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【完結】逆行した幼女と令嬢は車で旅に出る~ボクは4歳で攻略されたので、乙女ゲーや王子たちは今更来てももう遅い~  作者: れとると
第一章幕間.聖暦1083年夏~1086年春-二人が意味もなくいちゃつく日々-
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D-4.同。~前のストックと戦った魔女姫のコメント~

~~~~ストックは悍ましく正気を削る何か、らしい。ボクへの妙なついでコメントがあるのは、きっとそのせい。


 頭なでなでしながら、カチッとな。



『はぁ。食べていいの?』



 腕の中で震えてるんじゃがストック。


 なにしたしダリア。



『冗談よ。でも二人っきりにはしないでね?


 あの子、魔性よ。その気がなくても押し倒しかねない。


 必ずあんたがついてなさい。いいわね?ん。よし』



 割と年季の入った同性愛者の、ありがたいご意見である。


 とはいえ、バラバラに行動しなきゃならないこともある。


 そのためのこの機会だ。ストックに自覚をもってもらうため。



 ボクが言っても、冗談だと思っているのか流されるんだよー。


 だから友達に頼んで、どう見えているか?を聞かせてもらった。



『マリー?それも聞くのねぇ。


 私、あの子には我慢できないもの。


 あれもすごいわよね……その気がないとかそういう次元じゃなくて。


 こう、誘われてる?わよね?そうよね?あんたも感じる?そうよねぇ。


 あの子、あんたのことも大好きだし。


 ああ……私も大好きよ。愛してるわ。ハイディ。


 別にあの時遊びで誘ったわけじゃないの、わかってるわよね?』



 録音はこれで終わり。


 そのままストックに続ける。



「ダリアには録音外で。


 『振られたのだって、わかってるわよ。私じゃあんたをこっちに引きずり込めない。


  なのに、ストックはただまっすぐにあんたを吸い寄せた。すごい子よ。


  男女問わず落とす、業の深い子だけど……あんたにだけはただの女でいられるのね。


  絶対離しちゃだめよ?あんたたちが二人でいることが――私があんたを諦める条件よ』


 とのコメントをいただきました」



 腕の中から、ストックがそっとボクを見上げる。



「メリアは振った。向こうもそうだろうと思ってたみたい。知ってて聞くんだからあの子は。


 ギンナはその気はないね。彼女、もっと大事なことがあるみたいだから。


 マリーはやっぱり、ダリアが一番。ボクとの未来はないってさ」


「……ほんとに?」


「ほんとに。信じていいよ。


 彼女たちとの付き合いは、これでもそれなりに長いんだから」



 言っちゃなんだが。


 言葉は過激だが、皆「愛してる」に愛が、情念が籠ってない。


 ストックの時は逆。情念籠りまくりだった。やばい。



 彼女たちの気持ちまで否定はしないがね?


 でもあれじゃなびけねぇな。



 ストックが腕輪にこめてくれた言葉は。


 その吐息だけでも、ボクを身もだえさせるというのに。


 もちろん今、小さく耳元で囁く――彼女の本心も。



「ボクもだよストック。だから離れちゃだめ。


 離れるときは、狙われてるって警戒してね?


 疲れるだろうけど、必要だよ。


 ボクだって、もう必要以上に世話焼くのはやめたんだから。


 ね?」


「うん」



 素直ストックになっちゃった。


 そろそろ日も暮れてくるし、これはお持ち帰りしようかな。



「ごめんね、ストック」


「なんで?私が……」


「君があんまり友達を作らなかった理由、やっと納得いったんだよ。


 こんなに魅力的な人が、前の時は学園で完全ぼっちだったもの。


 こういうことだったんだね」


「お父さまから、気をつけろって……」


「そっか。そこをおして、ボクのために友達と仲良くなってくれたんだね?」



 ストックが素直に頷く。



「じゃあ改めて、二人でやろうね」


「っ。いいの?」


「君、結構ボクの友達好きなんだろ?」


「ぅ……うん」


「なら、普通に友達付き合いできるようにしよう。


 ほら、ボクだって何人か振ってるんだから、条件は同じだ。


 ボクがいれば、大丈夫だよ」


「ん」



 正直、友達としての付き合いが深くなれば、この辺は大丈夫になると思う。


 勘だけどね。彼女たちの自重に期待しているわけではなく、各々の抱える業は、もっと深い。


 ストックの「魔性」とやら程度で、それを折れるとは思えんな。



 というか、それでだめならボクと彼女たちはどうして友達できてるのさ。


 殺し合っても笑い合えるのは、何でだよ。


 たまたま、何もかも巻き戻ったからじゃない。



 みんな、もっともっと大事なものがあって。


 それに向かうことを、今も諦めていないからだ。



 もちろんボクも――ストックも。



「ところでストック」


「なぁにハイディ」


「ボクも結構、怪しい目をしてる自覚、あるんだけど」



 当てられたので。



「そんなことない。綺麗な目。私の閃光」


「君だって。ほんと、この目にボクしか映ってないのが――たまらない」



 深く、見つめ合う。



「その。もう煮詰まっちゃったし。今日は長めに」


「いいよ、ハイディ」


「というか、ボクに迫られるのは怖くないの?」


「ハイディだって、私に迫られて怖くないの?」


「身が震える。歓喜で」


「私も」



 よっしゃお持ち帰りじゃー!


 ストックを横抱きにし。



「ハイディ」


「ん?」


「やさしく、してね」



 …………。


 これが魔性ってやつか!?そうだろう!!


 優しく手取り足取りしてあげますともむっはー!!



 というわけで!今日はこれまで!!


 終了!!!!


(注釈というか言い訳。あるいは感想)


ストックって無防備だよね?というハイディの心配から始まった小話です。


お茶会で「ストックはやばい」という共通認識を七人(ストックは留守)で持った後、個別のお話を聞いたという形です。



ストック大人気。そしてそれ以上に重い感情を向けられるハイディ。


6人各々が強い理由をもって生きているのではなければ、容易に流されていたでしょう。


どろどろとした百合ハー待ったなしでした。



やばい告白しちゃってる子ばかりですが。


彼女たちにとって、その感情は自体は正しいものの。


「それはそれとしてどうでもいい」と思っているから、白状しちゃっています。



ハイディやストック相手なら、言っても変にこじれないだろうという信頼感もあるでしょう。


パートナーとハイディ、ストックを除いた残り四人に対する評は、それぞれ皆無難なものになるでしょうね。



この後の二人は、まだ幼児なので健全な語らいです。


幕間AやCの最後くらいです。健全な範疇です。


肌も出ません。濡れ場ではありません。



なお「魔性の女」と称されるストックですが。ハイディはこれに反応しません。


ストックを見て「綺麗」とか呑気なことが言えるのは、ハイディくらいです。


ハイディはストックにとって数少ない、安心してそばにいられる相手です。



明日より、第二章開幕です。

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