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3-2.同。~客人の運搬を始める~

~~~~みんな背が高くなってくなぁ。ボクだってもうちょっと伸びるんだぞ?


 かつてギンナの名を当てた侍従に向き直る。



「ベルねぇ、王女に直接会ってもらうから」


「はぇ?なんで??」


「ギンナの名前、突き止めたんでしょ?同じことしてもらう。


 その時になる前にやっておけば、役の存在も失われないかもしれないしね」


「はぁ。同じことすればいいの?」


「うん。大事なことだから」


「わかった」



 ビオラ様は、元々の名前を喪失し、魂の名前のみを得ている。


 不思議なことに、元の名は名乗れないのだそうだ。本人も不思議がっている。


 もちろん、周りも覚えていないし、なぜか記録にも残っていない。



 王女がこうなってしまうと、いろいろ不便そうだ。



 そういや当時ヴァイオレット様が知らなかったとはいえ、ビオラ様の名前を突き止める役。


 そもそもマリーやベルねぇがやっても良かったんだよなぁ。


 どう期待されたのか、ボクがやったけど。



「で、今回はベルねぇかエリアル様の提言で動くことになったと?」


「きっかけはとしては、精霊の囁きね。


 エリアルとベルに補強してもらって、王家と連絡とって訪問したらね。


 モザイク兵だったかしら?あれが出たのよ」



 なんと。というか囁き……ひょっとしてギンナ、そんな高位の魔法使いだったのか?


 魔法らしい魔法使わないから、全然わからん。



 で、モザイク兵というのは。


 事件再現のときに出るやつらだ。ボクらはそのように呼んでる。


 たまたまそこにいる人が、役割を被せられ、顔が認識しづらい誰か、になる。



「あー……前座があったのか。で、安全な場所に移した、と」


「そういうこと。本来なくなっているはずのドーンの上なら、安全でしょ」



 筋は通ってる……。


 ただ、場所を移動したから現象が止まった、という事例はまだ確認できていない。


 警戒はしておいたほうがいいな。



 事情はだいたい飲み込めて来た。


 とにかくこれ、早く出港させたほうがいいな。



 まだ続きがある。そう見たほうがいい。


 王女誘拐の本来の時期と大幅にずれている点が、気にかかる。



「ストック、早く出たほうが良いと、ボクは思う。


 物資計算だけやり直しつつ、とにかくまずは全員シャドウに運ぼう」


「先触れを出して用意させておくか?」


「それはダメ。行ってから手分けして揃える。


 情報を残したほうがいいけど、先回りされる機会は絞る」


「じゃあとりあえず車両か」


「ストックはビリオンで、王子とあと一人乗せて。


 もう一台出して、ボクがそっちだ」


「お前がビリオンで、王子の護送じゃなくていいのか?」


「サンライトビリオンは絶対傷つかないから。


 で、ボクが乗ってる方は車両戦闘するかもしれないでしょ」


「違いない。あー……ビリオンには、ギンナにも乗ってもらうか?」



 見ると、なんか大公令嬢の目がキラキラしている。


 君、乗れるだけでもいい感じか。そんなに好きか。



「それがいいかね。お願い、ギンナ」


「ええ、任せて」



 以前ギンナには、空約束してしまったことがある。


 この子が運転できるクルマではないのを忘れ、運転させてあげると言ってしまったのだ。


 後で埋め合わせして詫びたわけだが……結局その後、結晶入れて運転できるようになってしまった。



 神器や神器車は、体表に結晶――魔結晶がないと扱えない。


 ボクやストックは特殊な結晶を手に取り込んでいる。だから扱える。


 ただサンライトビリオンは特別なのだ。



 必要な結晶出力の桁が文字通り違う。


 普通の人が動かすと、あっという間に石になってしまう。



 ギンナの手に入れた特殊な色付き魔結晶は、その問題をクリアしてくれる。


 信じられないくらいの出力を秘めてるからね……。聖域──大型神器船すら、一人で動かせる。



「こっち大人多いから、スパイダーボックスのやつ、引っ張ってくるか。


 確か、車庫に一台はあったよね?」


「お前が、運搬に便利だからと買ったやつがな」


「あれ、それだけだっけ。お気に入りなんだけどなぁ。襲撃とか遭わないといいけど」



 スパイダーボックスというのは、車種の一つだ。


 ツーボックス・シックスドア・フォーロウシート構造。


 広めの中型車だね。ビリオンはモンキーボックスっていう、小型に属する方。



 ほんとはホーネットボックスっていう、セブンドア式のにしたかったんだよ。


 羽のようなきれいな魔力流を作る、流行りの品。


 けどたっかい。研究予算の中から、内緒でねん出するにはちょっとお高かった。諦めた。



 なお、スリーボックス以上はすべて大型分類で、だいたいは貨物車だ。


 ボクも運転はできるけど、乗り心地は投げ捨てられた品が多い。



「それじゃあ、ボクは屋敷前に二台とも引っ張ってくるから。


 ストック、こっちはお願いね」


「ああ。後でな」



 手をひらひらして別れた。


 ビオラ様は乗せたこと何度もあるけど、コーカス様もかぁ。


 生粋の貴族を乗せるのは初めてじゃないかな?ちょっと緊張するな。



 とりあえずあれだ。着替えないといけないな。


 正装でクルマの運転など、するもんじゃない。


次の投稿に続きます。


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