ストック。帝国女は業が深いな?」



 まぁ君は生粋の帝国人じゃないけどね。



「そこで私に振るのか……。


 実はエイミー、ラスト皇女はな。前の時間でそりゃあロックな死に方をしてるんだ」


「どんな?」



 ロックねぇ。まぁエイミーだしな。


 さすがに今の彼女の音声より、やばいのが出てこないと思うけど。


 ちょっとお茶を含む。



 クエルも喉が渇いてきたのか、ボトルに口をつけてる。



「追い詰められて、皇帝を暗殺した」


「「ブーッ!」」



 く、この……気管に入った。


 拭きながら自分の咳を落ち着け、クエルのとこに行って背中を撫でる。


 彼女の服にもちょっとついてるな。拭いとこう。



「帝位を簒奪するのかと思ったら、そのままどこかへ行方をくらましてな。


 帝国は滅茶苦茶になったらしい」



 なんだそれ知らん話だぞ。いつだ?



 ボクは前の時間、コンクパールに登る直前くらいまでは、それなりに情報を得ている。


 皇帝が暗殺されて、しかも帝位が継がれず滅茶苦茶になったなら、いくらなんでも噂になる。


 さすがに引っかからないレベルじゃない。あったなら知っててしかるべきだ。



 ストックよりは広く収集してたはず……なのになぜ、ストックはボクの知らない事件を知ってる?


 ちょっとかねてよりの懸念が現実味を帯びてきたな……。対策をとらなくては。


 きっとストックは、前の時間でボクより後まで生きている。



 しかも、まだかなりのことを隠してる。


 秘密は良い女の証だ。だがそれでボクの目的に支障が出るなら、対応は必要だ。


 暴きはしないが、備えはしておくか。



「す、ストックお母さまも、鋭いコメントありがとうございました」



 そう締めるんかい。

次投稿をもって、本話は完了です。


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