A-7.同。~少し先の道を聞く~
~~~~ユーザーに気に入ってもらえたようで何よりだ。後は作るだけだな。
学園には寮があり、王国8領からの支援金で運営されている。
シルバ領のはアウラ寮なんだが、領土の方が滅んでて王家直轄になってるから、この支援金がない。
国からの援助だけなので、施設や食堂やらいろいろ充実してないんだそうな。
……あれ?これボクが手をつけなくてはならない問題では?
領土復帰になったら、やらねばならん。
先んじてやっておかないと、いきなり寄付とか求められるぞ。
領土認定を受けただけだと、税金とれてるわけじゃないから何の資産もない。
これは話をつけて、パンドラ経由で予算注入しておかないとまずいな。
最初は緩くとおもっていたが、いきなりやることがありそうだ。
気を引き締めないと。
ビオラ様とも相談だ。
おっとそうだ。相談と言えば。
完全に別件になるけど、これは話しておかないと。
「マリー、これ終わったら研究にも手を出してもらうから」
「例のですか?」
「そ。ボクの名前じゃ出せないから、講師資格とった君がメインとなる。
君の力の研究でもあるし、二人でやるよ。
まぁもう何人か、プロジェクトに入って手伝ってもらうけど」
マリーを助教授にして、聖国から切り離し、ダリアを娶れるようにする。
そのための布石でもある。
それとは別に、ボクがやりたいものがあるから、手伝ってもらうという感じ。
もちろんボクの名前で発表とか無理だから、この子に矢面に立ってもらう。
パンドラとしての研究だから、所長のビオラ様でもいいんだけどね。
ただそうなるとパンドラの成果になっちゃって、正直もったいない。
別にこの研究所は、そんな有名にならなくてもいいだよ。
元から国のひも付きだ。存在そのものが十分以上の成果だから、何もしなくても面倒見てもらえる。
だから研究結果がある場合、パンドラが後ろ盾になって、個人で公表してもらう形にした。
マリーはその最初の一人となる。
ベルねぇやエイミー、他のクルーの方が先の可能性もあるけどね。
ま、ボクがやる以上、マリーを最初の一人にしてやんよ。
「ええ。更改された試験、十分な出来でしたし。
がっつりやりますからね。
ゴールは、魔結晶を結合させている要素または物質の特定、でしたっけ?」
「うん。ないとおかしいんだ。それを探す。
見つけて発表すれば、君は即助教だろうね」
もちろん、他所に再現実験とかしてもらわないといけないけど。
ただその宛てがつけば、内定くらいはもらえるだろうな。
魔石等の物質と、魔結晶を結び付けている謎の何かがある。
場合のよってはそれは、まだ発見されてない新元素だ。
働きが限定的なので、見つかってない可能性がある。
これを神器や、場合によっては人体の結晶からデータ採取。
様々な角度から分析を重ね、探していく。
パンドラは計測機器ががっつりあるから、いけるだろう。
まぁそれ以前に。
「すでに見つかるのがわかってるような言い方ですね……」
ボクは感覚的に、それがあるってもうわかってるんだけどね。
ただボクがあるって言ってるだけじゃだめだ。
誰もがわかる形にしないと。
そのための研究ってやつだ。
「そりゃ事前検証くらいする。
あるかないかわからない状態で、研究なんか始めないよ。
そんなことしたら、予算すぐなくなっちゃう。
時間と余裕があるときに何本も調査しといて。
いけそうなやつを本格的にやるの。
いけそうというか……人とお金を使ってもよさそうなやつ」
「そういうことも気にするんですね……」
「ハイディは商業寄りの研究者だからね。
世の人が皆、そこまで気にしてるかは疑問よ」
まぁそうか。成果が売れないやつは、ちょっと躊躇われる。
クレッセントでは死活問題だったので。
逆に、パンドラではそこまで気にしなくても大丈夫だ。
だからこれは、ボクの癖みたいなもんだな。
「ダリアさんは?」
「私はハイディ寄り。ただもっと慎重ね。
予算とってこれないから」
「なるほど」
「ボクだって、予算の提供元に利益還元しなきゃいけないから、必死なんだぞ?
普通に借金のこともあるからな。成果出さないと首が締まる」
「笑えないやつですね……」
と、こっちの話題もいいけど。
だいたい話したいことは話せただろうか?
「他にこう、入れてみたいものとかありませんか?」
「私はいくらか魔道具を出します。リストは後ほど」
「ありがとうジドゥさん。ケルケンソさんは?」
「すぐには……そうですね。
総神器機構のいずれかのメンテナンスを手伝わせてください。
それで何か思いつくかと」
「それなら、アっさん。単車一台やるんでしょ?」
「ああ。よし、じゃあ手伝ってくれ、ケル」
「わかりました。何か思いついたらお知らせします。
いつまでですか?」
「仕様が固まったらまた相談するから、それまで。
半月くらいかなぁ」
「あんたにしちゃ随分かけるわね?」
「君とマリーを事故らせたくねぇし。
ダリアは?」
「ん。そうね。使えそうなのリストにしてあるから、後であげる」
「さすが。マリーは細かく聞いてくから」
「人型神器と聞いて、いろいろ妄想膨らんでますからね!
たっぷりお話しましょう!」
よしよし。
好みのお茶とお菓子でも出しながら、いろいろ引き出してやるとするか。
楽しい開発になりそうだ。
次の投稿に続きます。




