表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】逆行した幼女と令嬢は車で旅に出る~ボクは4歳で攻略されたので、乙女ゲーや王子たちは今更来てももう遅い~  作者: れとると
第一章幕間.聖暦1083年夏~1086年春-二人が意味もなくいちゃつく日々-
155/518

D.ハイディの仕返し:ハイディ一味に聞く、ストック評。

――――えっとその……そんなに?


 また別のある日。



「はい」


「はい。……はい?」



 ボクらはまた煮詰まっていた。


 形状変更によるエネルギー効率の改善はなった。最高だぜダリア。


 だが作成可能と見込めるのは、小型神器船までだった。



 しょうがないので、小型神器船製造に着手した。


 予算とって、前に見つけたいい感じの造船会社と作り始めている。



 小型ができれば、まぁプレゼンテーションはできる。


 最悪、こいつだけでも戦略兵器級だ。コンセプトに沿った運用はできる。



 だが研究所ができない。ボクらがピンチだ。


 どこで研究しろっていうんだ。


 航行するだけなら小型でも10数人いけるが、さすがに小さすぎる。



 ストックと二人で考えているものの、出てくるアイディアは別のブレイクスルーばかり。


 神器船大型化の構想につながらない。


 もう建造場も決まってて、人の募集も始まってるのに。



 これは非常にやばい。


 工材の用意に当初予定通り手間取っているので、まだ時間はある。


 だが、実は工材作成にブレイクスルーがあって、予定が前倒しになりそうなのだ。



 完全に煮詰まった。


 あとは大魔導師ダリア様頼みだ。早く来い。あと三日が待ち遠しい。



 しょうがないので休憩しようとなった、夕暮れ時。


 聖域ユリシーズのロイド邸の、ダイニングキッチンでぐったりしている。


 窓から差す低めの陽光がちょっと暑い。冷たい飲み物と菓子が、おかげでとてもおいしい。



 そうして、煮詰まったボクの唐突なコーナーが始まった。



「『ストックは無理。絶対に無理』との回答だった」



 ストックが呆けた顔をしている。



「別に意趣返しではないんだよストック。


 ちょっと気になってさ。


 『ストックはハイディの何がそんなにいいんだ?』って言われたんだろ?」


「ああ、言われた」


「ダリアもマリーも、君にはまったく色目を使わないじゃないか。


 全然興味がなさそうだ。


 あの二人、普通に女性には目がいくし、対象年齢もそれなりに幅広い。


 ダリアは割と子供好きってのもあるけどな?」


「そうだったのか」



 たまに幼子相手に危険な目をしているのは、友の名誉のために黙っておいてやろう。


 マリーには思いっきりばれているようなので、たぶんからかわれている。


 罰は受けているということで、大目に見てあげてほしい。



 名前を挙げた二人は、同性愛者だ。女性を好む。


 正直、ストックは女性から見て素敵な女性、という容姿、中身だと思うんだボクは。


 ロイド家の侍従には、ストックファンクラブができてると確信している。すごい好かれてる。



 ロイド家はいろんなとこに屋敷持ってるけど、どの屋敷に行っても丁寧にお世話されるんだよストック。


 ご令嬢だから当然といえばそうなんだけど、ねぇ。その熱意が違うというか。


 ベルねぇがギンナの世話してるのは見たことあって、まぁあれほどではないんだけど。



 明らかに業務に対する熱量を越えている。


 ボクが世話を譲るほど、と言えば伝わるか?


 意地をはると争いになる。それは望ましくない。



 そんなストックが、ボクの友達からは興味を向けられてないのか?


 というささやかな疑問でインタビューしてみた。


 面白かったので、披露してみようとなったのだ。



 ボクの頭は茹だっていた。


 なお結論としては「ヤバイ。興味とか向けたらまずい」という認識ゆえのもののようだ。


 では詳細をお聞きいただこう。



 腕輪を六つ、取り出した。



「まぁ120分とは言わない。聞いていけストック」


「白旗を上げておこう。もう好きにしてくれ」



 その目は、自分もやられると確信していた目だな?


 いい子だストック。


 では現実を聞かせてやろう。



「ではまずこちら。ファイア大公家令嬢専属侍従から」



 そういや言ってなかったけど、異例のスピード出世おめでとうベルねぇ。


 見習いがすぐとれて、あっという間にギンナの専属になったそうだ。



 腕輪を回して、カチッとな。



『え、はい?これまたやるの?はぁ、今度は……えええええええ!?


 すすっすうっすすっすす、ストック様の!?


 だ、ダメだよハイディそれは聞いちゃ!!


 え、ダメだったらダメ。だめぇ……。


 はぇ!?ギンナ様とぉ!?ひぃぃぃ!!


 んぐぅぅぅぅぅぅ、ギンナ様!!


 っはぁ、はぁ。もうむりぃ。ギンナ様たすけてぇ』



 なおこの後、ベルねぇはギンナに泣きついて頭をよしよしされていた。


 ギンナはちょっと複雑そうなお顔をしていた。



「流れは前回の君がやったのと同じだ。


 『ストックを恋人にできるか?』『特定の相手と比べてどうか?』


 という二段階で印象を聞いている」


「…………」


「…………」


「違うんだハイディ」


「聞こうか」


「お前が敬愛しているようだからと、私も仲良くなろうと思ってな?


 メリアがすごい勢いで各種のことを学んでいるのを、ベルが気に病んでいたと知って。


 ちょっとこう、手ほどきを」


「手取り足取り行ったと」


「……………………はい」



 その結果、思い出すだけで引きずり込まれそうな、名状しがたいアレな体験をしてしまったと。


 ストックのあれは、ほんとに厳しいけど優しくて丁寧で。


 見目のよい姿がしょっちゅう目に入るし、いい匂いもするしで、前の時間のボクも集中するのが大変だった。



 先のファンクラブの侍従たちが受けたら、卒倒間違いなしだな。



「やってもいいけど、責任とれるのか?」


「とれません」


「じゃあ今度、ほどほどに教えるやり方、勉強しようか」


「…………はい。お願いします」



 ストックが素直かわいい。


次の投稿に続きます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

――――――――――――――――

幻想ロック~転生聖女は人に戻りたい~(クリックでページに跳びます) 

百合冒険短編

――――――――――――――――

残機令嬢は鬼子爵様に愛されたい(クリックでページに跳びます) 

連載追放令嬢溺愛キノコです。
――――――――――――――――
― 新着の感想 ―
[一言] やっぱマリー好きだわなあ。ダリアに出会ってなかったらハイディに向いてそうだし
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ