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【完結】逆行した幼女と令嬢は車で旅に出る~ボクは4歳で攻略されたので、乙女ゲーや王子たちは今更来てももう遅い~  作者: れとると
第一章幕間.聖暦1083年夏~1086年春-二人が意味もなくいちゃつく日々-
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C.女四人、連邦麺道を往く。

――――よし。新しい神器船に、麺街を作ろう。


 イスターン連邦中央の、ミクレス王国。


 連邦と王国両方の首都にあたる、都市イスターン。


 3×3のマス状に区画整備された四角い、しかし大きな都市だ。



 ギボスという大きな河のほとりにあり、その威容というか異様を眺めることもできる。


 河っつーか水の山っつーか。



 北から流れて来た水が、小高い山の山頂に登る。実はここ、結構標高がある。


 それはもう、街中から見て、その水の流れが目に見えるくらいには。



 水は山頂を越えて、そのまま南へ流れる。


 山頂は水の流れる中央部が低く、その両脇に高い尖塔のような頂上が二つある。角みたい。



 長年かけて少しずつ山は削れているらしいが、思ったより低くなってないそうな。


 結構な水量と水流だと思うんだが、不思議な山というか河だなぁ。


 そもなんで遡ってるんだよ。重力に従え。



 ボクとストックはサンライトビリオンに乗って、その首都にやってきた。


 ビオラ様も連邦には来てるんだが、あの人は別のクルマでもっと北に行ってる。


 イアベトゥスっていう、連邦北端の都市だ。そっちに神器船建造にいい場所があるらしい。



 連邦には冒険者ギルドなんて便利なものはないので、駐車場付き宿探しは苦労する。


 いや、王国でも駐車場が完備なとこはそう多くないらしいがな?


 幸いにも今回は早々に見つかったので、宿をとってクルマを停めて来た。



 仕事なら王城……離宮に招かれるんだが、今回のボクたち二人は休暇だ。



「あ、いたいた!」



 おっと、先に見つかったか。さすがマリー。



 通りに出て、さて西端にある王城を訪ねるかと相談していたところ。


 白い外套姿の二人組が、こちらにやってきた。


 ボクらも同じ格好だ。連邦の河よりこっち……「中寄り」地域はよく砂が飛んでくる。



 連邦は、かつて魔境だったところを奪還してできたところだ。


 しかし、その元魔境の大部分は、魔力のない砂漠になってしまっているという。



「マリー。元気そうだな」


「ストックも!久しぶり、ハイディ」


「先月来たばっかなんじゃが?


 久しぶり、マリー。ダリアも」


「ええ」



 外套のフードから覗く顔は、魔女姫と予言の子。


 ボクの友達の、ダリアとマリーだ。



 マリーは今、ダリアの元で一緒に暮らしている。


 この子、聖国人なんだけど、行く当てないんだよね。



 で。ボクらは神器船建造絡みで、連邦にはもう何度か来た。


 ダリア、マリーも、それに関係している。


 まぁ今日はそっちの用事はなくて、先の通りただ遊びに来たんだよ。所長送りついでに。



 来るたびにだいたい仕事で自由に回れないから、一度くらい観光しようとなっていてね。


 今日は二人に、ちょっと飯処を案内してもらう予定なのだ。



 ……いや、今更思ったけどさ。


 ダリアは王女なんだから、街中の飯屋案内はなんか違くない??



「じゃあ早速だけど行きましょうか。


 通好みから入りやすいところまで。より取り見取りだから。


 一度七番街まで行って、そのまま斜めに三番街まで突っ切るわよ」


「はぁ。街ごとに特色があるんだっけ?」


「言うほどじゃないけどね。


 まぁ油麺(ラーメン)塩油麺(パスタ)太麺(うどん)の順かしら」


「分かった。払いはこちらで持つし、そちらは好きなように食べてくれ。


 我々は気になるものをそれなりに食べて行く」


「OK。連邦貨幣は?ないと支払いひと手間かかるけど」


「十分用意してきた」


「わかった。案内するわね」



 腹がなりそうなのを、気合いで抑え込む。


 今日はイスターン連邦、有名どころの麺巡りツアーだ。





「へいらっしゃい」



 ダリアが引き戸を開けると、元気な声が聞こえた。


 いい感じに油のにおいがするなぁ。


 玄関入ってすぐの砂落とし場で服を十分はたいてから、店内へ入る。



 空調はちゃんと効いてる。素晴らしい。


 外はカラッとしてるけど、あっついからねぇ。


 気持ちいいわ。



「あれ、ダリアちゃん。そっちは?」


「友達。マリーどうする?」


「ここは私もで」


「じゃあテツさん。いつもの四人前」


「そっちの嬢ちゃんたちは大丈夫かい?」


「この子たちの方が、私らの何倍も食べるのよ。平気」


「そりゃいいね。席は好きにな。待っててくれ」



 …………王女、手慣れてるんだが。


 むしろ明らかに常連だ。マリーも連れ回されてる感があるし。


 デートで来るとこ??ここ。違くない???



 手も洗わせていただいてから、カウンター席の奥まったところに、四人座る。


 一番奥がストック、次がボク、ダリア、マリーの順で店の中央よりとなる。


 タンブラーが積まれていたので、水をポットから注いで他三人に回す。



 砂の国ではあるんだが……連邦はちょっと治水を頑張りすぎたらしい。


 水の価格が死ぬほどやすい。今のところ、有料のところは聞いたことがない。


 まぁだいたいの街がギボス沿いだから、っていう理由もあるようだが。



 王国でも、河から遠いところの内陸寄りでは、飲料水は魔道具頼みなのでそれなりにする。


 果実酒の方が安いくらいだな。


 地下水は山寄りなら豊富にあるんだけど、ところによっては全然ないらしい。



 ちなみに飲料水事情がいいのは、西の国が主で、東の方は少し勝手が違うそうだ。


 質が違うんだと。コーヒーはいいが、お茶の味がかなり変わるそうな。


 まぁコーヒーはそもそも、東の聖国の一部地域でしか栽培されてないけどねぇ。



 そういや、地球とこっちで明らかに同じなのに、名前が違うものがある。


 黄土根と芋……じゃがいもとか。紅水魚ってのがあるけど、あれは鮭っていうし。


 なお連邦の特に西では普通に鮭というらしいよ?よくわからんねぇ。



 で、コーヒーはそのままなんだよな。


 こうした、名称の一致を見ることは……ボクの知る限りでは少ない。


 ひょっとすると、コーヒー自体がゲームに出てないから、かもしれないなぁ。



 黄土根や紅水魚はゲームに登場している。


 おかげで変な感じだ。


 芋と鮭じゃダメだったんか。ダメなんか。



「水が相変わらずうまいな、連邦は……」


「王国だって水はおいしいんじゃないの?」


「悪くはない。ただあまり飲まないな。


 タダで出るところはないし、それなら果実を混ぜてあるほうがうまい」


「甘くないのが飲みたいときはどうすんのよ?」


「炭酸」


「あー」



 ボクの右と左で会話が進む。


 ダリアとストックは、割と仲良しさんだ。


 一方、マリーはたまにストックに対して毒が出るので、ほどほどの間柄になってる。



 まぁ小心者のマリーが気安くしてるから、馴染んでる方ではあるんだけど。


次の投稿に続きます。


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[一言] まて姫ってちゃんと認識されてるんかいwww。そして熱いものよく食えるなあ(猫舌 ちなみにうちの弟は箸の持ち方がおかしいはずなのになぜか持てます(甥っ子姪っ子達にお父さんの持ち方変とたびたび言…
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