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【完結】逆行した幼女と令嬢は車で旅に出る~ボクは4歳で攻略されたので、乙女ゲーや王子たちは今更来てももう遅い~  作者: れとると
第一章幕間.聖暦1083年夏~1086年春-二人が意味もなくいちゃつく日々-
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B.ストックの悪ふざけ:ハイディ一味に聞く、ハイディ評。

――――なんだこの……なに?

 ある日。



「結論から言うと」


「なんの話かさっぱり分からないぞストック。


 どうぞ」



 ボクらは煮詰まっていた。


 どう計算しても、大きくした場合の総神器機構のエネルギー出力の減衰が高すぎる。


 車両はOKだが、かなり小さい神器船がギリギリどうかというところだ。



 ストックと二人で考えているものの、出てくるアイディアは小粒なのまで。


 ブレイクスルーにつながらない。


 だがオーダーは中型神器船だ。ここは突破しないとまずい。



 そもそも、研究所が作れないとなってしまう。大ピンチだ。



 しょうがないので休憩しようとなった、昼下がり。


 聖域ドーンのロイド邸、二階のいい感じの部屋でくつろいでいる。


 陽光も柔らかいし、これバルコニーに出てもいいかなぁ。



 そんなことを思っていたところに、煮詰まったストックの唐突なコーナーが始まった。



「『ハイディは無理。無理寄りの無理』との回答だった」



 吹いた。


 お茶ちょっと含んでたから、危なかった。



「何の話だよ」



 突っ込んでから、ちゃんと一口飲む。


 次のやばい発言の前に、飲んでおきたい。



「君の友達に、聞いて回ったんだよ。


 そのものずばり。


 『ハイディは恋人にできるか?』」


「ブフォ」



 ダメだった。間に合わなかった。



 淑女にあるまじき吹き方をした。


 そしてむせた。


 体をくの字に曲げて咳き込む。



 背中さすってくれるのきもちぃ……ではなくてな?



「人の友達になんてこと聞くんだ。


 しかも君が聞くのかよ」


「私以外が聞いて回ったら、普通にこじれると思うが?」


「それはそうだろうけどさー。


 なんだ、結構前に言ってたが、気になってんのか?


 実は良い仲なんじゃないのかー?って。


 あり得んだろ」


「ほっほーぅ」



 なんだそのボクみたいな反応の仕方は。


 おい、なんだ今取り出したじゃらっとしたのは。


 録音の腕輪じゃないか。しかも六つ。



 え。ほんとに全員に聞いてきたの?


 ばかなのストック?



「どのくらい録音できるのか?と思ってな。


 せっかくだから確認しつつ、音声をとってきた」



 おばかだったわ。


 ボクに聞けやそんなのっていうか仕様書渡したろうが。


 フル充填で120分だっつーの。



「ではまずこちら。ファイア大公家侍従の方から」



 なんか勝手に進めてくし。ベルねぇか?



『え、はい?ええ。あ、もうこれでいいんですか?


 ――――あ、はい。は?ストック様、だいじょうぶ、ですか??


 はぁ。まぁそれなら。ハイディはすごくいい子ですけど、恋人とか、ちょっと……。


 えっと、正直に言うとだいぶ無理な方です。


 何でもできちゃうし、やっちゃうし。


 その、あんまり近くにいると疲れそう、というか。


 わ、私がほら侍従ですので!なのにこう、何やっても上を行かれるし……。


 私の方がお姉さんだと思ってたのに。実はずっと年上ですし。


 え、はい?ギンナ様と、比べて??はぁ。


 ギンナ様はお仕え甲斐があります。


 とても……とても尽くしていたくなる。どれだけやっても、満ち足りません。


 ハイディにはそうはならないですね。


 あの子はそう……やっぱり友達がいいです』


「以上だ」


「…………」


「…………」



 吹かされるのを警戒していたが、それはなかったな。


 お茶を静かに飲む。



「何かコメントを」


「ボクに求めるんかい!?


 ベルねぇはそりゃそうやろ。


 謙遜してるけど、あの人は相当できるし。


 上を行くのは単純に経験年数の差で、前は逆だったからな。


 ずっと一緒にいたら、そら疲れるさ。お互いに」


「コメントありがとうございました」



 何このノリ。



「続きまして。コンクパール公爵家ご令嬢」



 いやミスティはそりゃ無理じゃろ。



『――――ハイディを恋人に??


 ……ダメですね。私、ハイディに溺れちゃいます』


「ブーッ!」



 めっちゃ吹いた。淑女みまでどっか飛んでっちゃったよ。


 自分でハンカチ取り出して、テーブルとかを拭いていく。


 その間にも、音声は続く。



『クルマの趣味は違いますけど、それは好みくらいの話で。


 話も合うし、一緒に冒険出るの、楽しそうです。


 でもきっと、メリア以上に私を甘やかしてくれる。


 あれはダメ……ダメです。ハイディがいれば、ほかはいらないってなっちゃいそうで。


 ちょっとかっこよすぎるんですよ、あの子。


 私では扱い切れない。きっと、ダメにしてしまう。


 はぁ、メリアと比べて?


 メリアはいいんですよ。私、全力で溺れる気ですし。


 あの子とはそうなっても、ダメになりません。


 むしろそのくらいでちょうどいい関係なんです。


 ハイディとは、もっと楽しく友達したいですね。


 刺激的で、一緒に居てとてもわくわくします』


「以上だ」


「…………」


「…………」


「コメントをどうぞ」


「ミスティはだいたいが抜けてるから、世話好きをぶち込むと、まぁそうなる。


 長い年月でも自己を失わない、自立した人だからね。


 自分を律した、そういう意見になるんじゃろ」


「コメントありがとうございました」



 なんか雲行き怪しくなってきたんだが。


 続けて大丈夫なのか?これ。



「続きまして。聖国出身の女性」


『ハイディですか?大好きですよ』


「ブフォゥォ」



 もう、くちに、なにか含むの、やめよう。



『でも絶対恋人にはならないです。


 幸福に絡めとられて、何もできなくなる。


 私、ハイディを失望させたくないので。


 でも大好き。あの世界を睥睨するような目が、たまりません。


 あの子のためなら、何でもしますから、言ってくださいね?


 え?ダリアさんと比べて、ですか??変なこと聞きますねぇ。


 ダリアさんには、失望されてもいいので。ずっとずっと見ていたいです。


 あの人相手だと私、不思議と自分を晒すのが怖くない。


 ハイディは……まだちょっと怖いです。とても優しくして、くれそうで。


 そんなふうにはしないって、わかってます。嫌われることもないって。


 それでも、受け入れてもらえなかったら……生きていける気が、しません』


「以上だ」


「…………」


「…………」


「コメントをどうぞ」


「……ボク、この子に親代わりみたいに見られてるから。


 そう接するって、約束もしてるので」


「コメントありがとうございました」



 絶対違う湿度と糖度を感じる声だったが、忘れる。


 まぁ彼女がダリアを弄るときの比ではない。大丈夫だ。



「さて。ここまでのグルーピングがわかるかね?相棒」



 なんか唐突に変なこと聞かれたんだが。


 グループ……。



「呪いの子ではない、こっちで会った子たち、か」


「つまり次からが本番です」



 え?


 その構えた腕輪は誰の声が入ってるんだね???

次投稿をもって、本話は完了です。


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[一言] ストックはあれよね男性陣が隣にいてもストックの方がかっこいいしモテる系よね?マリー好き
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