表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】逆行した幼女と令嬢は車で旅に出る~ボクは4歳で攻略されたので、乙女ゲーや王子たちは今更来てももう遅い~  作者: れとると
第二章幕間.聖暦1086年秋~1090年冬-みんなでわちゃつく日々-
331/518

A-2.同。~要求を整理する~

~~~~割と友達らとクルーの人も馴染んできたようだ。よしよし。


「で。マリーのクルマを作るんだけど、それの方向性を決めたいんだ。


 結晶出力は計測が難しい領域だから、何でもできると思っていい。


 その上で、クルマで何をさせたいか?の意見を募ってる」


「クルマで」「何を」「させたいか、ねぇ……面白い聞き方だな」


「はい。せっかくなので、クルマってものでできることの可能性を広げたいので」


「ハイディ、それクルマじゃなきゃ……いや、神器車形状じゃなきゃいけねぇのか?」



 おっとさすがゴージさん。いきなり根底にぶっこんで来た。



「それは刀や槍でもいいじゃないか、ということでしょうか?」



 マリエッタがすかさず聞き返した。


 この人も考えが柔軟だなぁ。



「ああ。だがほかに条件があるんだろう?」


「人が乗れること、じゃないのか?ハイディ」


「……そうだね。マリーのクルマ、という前提だから、そこは最低限」


「乗る、というのは運搬、という意味ですよね?」


「ってぇなると、移動と積載が必要。


 中に入れる必要はねぇな」


「上にのせて運んでもいいし、陸を行かず、空を飛んでもいいのか」


「ハイディ、攻撃能力は必要ないのですか?」


「ん……神器である、という点だけ崩さないでください。


 ただ、超過駆動は場合によっては外してもいい」


「んむ……残るのは魔力流の発生機構か。


 ああ、だがパンドラの技術前提なら、魔力供給もか」


「そうですね。使わない意味はないので」


「ということは、魔力流と魔力は使える前提で考えていい。


 超過駆動は使っても使わなくてもいい。


 形状は問わない。


 必要な機能は、移動と人間の搭載だけ。


 合ってるか?ハイディ」


「…………うん。合ってるよアリサ」



 さすがに技術で食ってる人、その素養ある卵たちの集まり。


 要求はがっつり分析されて、しっかり定義されたな。



 三人、腕組し、向き合うようにして俯き唸っている。



「絞り切れねぇな」


「絞り切れませんね」


「ダメだなこれ。


 品質要求はないのか、ハイディ」



 おお、がんばってるなぁアリサ。


 あっという間にいろいろ学び取ってると見える。



「それがねぇ。頑丈さとかはもう担保のあてがあるんだよ。


 超過駆動考えなくてもいいって言ったのも、それが理由」


「リヴァイヴァー、だったか?」


「そう。ああでも、一つあったわ。


 対魔導師を考慮したいんだ。


 これはマリーの神器じゃ担保できない」



 魔導直撃だと、神器はさすがにぶっ壊れちゃう。


 聖人(reviver)の復活機構も例外じゃない。



「対魔導かつ対人、か」


「いえ、かつじゃなくまたは、ですね」


「そうだな。人が使わない魔導は今のところねぇが、せっかくだからわけた方がいい。


 神器自体を魔導から防衛できること、が必須だ」


「対人というところだと、制圧能力とかか?」


「あと検出ができれば便利ですね。


 前に、エイミーからハイディたちがそれを考えていると、聞いたことがありますよ」


「ああうん。対人検知はあるといいねぇ」


「おいそれ、人に限るのか?魔物や眷属はいらねぇと?」


「神器だから、魔力流出すとその辺は逃げちゃいますし……。


 ああでも、ついてれば探してこっちから接近、必殺できるのか」


「そこの常識も、取っ払ったほうがいいんじゃないですか?


 ほら、確か姿を隠す魔道具があったでしょう」


「似た魔導で、魔力流ごと隠すのか?」


「そりゃ難しいな。魔力流の外側の魔導展開だろう」


「そこは魔術側の工夫でクリアしてあるんだよ、ゴージさん。


 座標じゃなくて、対象指定の防御魔術がある。


 ただ、効率はかなり悪い。


 ああ、今回は出力の方が高いから、問題なく使えるけどね」


「それを流用して、外側展開……対象というか、範囲指定がいけるってぇことか?」


「うん。


 効率については現時点では考慮しなくていいよ。


 機能が定まってきたら、こっちで詰める」


「少し見えてきたな……」



 おお、どうしたアリサ。



「私も。つまり攻性神器にしたいんですね?」


「神器車や神器船みたいに受け身じゃなく。


 この船やエルピスみたいに、バリバリ戦闘するほうにしたいのか。


 そりゃあいい」


「単純にそのコンセプトなら、タンクがあるでしょう、ハイディ」


「そうだね。だから神器戦車(タンク)のコンセプトを進める方向がいいかもしれない」


「魔物からは隠れ、人は見つけ、魔導は防ぎ、戦うクルマ。


 …………クルマか?これ」


「ではないですね……」「違ぇだろうな……既存のそれじゃねぇ」


「もはや、エイミーの人型魔道具を想像させますね」


「それでいいんじゃねぇか?」


「「「は?」」」



 当船の誇るいかれ……いかし……ドイカレ魔道具技師のエイミーの主題は、人型魔道具。


 魔道具の鎧を着て、魔導を使わせるという構成で、場合によっては魔力なしですら魔導使用が可能になる。



 ただ迷走していてなぁ。


 当初コンセプト道理に作り出すのかと思ったら、なぜか生体染みた構造の人形魔道具の設計書を出してきたりしてる。


 仕様書とかじゃない、いきなり設計書だ。どう見てももう作れる段階だった。あほか。



 元の鎧魔道具がうまく行ってないわけではない。


 ただどうも……使用者の安全を考慮・検討していて、そのあたりで煮詰まってるようだ。


 彼女が作った魔道具を、一番初めに試すのはおそらくマリエッタだから、そのせいなんだろうけどね。



 人形魔道具については、設計書を添削の上、仕様書作れって突っ返した。


 予算はあるし、作ってダメとはいわねぇ。ただ君のは研究だろうが。


 他人が作れるように作れ。天才が作れたって意味がねぇ。



「同じものを、神器で作っちまえ」



 で。ゴージさんの着想は、それを神器で作ろうということだが。


 神器もまた、魔道具だ。できない話ではない。


 ただ魔道具との違いは、そもそも動かすのに人にできた魔結晶と、その出力が要るということだ。



 機構が複雑だったり、大きくなると、この負担はどうしても増える。


 作っても、マリーしか扱えないものになるだろうけど……要求には合ってるか。



「あー……確かに、向こうは攻撃性魔導を起動するための道具としての、鎧。


 こっちはあくまで、人を乗せて戦う力を重視した、鎧。


 そして機動力も要る。運用においても、分けられますね」


「分けられるか??もう全部人型神器でいいってなりそうだが」



 頭の中で、少し数字をはじき出す。


 人型という形をどう作って、しかも動かすか。


 そこを考えると、とんでもない出力が必要だ。



 言っておくが、こっちには地球と違ってロボを作れるような機械的機構はないんだからな?


 しかも神器で作る、わけで。


 魔力流や魔石などの性質を利用し、制御できることが必須だ。



 しかし。人型、か。


 かつての……前の時間で見た、あの美しい深い紅の瞳を、思い出す。


 テーマは違うが、この分野にはある意味、先駆者がいる。



 作られたものは、自動人形。


 ただ一度だけ動いて自死したという、謎多き作。


 エイミーの人形魔道具とは違う、ちゃんと起動した品だ。



 もちろん違うものとはいえ。


 ボクが自分の分野で、人型領分にチャレンジできるかも、とは。


 少しわくわくするね。


次の投稿に続きます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

――――――――――――――――

幻想ロック~転生聖女は人に戻りたい~(クリックでページに跳びます) 

百合冒険短編

――――――――――――――――

残機令嬢は鬼子爵様に愛されたい(クリックでページに跳びます) 

連載追放令嬢溺愛キノコです。
――――――――――――――――
― 新着の感想 ―
[一言] 装甲悪鬼村正の銀星号みたいなの出来そうだなあ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ