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【完結】逆行した幼女と令嬢は車で旅に出る~ボクは4歳で攻略されたので、乙女ゲーや王子たちは今更来てももう遅い~  作者: れとると
第一章幕間.聖暦1083年夏~1086年春-二人が意味もなくいちゃつく日々-
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D-3.同。~前のストックを知る者たちのコメント~

~~~~マリーはいちいちコメントが怪しい。絶対遊んでる。


『私は前の時は、直接会わなかった。学園でも見かける程度。


 苛烈で傲慢な花という印象だったわ。


 その印象は……今も同じ。


 ただ違うのは、その向いている先が、一つだと知ったこと。


 高く太陽に向かって伸びる……でも向日葵じゃないの。


 太陽が隠れているとき、それを地の果てまでいって探し続けるような、悍ましい花。


 不気味で、素敵よ。彼女のその真の姿は、男女構わず篭絡するでしょうね。


 あなたよく無事ね?』



 顔を両手で抑えつつ、身悶えている。そろそろ転がりそうだな。



 なお淡々と語ってるけど、ギンナは完全に目がおかしかったです。


 声もやばいです。色が籠ってます。


 目の前にいるのがボクじゃなくてストックだったら、押し倒しにかかってたんじゃない?


『ベルと?


 そうね。比較にならないわ。


 確かにストックとなら、甘やかなで濃厚な恋ができると思う。


 でも私は別に、恋をする気はないもの。魅力的だからといって、それとこれとは別。


 ストックは何でもしてくれるでしょうけれど。


 私はしてあげたい方なのよね。


 ベルには?そうね……なんでもしてあげたいけど。


 何に喜んでくれるのか、よくわからないの。


 そのうち、相談に乗って頂戴』


「…………」


「…………」


「これ、は。ですね。ハイディさんや」


「なんだねストックさんや」


「この間のヒアリングのときに。代わりに私のハイディ評を語れ、と言われまして」



 七本目の収録は、ひょっとしてその時かな?



「そしたら、なぜかだんだん、ギンナの目がこう……」


「はい」


「…………女の人に舌なめずりされるの、ちょっと怖かったです」


「君、無事でよかったね」


「もうしません」



 ちょっと涙目になってるストック、とてもかわいい。


 では続きだ。



『ああ。あなたにも、何でもしてあげたいわ。ハイディ。


 そういう目をしてる?よくわかるわね。


 淑やかなあなたを乱してみたい――そういわれても?


 できるものならって……ふふ。それでこそね。


 もちろん、武をもってそうして見せるわ。


 私が勝ったら……娶らせてもらおうかしら?』


「ブーッ!」



 ちょっと落ち着いてお茶を含んだストックが、吹いちゃった。


 いそいそと彼女やテーブルを拭いていく。



 これも録音外だが。


 「私が王国を丸ごと傅かせられたら、考えてちょうだい」


 と言われた。やる気なさそーに言われましても。



 大公令嬢なら別に国をひっくり返さなくても、できない話ではないが。


 自分が納得できねぇって話だろうな。



「あと二本あるが。大丈夫かストック」


「おうちかえりたい。でもきく」



 幼児らしいコメントありがとうございます御馳走様です。


 鼻血出そうになった。自重せんと。



 逃げ場のない、君のおうちでやってごめんよ。



「それではあなたの姉。ロイド家長女です」


『……今すぐ、女の悦びを教わりたい』


「ガハァッ!?」



 早くも悶えてらっしゃる。


 見た目幼児に、何をどうしたらこんなすごいこと言わせられるんだね、ストック。



『茶や料理で、少し手ほどきを受けていてな。


 茶は得意だが、私の知らぬものをストックはいろいろ知っている。


 それでこう、やりとりするうちにだな。


 ふふ、怒るなよ?


 恋しいとも。身を、委ねたい』



 ストックがびくんびくんしている。



『しかも……ふふふ。姉妹になって、しまった。


 妹に、女の手ほどきを、受ける。


 甘美だ。体があと10年成熟していたら、たまらず手を出したろうな』



 姉の変な性癖こじ開けたやつは、床に蹲って手でだんだんしてる。


 メリアは言葉は少な目だがその分、声に情念のようなものが籠っているなぁ。


 聞いてるだけでぞくぞくする。



『ミスティと?


 ミスティには、そんな怪しい欲は覚えんな。


 だからこそ、彼女と共にいられるのだ。


 ストックとは、いてはならん。破滅する。


 ストックはいずれロイドを出る。だからほっとしているよ。


 早く連れ出せ、ハイディ。正気が削れる思いだ』


「…………」


「…………」


「そんなに、おかしなことは、してないのですよ?しんじて」


「だろうね」


「お茶を注ぐとき、一度だけ手を添えた、だけなのですが。


 それからちょっとこう、変で」



 今後はボクが一緒にいたほうがいいやつだな、これ。



 メリアはストレートなのに、するっとミスティに恋に落ちたやつだからなぁ。


 そうなりやすいとも、ゆえに自身を律しているとも言える。


 浮気はしなかろうが、それにしたってその状況でストックと二人きりにされるのは辛かろう。



 だが止めだ。



『ストックに関しては適切な距離感なら。


 普通に友として、あるいは姉妹として付き合うことはできる。


 だがおぬしはダメだ、ハイディ。


 愛している。


 先に出会ったのがおぬしなら、迷わず伴侶にと願っただろう』



 ストックがちょっとうるうるしてる。


 頭なでつつ、目元をそっと拭う。



 さて録音外のコメントですが。


 「ふふ。振られてしまった。わかっているとも。


  性を越えて、お前の愛を勝ち取れるのは、ストックだけだ」


 とのこと。知ってて聞くんだから、意地悪な友達だ。



 ま、ストックが限界っぽいからちゃっちゃとやってしまおう。



「最後はイスターンの魔女姫でございます」


「ひっ」



 ストックがしがみついてきた。

次の投稿に続きます。


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