C-5.同。~最後にお土産を持って~
~~~~ひたすら食べてる。幸せ過ぎる。
(注意喚起)
本話と次話はR15らしい話です。
苦手な方はご注意ください。
「また来てくれよな、お嬢ちゃんたち!」
見送ってくれた店主に、手を振る。
両手いっぱいに、袋に入ったおにぎりを持って。
笹包みにそれぞれが入れられていて、さらに紙袋で渡された。
この袋、いいな?お弁当屋さんだということだから、ここも工夫があるのか?
しっとりしたものが入っているのに、安定感がある。
結構重いんだけど、破れる気配もない。持ち手もついてて、頑丈だ。
「至福の時間だった」
「工場をぜひ誘致しよう」
「そうしよう」
力強く頷き合った。
ダリアも満足げに頷いている。
「今日は二人とも、宿帰んの?」
「ん。お土産もいっぱいだしね。
明日王城遊びにいっていい?」
「離宮脇の工場にいるから、直接来ていいわよ。
話通しておくから」
そりゃあありがたい。
工場ってか作業場ってか、ダリアが自分用に持ってるとこがあるんだよ。
離宮内でも作業はできるんだが、大物を扱う――例えば神器車を弄るときなんかに使う。
話しながら、なんか作業できるかな。
「よっしゃ。何か弄りながら相談するか。
ああ、まずはマリーの神器、聖人からかな。
調子はど?」
「すこぶるいいですよ?
というか私、今まであんないい神器使ったことないので」
あー……がらくたすれすれを使ってたからなぁ。
マリーはその特技の関係上、本数をいっぱい使うんだけど。
一つ一つはそこまでの代物じゃないんだよね。
たぶん、オーバードライブすると一発で折れただろう。
「ベースのフェニックスが最高級品だったからな……。
使いにくいとかはないのか?マリー」
「ないです。ああでも、まだあんまり全力で振ってないので」
「じゃあ今度またダンジョン行こか。
イスターン周辺はないから、王国来た時でもいいし」
「次は洞窟らしいところがいいですねぇ」
「シャドウの近くで、まだ行ったことがないところにしようか。
また案内しよう」
「楽しみにしてますね、ストック」
マリーが素直に楽しそうだ。
この人見知り全開が自然にしてると、何かこう、遠くに来た感があるなぁ。
まぁそれだけ、ダリアとの暮らしがいい刺激になっているんだろう。
それまでの過酷な道の分、穏やかに過ごせているといいな。
そうしてボクらは分かれ。
宿のベッドで、薄着で荒い息をするボクとストック。
……おにぎり食べてるうちにだね。
こう、ついてる米粒のひょいぱく競争が始まりまして。
まぁ買ったお握りは食べきっちゃったわけですが。
もう何もついてなくて、上気して――滑らかなストックの頬を撫でる。
「ん……」
素直ストックになっちゃった。かわいい。
前にプリンを食べさせ合ってから、たびたびこういうストックを見られるようになった。
少し甘えたような、普通の女の子のストック。
ボクだけを見ている――綺麗な子。
いつだったか。ちょっと裾をめくって見せるだけで、ストックは全力で飛びのいていたし。
もっと迫ろうとしたらすごい動揺してて。
まぁそれはたぶん――ボクに嫌われるのが怖かったのだろうけど。
今もその基本は変わってない。
この子、淑女だからねぇ。やらしいことへの耐性はまったくない。
すごいむっつりなのに。ボクはそこがいいのに。
なので油断して素直になってるストックは、言っちゃ悪いがお楽しみどころだ。
ボクの拙い誘惑に、ちゃんと応えてくれる。
今だけは、君のかわいさを存分に味わえる。
……………………。
五つの誕生日に、自分の変態性を理解してからというもの。
ボクは自身で思う以上に、ストックに対して前のめりだ。
露骨な表現や行動は避けている。
愛も囁かない。口もつけない。
今ならそのギリギリが――憚ることなく、存分に味わえる。
想像するだけで、背筋を甘い痺れが駆け抜ける。
ストックが相手じゃなかったら、怖気が抜けてくとこなんだけど。
甘い痺れが後から後から湧いて来て……頬を撫でる手先まで、伝わってしまいそう。
「……?ハイディ?」
いけね、ちょっとばれた。
ん……ならばせっかくだし、ちょっとおねだりしようかな。
身を起こして。
ストックも起きたので、掛け布団をはいで。
枕に頭を乗せて、真ん中にでーんと仰向けに横になる。
「ね、ストック。ちょっとこっち来て?」
次投稿をもって、本話は完了です。




