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【完結】逆行した幼女と令嬢は車で旅に出る~ボクは4歳で攻略されたので、乙女ゲーや王子たちは今更来てももう遅い~  作者: れとると
第一章幕間.聖暦1083年夏~1086年春-二人が意味もなくいちゃつく日々-
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C-3.同。~麺の二:パスタ各種盛り合わせ。ピザ、肉魚料理を添えて~

~~~~仕事の話はもう終わり。ここでは、味わうことこそ礼儀だ。


「ありがとうございました~!!」



 元気の良い声で送り出された。



「お、ちょうどよかったですね」


「やっと出て来たわね……」


「三分目といったところだが、味わいつくしたからな」


「堪能したよ。ご馳走様。いい店だった」


「次行くわよ。私とマリーはデザートだけね」


「了解。塩油だっけ?」


「ええ、塩油麺(パスタ)よ。


 ラーメン屋ほど食べやすくはないけど、各種食べやすい方の店を選んだわ」



 てくてく歩く。


 中央の五番街だったら、確か表に人気の店があったような。そこかなぁ?



「ああ、こっちよ。裏を行くわ」



 五番街に差し掛かったところで、大通りから少しそれた。


 日陰だけど道幅も狭すぎず、特に危なさを感じない裏通りだ。


 健全な店がいくつも看板を出して……なるほど。そういう飲食通りなのか。



「ここよここ」



 何かレンガ造りの、古い佇まいの店だ。


 ん?でもいいにおいするな?


「平焼き……ピザが売りなんだけどね。


 パスタも絶品よ」



 ほほぅ。


 ストックと視線を交わす。


 おなかはもうだいぶ空いてきたぜ。



 ダリアが扉を開けて先に入り、マリーが続く。


 ボクらも中へ入った。



 先の店と同様に、砂落としをし、手を洗わせてもらう。



 店内は落ち着いた調度、そして明り。


 昼だというのに、ディナーのように雰囲気がいい。



 給仕の人が出て来て、ダリアを先導していく。


 まばらな客の合間を縫うように、奥のテーブル席に案内された。



「サレス様、本日はいかがなさいますか?」


「この二人に片っ端から。


 私らは冷菓子をいくらかお願いね」


「畏まりました」



 さっと給仕の方が下がっていく。



 確かに、先の店のおすすめもかなりのものだった。


 その後幾種類か試させてもらったが、あそこはあの麺が一番だったな。


 ダリアの舌は確かだ。ここも楽しめそうだな。



「せっかくだから聞くけど。ほかに問題は起きてないの?」


「ん。まぁ大型化だけだよ。ああマリー、今度オーダー聞くからね」


「やった。私の神器車ですねっ」


「マリーの場合、かなり盛り込めるはずだ。


 思いつく限りつけてやるから、遠慮なく言ってほしい」


「ほんとですかストック!?


 私結構、クルマにはこだわり強めですよ?」


「ハイディからも聞いたよ。


 ギミックも好きだが、正統なところにこだわりがあるとな。


 ならハイディ向けのアッパーバージョンと考えればいい。


 私に任せてほしい」


「んっんー。期待できそうですねぇ。


 そういえばストック、ヘタレは卒業できそうですか?」



 ストックがめっちゃ吹いた。


 何も口に含んでないときでよかった。



「今すごい振り方したねぇマリー……どゆこと?」


「えぇ~。前にそうだもご」



 すごい勢いでストックがマリーの口を塞いだ。



「マリー。それは言わないでくれ」


「んぷ。しょうがないですねぇ」



 マリーがめっちゃによによしている。


 そしてダリアがご機嫌斜めだ。


 別にとめねーから二人でイチャイチャしてろ。



 いや止めるわ。ここ人前だ。


 話し変えておくか。



「ダリア。正直大型化はかなり詰まってるんだ。


 さっきの形についてはさっそく試してみるけど」


「こっちも本格的に加わったほうがいいわね。


 来月、一度行くわ。見せてもらえる?」


「資料もまとめておくよ。


 こっちはもういいの?」


「イアベトゥスを紹介できたから、連邦の準備は終わり。


 そういう意味でも、私が王国に行くのは意味が大きい」


「これから共同開発だ、って明示か。


 失敗できないねぇ」


「あんたは失敗しないでしょう。


 別のものをついでに作ってくるだけで」


「違いない。ハイディだしな」


「ハイディならやりますねぇ」



 なんでや。



 お。なんかボクとストックのとこに皿来た。


 けどパスタじゃないな?


「前菜?」


「それで舌を慣らすのよ。


 そこから時計回りに食べるといいわ」



 ほほぅ。


 確かに、香のものが多く、しかもこれは。


 油がまた、独特だ。確か。



橄欖(カンラン)だっけ?」


「そうとも言うわね。こっちではそのまんま油実って言うけど」



 そうなんか。



「いいな。意外にこってりしているが、くどくない」


「塩気がよく合うね……おいしい」



 忠告通り、いくつもの小さな前菜盛りを時計回りに一つずつ食べていく。


 フォークで一口に食べやすくなっていて、いい。


 香りも複雑だが、この小さいのにずいぶん手間がかかった調理がされている。



 味以上に、食感が特徴的だ。


 柔らかく滑らかだったり。


 固くパリッとしていたり。



 様々な形で、舌を楽しませてくれる。


 いや、舌だけでなく。


 五感すべてで味わえと言わんばかりだ。



 そして食べ終わるころに――来た。



「少しずつ味わえ、ということか」


「いやストック、これ一つ一つ結構あるよ」



 色とりどりのパスタが、一つの皿に盛られてきた。


 少し捻り込むように盛り付けてあり、高さもある。


 この一つがほぼほぼ一人前あるだろう。



 それが都合、8つほど。


 まずは小手調べ、かな。



「ふむ。赤実がたまらんな」


「たまに辛みが不意打ちしてくるのがいいね」



 赤実。小麦ベースの白汁たれ。ホワイトソースっていうんだっけ?


 香味、きのこ、魚介。冷製の野菜もりもり、甘めなのまで出てきた。


 素直にうまい。飽きない。こってりしてるから、すぐ飽きそうなものだが。



 たぶん、微妙にどれもこれも油が違う。



 実の品種……じゃないな。それぞれ何か漬け込んだ油だな?


 匂葱、赤鉈という辛み、油実そのものを長く漬けたと思しきものもあるな?


 魚介、鳥。水藻かな?少しずつの驚きで、フォークが止まらなくなる。



 気づいたら……四皿目にかかっていた。


 平焼きも出て来て、カットしてストックと分けながら食べる。


 合間にさしはさむのにいい。絶妙な満足感。満たされず、しかし不満はなく。



 おっと、このパスタから出て来た加工肉。魔物のやつだな?


 複雑で……苦み、酸味、甘味がうまい具合に絡まっている。


 贅沢だ。ほんの少ししか入ってないからこそ、アクセントになる。



 別の家畜の加工肉に混ざってた。やるな。



 キノコも種類が豊富に出てくる。


 王国では流通が少ないんだよな……栽培に魔力や精霊力のブーストがかからないらしくて。


 乳製品もふんだんに使われていて……チーズは今食べたの何種類目だ?7……いや、8だな。



 気づいたらダリアとマリーはいなくなっていた。


 適当に冷菓子を食べ、そのまま外に出たらしい。


 だがこちらは止まらない。



 おっと、ここで肉料理と魚料理出て来たぞ!?


 挑発的なサーブじゃないか。


 ここまで食わせておいて、さらに食べさせる自信があると?



 素晴らしい。受けて立とう。


 ボクは鳥の丸焼きを、ストックは魚の丸焼きを切り取りにかかった。


次の投稿に続きます。


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― 新着の感想 ―
[一言] 讃岐うどん系か・・・香川はうまいところは基本昼には麺がなくなるからなあ(3年ほど住んでたが麺類が苦手であんま食べなかったけど
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