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18-4.同。~陽光に向き合おう。だがその前に飯が欲しい~

~~~~アリサの口ぶりからするに、二人は困窮してるところを言いくるめられたというところだろうか。……いっぱい食べさせてあげよう。


#明日多すぎるので、前倒しです。

「働き口が欲しいなら、紹介してあげようか」


「ほんと!?」


「ああ。住み込みの職場でな。


 働いてもらいながらだが、王立魔導学園への通いも可能だ」


「主な仕事は、雑用、研究から戦闘まで。


 何もしないで暮らさせてはあげられないけど、好きな仕事していいよ。


 やりたいことがあるなら、責任もってお教えしよう」


「胡散臭いんだが……」



 マドカを勧誘するボクとストックを、胡乱気な目でアリサが見ている。



「ふむ。実体が知りたい感じか。


 職場内にある種の経済圏ができるから、何もしないと何もできない。


 雨露はしのげて魔物にも襲われないけど、食べ物もない。


 ひもじい暮らしをしたくなかったら、働いて報酬を得るしかないんだよね。


 怠け者は生きていけないし、ダメならどっかの国に放り出す。


 代わりといっちゃなんだが、稼げる手段は教える。


 アリサ、他に質問は?」


「話だけの範囲なら、特には。


 だが実際に見てみないと、何とも言えないな」


「ん。じゃあ見学してみるか?


 それから決めればいい」


「そうか……マドカ」



 マドカが手元の皿を見て。


 それから顔を上げた。



「そうね。見せてもらいましょ?


 噂の新型なんでしょ?」



 おや、そこはさすがに察しがついたか。



「そゆこと。イアベトゥスにあるから、それまでの間は同行してもらうよ。


 面倒は見てあげてもいいけど、施しが嫌なら手伝いをお願いするから」


「わかったわ。何かあるの?」


「あー、それは予定次第なんだけど……ストック?


 ジュノーの件はどういう方向になりそうなの?


 ボクら、勝手に動いちゃだめでしょ??」


「こちらとしては、特にないはずだ。しばらく話くらいは聞かれるだろうが。


 予定としては、ミマスにも連絡してくれるそうだから、それ次第だな」


「ああ、ビオラ様たち置いてけないしね……。


 ダリア」


「元々、ここで何日か滞在予定だったでしょう?


 後ろの予定は?」


「がら空き。ここまで早く着き過ぎた。


 ボクの覚えてる工程の範囲だと、まだパンドラの最終試験準備が終わってない」


「予定変更の連絡は、あっちからは来てないし……だいぶ空くわね。


 じゃあこのまましばらく休んできなさい。


 大変だったんでしょ?


 またたくさん拾ってるし」



 エイミーとマリエッタ、マドカとアリサの方を見る。


 いかん。揚げとそばが、がりがり無くなっていってる。まだ食うのか。


 腹減らしすぎだろう。



「おかしいな。二人旅の予定だったんだが」


「あんたはいつもそうでしょうに。


 クレッセントでも。三年前も。それ以降も。


 行って帰ってきたら、行きにはいなかった誰かを拾ってくる」



 あるぇー?そうだっけかな。



「ま、拾った分は責任持つか。


 郊外の工場使っていい?」


「いいわよ。エルピスも入れてあるから。


 ただ今日は休んどきなさい。その間に使えるようにしとく」


「ありがとう。じゃあマドカとアリサには、お手伝いしてもらおうかね」


「わかったわ。アリサも」「ああ」



 よしよし。やる気十分だな。



「エイミー」


「腕が鳴るわね!」


「まだ何も言ってないんやけど。


 マリエッタ、単車見ようか。


 何なら改造してく?」



 乗ったとき、ちょっとがたついてたからな。


 荒っぽい乗り方が悪いんだけど、ならそれ用の単車に仕上げたほうがいい。



「費用がとても気になりますが」


「大丈夫だよ。エイミーが働いて払ってくれるって」


「ええ!え?」


「お世話になります、エイミー様」


「え、え?」



 ここで実験して、余らせてる魔石神器の使い道に困ってただけだから、あんまかからんのやけどね。


 工賃は発生するので、そこはエイミーに頑張ってもらいましょ。


 ボクとしては、単車がいじれるんなら万々歳だ。



「マリーのは、ビオラ様が来てからね。見たいって言ってたから」


「分かりました。さすがにちょっとガタが来てて、超過駆動がもたつくんですよね」



 それは君の反応速度がおかしいだけやけどな?


 調整はちゃんとやるけどさ。



「他はどうすんの?ハイディ」


「そうだね……」



 今気になっているのは、個人の高度戦力の登場だ。


 魔物ではない、強靭な者たち。


 クラソーと、アリサ。同じ路線でまたでないとも限らない。



 ボクら王国民は、人を殺すのはご法度。傷つけず、制圧するのが是。


 魔導師なら、倒し方もある。


 だが魔導を使わず、魔物以上に強い相手は、どうするか。



 その答えを、出さなければならない。



「対人戦前提の、高度戦力を確保したい」


「あんた対人戦なら必殺でしょうに」


「ダリア、ボク王国民やで。殺しちゃいかんのやけど」


「港でやったあれじゃあ、ダメなの?」


「シャドウの街で、ダメだった相手に会ってるんだよ、エイミー」


「なんと」


「クラソーか……」



 ストックが苦々しそうに呟いてる。



「あいつ自身はまだいい。


 でも、その前に帝国の結晶兵に遭ってるでしょ?ストック。


 あれ、路線としては同じ技術だよ。だから」


「あれと同じ、結晶体の敵が出てくるかもしれない、と」


「うん。君なら結晶自体は剥がせるけど、殺しちゃうよね?」


「そうだな……出られると面倒だ」


「ボクだと、拳が砕けるくらい殴らないと、結晶を剥がせなかった。


 あれ以上に高密度だった場合は、もう剥がす手段がない。


 あまつさえ、剥がしても再生される可能性もある」



 再変身すれば、傷すら戻るのだから、結晶は戻せると考えたほうがいい。


 あの鎧を一気に剥がし、必倒する。


 その手段が必要だ。



「なに?新しい神器でも作るの?」


「ここは人型魔道具で!」



 エイミー、その研究はこれからでしょ?



「何かもう、決まってるみたいだな?ハイディ」


「うん。新たな可能性を拓くために。


 神器でも魔道具でもない――――」



 だいぶ後回しになったけど。


 あいつを、弄るとしよう。



「サンライトビリオンの秘密を、解明する」



 さ、そうと決まったら英気を養わなくては。


 そばと揚げを……あれ?


 みんな食べ終わってる??



 慌てて、棚と冷蔵庫を開ける。


 ない。何もない。粉も薬味にできるものすらない。



「ダリア、他に食べ物は……」


「あ~……離宮で他に使ってるとこ、今ないから。


 本城にはあるけど、今の時間じゃちょっと入りづらいわね」



 膝から崩れ落ちた。


 四つん這いになり、無言で床を手でだんだんする。



 おっ。なんか抱え上げられた。


 ストックに横抱きにされてる。


 …………めっちゃおなかの鳴る音がした。



 君も食べておらんかったんかい。



「もう限界だ。ハイディ、舟に行くぞ」



 ストックが窓を開け、バルコニーからボクを抱えて飛び立った。


ご清覧ありがとうございます!


評価・ブクマ・感想・いいねいただけますと幸いです。


#次話は13部分あります。いつも通り最後の1部分を翌0時になるように、一日で投下していきます。

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― 新着の感想 ―
[一言] そりゃあ腹減るよなあ・・・蕎麦ってあんま腹に溜まらないイメージ
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