20.神器船工場および、エルピスにて。出港準備。
――――そんな選択が、贅沢が、許されるのだろうか?でも君が望むのならば、ボクは。
(注意喚起)
ここまで読んでいただいたのに申し訳ないのですが。
本話から、現実離れしたとてもファンタジーな展開が出ます。
ネタバレの関係上、タグやあらすじなどには出せませんでした。
本話ではまだ示唆の段階ですが、苦手な方はご注意ください。
感想にて言及される場合も、直接は避けていただけると助かります。
工場そばの空き地に、エルピスが止まる。
今更だけど、ストックも運転かなりうまくなったよなぁ。
たぶん、アクロバティックなやつも、そろそろできるんじゃないか?
こちらは、単車とビリオンの改造も済んで、細々とした工作も完了。
ジュノー絡みの後始末も基本的にまとまって、のんびり過ごしていたところだ。
あとはスノーらと王子が会談し、それで決着という運びである。
もちろん、政治的なお話周りにボクの仕事はない。
ダリアとか、マリエッタ任せである。
さて、まずはスノーをダリアとマリーに紹介。
あとアリサ、マドカ、マリエッタもかな。
それから舟の全員に、アウラを紹介。
おおごとなので、はよ情報共有しておかないとダメだ。
ここは郊外で人もこないので、やべー情報を交換するのに向いている。
エリアル様を先頭に、ビオラ様とスノー、そしてストックが降りて来た。
「お疲れ様、スノー。そっちは何かあった?」
「大事なく。詳細はストックに聞いてちょうだい。
大した話はないけど。そっちは――――姉上。あれは、なに?」
なんかスノーがボクの後ろの方を見ている。
工場の中だ。
そう思って振り向いたら、ビリオンがこっち出て来ちゃってた。
「サンライトビリオン!?あれ、でもえ、これ???」
この反応……スノーは何か、異なるものを見ているのか。
ばれちゃしょうがねぇ。こいつからだな。
「まずここからか。紹介するよスノー。
金の精霊アウラだ。
サンライトビリオンという、体を得ていたみたいでね」
「「「?????」」」
ストックとビオラ様も、状況がよく飲み込めていないようだ。
気持ちはわかる。
「精霊が、受肉……肉じゃないけど、してたってこと?」
「そうなる。かなり古い年代みたいでね。
アウラ自身は精霊だし、時間概念がない。
だからそこは聞いても、要領を得なかった。
アウラ、みんな会ったことはあるね?」
『オウサマ、オウヒサマ、エリアル、ストック。オカエリナサイ』
三人が、宇宙の真理を見ているような顔になっている。
エリアル様だけ、静かなものだ。表情が変わらない。
……表情が変わってないだけか?割と固まってる。
「この子が出力できる信号があったから、その波形を音声変換してる。
こっちの声は聞こえてるから、やり取りできるよ。
スノーの印象が違うのは……そのせいで、何か活性化したのかね?」
「はっ!?あ、ええ。前と全然、違うのよ。
活性化……そうね。活性化ね。
精霊魔法使いなら、一目見て精霊だとわかるほどよ」
「ん?それまずいな。偽装の魔導とか心当たりない?」
「はい!はい!あります!!」
「よぉしエイミー。後で教えてね。
先に紹介しとくけどスノー、そちらがサレス・アーサー王女。ダリアね。
それから、メアリーこと、マリー。
あとメリー・ファン王女。マリエッタ。
三人とも、ボクの妹のコニファー。スノーね」
「コニファー・エングレイブよ。非公式の場では、スノーと呼んで頂戴」
「初めまして。サレス・アーサーよ。私も、ダリアで構わないわ」
「マリーです。私の場合、もうメアリーって紹介いらないのでは??」
「予言の子メアリーは君のやらかしで有名人なので、一応必要」
「んぐ。そうでした……」
共和国、帝国、王国では名が通じる、魔物キラーだからね。
聖国が一応各国に存在を伝えているから、そのせいもあるけど。
「それから。クレット・リング。マドカ。
ナズナ・リング。アリサ。
ストック、ここの情報共有はできてる?」
「ああ。してある」
よかった。
なお、当初見込みだと二人は役を外れ、今は生まれてない存在なので「認識できない」はずだが。
魂の名前を名乗っているため、我々からも認知できるとみられる。
名前については、お互いにそう気づいて、呼び合っていたそうだ。
そら、結晶受肉して最初から一緒だったんなら、そういう特別なケースにもなるか。
「結構。マドカ、アリサ。
スノーは今の通りだ。
それからそちらがビオラ・ロイド。パンドラの所長。
あと侍従のエリアル様。ファイア大公家の方だけど、今回は故あって同行中」
「マドカです。初めまして」
「アリサです」
「ん。スノーだ。
役名の存在は、まだこちらでは生まれていないから……マドカとアリサでいいな」
「そうだね」
エリアル様は、少し控えたところで礼をとった。
「ビオラよ。よろしくね、二人とも」
「「よろしくお願いします」」
んむ。元気な挨拶でよろしい。
これで紹介は一通り終わったかな?
「さて。いい時間だし、会食でもいかがかね?
モノが麺だし、作法は問わない」
工場内に、広めに場を作って、料理を並べてある。
ちょうどよく、準備万端なところだったんだよね。
四人増えたから、ボクはもうちょっと調理を続けないといけないが。
「ほほぅ。麺とは、どの辺かしら姉上」
「生の塩油麺だ。赤実、白乳、香味、各種作れるだけ作ってみた。
割と新鮮な野菜も手に入ったからね。いい感じだ。
楽な恰好に着替えて、手を洗ってから――」
ちょっとよだれたらしそうな、王女としてぎりぎりなお顔の妹を見て、続ける。
「たんと食え」
「わーい!」
次の投稿に続きます。
#本話は計10回(20000字↑)の投稿です。




