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4-2.同。~次の開発を模索する~

~~~~事故りそうにないと言ったな?実はかなりピンチだ。それ以上弄るな。


「聞いたことはないな……ダリアに相談してみたらどうだ?」



 こ、ら。


 指すりして意識戻させんなっ。


 てのひら、撫でるように合わせるの、だめだって。



「っ。そういう細かいのはいろいろほしいのがあるけど、作るとなると需要が見えなくてねぇ」


「お前の提案なら、とりあえず喜んで作ってくれるだろうに」



 そうかもしれんけど、ボクのほうがそのように思ってはいかん。



「それは甘えすぎでしょ。


 せめて、マリーのクルマを納車してからにしたいね」


「ちょっと遅れてるからな……」


「ちょっとじゃないよ。船より遅くなっちゃった」



 少し、ストックの手の動きが落ち着いてきた。


 何かこう、ほっとした……ような。


 …………焦らされている、ような。



 ぎゅっと握られて、なんか全然離す気なさそう。


 これは、追撃の機会を伺われているな……。



 で。戦闘前提の神器車、神器戦車(タンク)を作ってるんだが。


 マリー向けの納車が大幅に遅れている。



「こだわり過ぎたな」


「いやあ、ハイスペック神器戦車(タンク)はどんなもんかってやったらねぇ。


 天井が全然見えないね」



 あの子、出力が我々の比ではなくてな……ついいろいろやってみたくなって。


 あれこれやってたら、完成が遅くなっちゃってるんだわ。


 マリーもダリアも、喜んで付き合ってくれてるけど、これ以上は伸ばしたくないな。



「そういうのこそ、細かい魔導を入れてみたらどうなんだ?」


「ああそうか。人体検出なんか、お誂え向きだね」


「対人戦を考慮するのか?」



 正直、マリーとダリアの組は対魔物はともかく、対人はちょっと危ない。


 ダリアは戦闘能力そのものが、そう高くはない。


 神器は魔導に非常に弱いので、マリーはそもそもが不利だ。



 神器の繊細な機構が、魔導で破壊されやすいんだよね。


 だから、クルマ乗ってる間くらいは、多少の安全性を差し上げたい。



「神器機構だから、魔導にはめっぽう弱いけどさ。


 そもそも魔導で防御陣張ってれば、その弱点は関係ないんじゃない?」


「……作っていいか悩むな、それは」



 技術や知識の防衛は、難しい。


 特に帝国あたりは、容赦なく他所のを盗み、悪辣に改造する。


 王国に影響が出ることは多くはないが、さすがに盗られた場合にどうなるかくらいは、常に検討せねばならない。



 神器車が対人戦闘に役立つとなると、少々影響が大きい。


 しかし、ボクの発案してる方法は、そもそもが扱う人間を選ぶ。


 言ってしまえば、マリーとダリアが乗る前提での話だ。



「神器展開で高魔力を生成できる結晶持ちと。


 高出力魔導を制御できる、魔導師がいないといけないんだけど。


 運用が夢物語じみてるよ」


「我々の友達しか使えないじゃないか」



 しかってほどじゃないが、軍事運用は人材確保にコストがかかりすぎ、効果はそれほど期待できない。


 まともな頭をしてれば、採用には踏み切らないだろうな。


 帝国は、いちいちまともから外れてくる国だが……よそう。あまりあそこを基準に考えすぎても、よくない。



「問題はなくなったね。


 船の開発・製造が終わって、その分これから時間が空くし。


 ダリアと一緒にやってみようよ」


「まだまだ楽しい開発が続きそうだな」



 ほんとに。この三年は楽しかった。


 三年前に時間を戻ってきてしばらくは、異常にトラブル続きだったけど。


 西方魔境で邪魔(ヤマ)を倒してからは、驚くほど静かになった。



 おかげで、開発も旅行もし放題だったな。


 連邦にも何度か行ったり来たりしたし、ファイア領にも幾度かお邪魔してる。



「そうだねぇ。あとは聖域でも作って見る?」


「予算はどうするんだ」


「船売って作ろう」


「今のコンセプトは、聖域だと実現済みだろう?」



 ボクらのここのところの開発は、負担分散を中型以下の神器構造に適用するのがテーマだ。


 聖域――大型神器船には、スター制御構造というのが元々あるので、必要性はない。



 一応、こちらが作った総神器構造体はスター制御構造より効率はずっといいんだけど。


 ただ大型化が難しいんだよね……中型神器船にするにも、一苦労だった。


 大型だと、連結時のエネルギー効率がひどいことになって、今の技術だと使い物にならない。



 一方で、小型化には向いている構造だ。


 というか、発想の流用で、既存の神器構造の大幅な小型化に成功してしまった。


 充填構造すらつけられない、最小構成の魔道具すら下回った。



 爪の先ほどのもので、魔力流発生できたんだが……こんなの、何に使えばいいのか未だに発想が追いつかない。


 一つは用意したけど、あれは制御が難しいのよな。



 おまけに、一定以下の大きさを下回ると肝心の超過駆動が入れられなくなった。起動しない。


 これについては、小さい神器同士を連結駆動させることで問題自体はクリアできる。


 ただ、超過駆動を使いたい場合は、車載神器並みの質量以上はやっぱり必要。



 一度小さくし、それを多量に集めて連結……そんなことしてどうするの?とはなる。



 一般向けにと考えると、ちょっと売り方が思い浮かばない。


 神器機構を小さくすると、それに比例して魔力流の規模も小さくなるからね。


 魔物は弱点を一気に抉らないと、再生してしまうから倒せない。魔物向けなら、大きな魔力流の方がいい。



 眷属向け……にしてもなぁ。


 こっちだって、普通に魔力流発生して追っ払ったほうがいいんじゃないか?


 神器を使うと眷属に逃げられるから、確実に倒すためにっていうなら……魔力流出さずにそのまま斬ればいいし。



 結局のところ、神器のコンセプトは魔物や眷属をどうにかすることに集約する。


 聖域についても、それは同じ。



 まぁ今思いついている範囲のものは、使えるようにはした。


 ここから発展させるのは……もう少し時間がかかるかなぁ。



 で。聖域作るとなった場合のコンセプトだが。



「本格的に、王国魔導師の戦略掃射神器船の代替だよ。


 ただ、魔導掃射ではなくしたいね」



 王国の貴族が用いる精霊魔法は、まさに戦略兵器だ。


 安全な聖域の外壁から、魔境の魔物を魔法で一掃するのが、王国の聖域運用である。



 我々の中型神器船は、これに近いことを魔導師を用いずに可能にした。


 だが、規模はあくまで中型。王国が今やっているものには及ばない。


次の投稿に続きます。


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