表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
259/518

19-9.同。~その光が、新たな導きをもたらす。そして挟まる王子はいなかった~

~~~~君だって全力で、とても輝かしいと思うんだがね。ボクは。


「いや気になってるし。


 君の単車、それお手製でしょ?


 魔道具科初等部のレベルじゃないよ」


「……私では、ないです。


 お手製ですが、祖父の作です」


「ん?先代デクレス王のキージィ・ファン様??」


「はい」



 確か、ファン家がデクレス王位についたのは、その人の代から。


 息子さんも優秀で王位を継げたそうだが、キージィ様はかなり破天荒な方だったと聞く。


 ボクは単車がその方譲りだと聞いて、マリエッタを見て、正直納得した。



 なお、確かまだご存命……というかある種の現役で。


 単車で魔境旅をしておられると、聞いたことがある。


 神器単車(バイク)乗りの間では、伝説のような人……らしいよ?



 しかしだね。ボクの目は誤魔化せんぞ、マリエッタ。



「それはそれとして、ほぼ丸改造した跡があるけど?」


「っ。それは私が、やらかしましたけど」



 ははーん。なんかあって大破させて、そんで自力で直したな?


 クレイジーなやつめ。



「その。勝手に乗り回して事故って大けがして。


 それでもう一度乗る条件として、自力で修復しただけです」



 だけじゃねぇよそれ。



「いや、すごいこと聞いたぞ?


 よくそれでもう一度乗ろうと思ったな??」



 そりゃあ傷は魔導で治るだろうさ。


 けど正直、神器車の事故は怖い。いろいろと。


 ボクも何度かやった。ただの物損でも慣れない。



 結構なケガをしたこともあって。


 治ってからもしばらく、ちょっと乗るのが怖かったことがある。



「……かっこいいと、言ってもらえまして」



 そこでエイミーを見るんかい。



「その。マリエッタがケガしたの、私を助けに来てくれたからなの。


 それで大事な単車もバラバラになっちゃって。


 大けがまでして。


 落ち込んでたし、いろいろまぁ励ます感じで、こう」



 なぜさっきあれだけのことをボクに言いながら、そこは照れるんだね皇女。



「そこまで言われては女が廃る、と奮起しまして。


 こうガッっとやったら直ったんです」



 そこでチョップのジェスチャーするなや。


 そんなんで直るかボケェ。



 よぉし。そこでボケんなら突っ込んでやるわ。



「で。ソラン王子への御用事はなんだったの?」



 二人してブフォとか吹くな。



「…………ハイディ、わかってて聞いてるんでしょう」


「何のことやら。仔細はわからんから聞いてるんやが?」


「はぁ。もう。


 用自体はね、学園絡み。


 同じ科で、物のやり取りとかしてたから。


 でも私、学園に居続けるのは難しくなったから、それで」


「ほうほうなるほど。


 まぁ学園は続けて通いなよ。あっちの施設だって十分いいしさ」


「え、お金は?」


「当然、君の稼ぎから出る。


 どうせ学費にぶっこんでも余るから、大丈夫だよ。


 それで?わかってて聞いてる、とやらは?」


「…………振ってきた」



 思い切ったことするな??



「それは職が決まったからかね?」


「そ。あと、あなたが希望を見せてくれたから。


 私、王族やってる場合じゃないの。


 だから、せっかく声をかけてくださってたんだけど、お断りしてきたわ」


「気質としても無理だからって?」


「ん”。まぁ、そうだけど」


「好きな人いるから無理ですって?」



 だから二人して吹くな。



「そんなにわかりやすかったでしょうか……」


「私が話しすぎたかしら」


「何言ってんだよ二人とも。


 マリエッタ……メリー・ファンは礼法にうるさい連邦の王女。


 特にデクレスは、旧態と格式がかえってロックしてる国だろ?


 意地と見栄でできてる国の王女が、人前で何でもない他人の肩を抱くわけないでしょ」


「「あぁ~……」」



 蛇の海が出たときの、エルピスでのアレである。



 単車で屋根を跳びまわったり、壁をぶち破るのはいいのか?っていうと、それはそれらしい。


 空気というかTPOと言ったらいいのか、とにかくそういうのを大事にする。


 だから、ロマンティックな場面で、想い人が相手なら、肩を抱こうが腰を抱こうが口づけをしようが「良し」となる。



 むしろ、そういう関係の場合は「しなくてはダメ」と躾けられてるんじゃないかなぁ。



「内緒にしておいてね?連邦は同性は……」



 連邦は同性婚は認められていない。あまり肝要な方とも言えない。


 この半島でそれが認められているのは、王国と共和国の二か所だけ。



「そうだね。ところでエイミー。


 君は帝国は出る気だとして、どの国に行く気なの?」


「え。そうね。国としてはやっぱり、連邦にお世話に……」


「たぶん、モンストン侯爵が逃がさないと思うけど」



 びしっって音が出そうな感じで、エイミーが固まった。


 ぶっちゃけ、ボクを自由にさせてまで囲ったあの人が、こんなやばい子を逃すとは思えない。



 ストックは、魔導制御能力ならミスティに迫る。起動は苦手だが、制御だけならダリアを上回る。


 そのストックを遥かに超える魔導制御。エイミーは今ボクの中で、最強の魔導師レース独走状態だ。


 その上で、攻撃性魔道具の生みの親となるかもしれない人。



 ヴァイオレット様は何としてでもエイミーを取りに来ると、ボクは予想している。


 いかに相手が友好国の連邦であっても、遠慮はすまい。



 まぁ問題は、この子が魔力なしなことだな。


 直接、貴族の家に養子として取り込むことは難しい。


 元々継がせる気はないとしても、体面とかあるしね。



 それでも、なんとかするんだろうけど。

次の投稿に続きます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

――――――――――――――――

幻想ロック~転生聖女は人に戻りたい~(クリックでページに跳びます) 

百合冒険短編

――――――――――――――――

残機令嬢は鬼子爵様に愛されたい(クリックでページに跳びます) 

連載追放令嬢溺愛キノコです。
――――――――――――――――
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ