20-2.同。~友にさらなる武器を贈ろう~
~~~~本当に人数が増えたなぁ。そして麺はまたあっという間にないなった。
会食し、一休みしてもらって。
ちょっと夕方にソラン王子との会合らしいので、その前に用事を済ませることになった。
マリーの神器・聖人のオーバーホールだ。
前にビオラ様が見たいと言っていたので、このタイミングでやる運びにした。
もちろん、時間がかかるのでビオラ様に手伝ってもらうのは最初だけ。
スノーとビオラ様、ダリアとマリエッタが会合に行った後は、残りの人間で当たる。
といっても、ボクとストックで作業自体は事足りるが。
せっかくだから、マドカやアリサ、エイミーにも手伝わせる。
「ほんと、よくこんなもの作ったわね……」
ビオラ様が感心とも呆れともつかない声を出した。
ま、作ったのはストックなので、クレームはそちらに入れていただきたい。
最初にマリーにオーバードライブしてもらって、魔結晶の分解工程を見せて。
ビオラ様にはその後、仕様書を渡した。
こっちは刀身と柄をそれぞれ開き、分担して中の点検を開始だ。
柄はフェニックスと同じだが、刀身の中にも細い制御機構が入っている。
まぁある程度は慣れたもんだし、雑談でもしながらやるかね。
ついでに、要望とかも引き出しておこう。
「マリー、今回は修繕だけだ。
超過駆動がもたつくという話だったので、原因を探しながら点検する。
次回はバージョンを上げる。
この際だから、っていう要望があったら上げておいてね。
エイミー、中身とかよく見とくように」
「わかったわ!」
もう目がキラッキラしてるしエイミー。
「うーん、要望ねぇ。あるにはあるんだけど」
「なに?」
「切れ味が悪い」
再生機構で劣化はすべて戻るから、これは元々の切れ味が悪いという話だな。
「なるほど。それは次回の改造と符合するな」
「切れ味重視で破損しやすくなるが、その分は分散機構で再生能力を上げるのか?」
そう。総神器機構による負担分散を、この携行武器サイズまで落として試す。
車両からサイズを上げて行ったので、下げていく方は実はまだだったんだ。
聖人《reviver》でそれを実施する。
総神器機構の神器という、定義としてよくわからないものができあがることになる。
まぁこの場合、武器状のものを「神器」って呼称するのが悪いんだよな。
あるいは「総神器機構」の方がまずいか?なんかいいネーミングあるかなぁ。
「うん。とはいえあー……剣で切れ味が悪い、かぁ」
ゲームには存在しないが、確か地球には刀、というものがあったはず。
朧気だが、日出の国にも同じようなのが存在した記憶が……。
ボクが覚えてないわきゃないので、これは情報そのものが断片的なんだな。
「マリー。必要なのは切れ味だけですか?」
ん?どうしたマリエッタ。
「あ、はい。折れても直るので」
「……なら刀を打ちましょう」
「打てるの!?というか、素材の製法とかも特殊だったよね?どこで知ったし??」
「デクレスは東方とも交易してまして、素材の玉鋼も、刀の製法も入ってるのですよ。
物騒なことを言うと、この土地は暑くて軽装な者が多いので、よく斬れる刀は人気です」
まじかよ!?
あ、なんか記憶に引っかかると思ったら、衛兵が下げてるの見たことあるんだ!
ゲームにないのは、連邦が滅んでるからか!
「ハイディ。特殊な炉が必要なんですが、そこは用意できますか?
ダメならデクレスで発注するか、打つかなんですが」
「ええっと。ビオラ様、鍛冶場欲しいって要望、出てませんでしたっけ?」
パンドラの設備は、自分で使うもの以外はボクはあんまり把握してない。
作ったのは、船そのものの方だからね。
施設についてはビオラ様が中心になってとりまとめ、あれこれ設置しているはずだ。
「ゴージくんが要望出してたから、あるわよ。
炉が追加で必要なら、仕様を出して頂戴」
「助かった。マリエッタ、打てるよ。
必要なものを書き出してくれる?」
「分かりました」
「マリー、君の持ってた神器に刀……片刃の剣はなかったね。
ちょっと訓練いると思うけど、それでいい?」
「できれば、カタナとやらそのものを先に振りたいです」
「それもそーかー。あれ東方の武器だから、この辺にはないしな」
弱ったな。打たないと手に入らん。
玉鋼だったか?それの精製からになるなぁ。
「ハイディ。ファイア大公家に何本かありますよ?」
「ん?エリアル様が打ってもらったんですか?」
「以前ケイト様にお話したことがあるのだけど、それで製法を取り寄せて打ったらしいわ」
まじかよ。
じゃあなんでゲームには……って、南方領は本編に全然関係ないからか。
まぁいいや。今更気にすることでもあるまい。
本場の方がいてくれてよかったわ。ありがたい。
「じゃあ後日、所長の方からお願いしてもらいましょう。
ビオラ様、次の研究開発に使うので、通してほしいです」
「次ってなに?」
「攻性魔道具。魔道具に総神器構造の負担分散を流用し、人型魔道具を作ります。
これで攻撃魔導を再現しよう、というテーマです。
聖人の改修で、クルマや船じゃない、神器への負担分散機構の導入を検証。
その次に魔道具となります」
「採用。あとはいつも通りに」
「わかりました」
じゃあ計画書作って――――
「まってまってあねうえまってそれまって」
スノーが必死に止めて来た。
次の投稿に続きます。




