A-6.同。~練習を……しよう。いずれその関係に、なるための~
~~~~嬉しい。君が、嫌じゃない。そばに、いられる。ストック――――もっと。
ストックの両の腕が、遠慮がちに、ボクの背をかき抱く。
こら。そうじゃないだろー?
「ストック」
「なに?」
「さわって」
「っ」
「好きなんでしょ?そこ。
さわって、確かめて。
――――ボクが、君を受け入れられるかを」
「っ……うん」
彼女の手が、ゆっくりと降りて行く。
背中を撫でるように……少し脇へ。
ちょっとくすぐったいけど。
何度も尾てい骨付近から、へその横脇腹あたりを撫でる彼女に、身をゆだねる。
くびれそんなに好きか?というか今くびれてねぇだろ??幼児体型なめんな。
「滑らかで、いい……」
いいんかよ。
また息荒くなってきてるし。
そんなにいいものかな?と思い、同じように撫でようとする。
脇腹はくすぐったかろうから、お尻の上くらいを、こう、横に。
「~~~~っ!」
腕の中でめっちゃ悶えてる。
あんま動くなし。ダメなとこ触っちゃうから。
ちょっと膝を引いておく。危険だ。
決心したように、ストックの手が両方、さらに降りてくる。
ゆっくりと。指先で、確認するように。
それから……その手全体で掴むの、だいぶやらしいね?
固くて、触り心地なんてよくないと思うんだけど。
「形がたまらない……すてき」
いやいやいや?
確かに自分の尻はあまりじっくり見てないが、そうはならんやろ??
気分が乗ったのか、荒い息のままストックはボクの太ももを裏から、前も、横も。
そして内側も撫でだした。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……いぃ」
すごいお気に入りみたいだ。
いや、何の脂肪もついてないし、本気で何がいいんだよ。
思わず何となく、その頬に手を添えて。
「何ならすりすりしてみる?」
「!!!???」
めっちゃびっくりされた。
「いいよ。ちゃんと、嫌じゃない――なかった。
何だって受け入れてあげる。
ボクのこと、好きにしていいよ?」
すごい勢いで下がられた。
なんでや。
「しないの?」
首をぶんぶん振ってる。
大丈夫か?顔真っ赤だし、鼻血出したりしないよなぁ。
「………ざ」
「ん?」
「おひざを、かして」
はぁ。膝枕というやつか?
えっと、足を崩して。
んー……まぁ今はキュロット越しで勘弁してもらおう。薄手だし、よかろ。
「どうぞ」
カッとんできた。
そして躊躇いなくうつ伏せで飛び込んだ。
…………しようのないやつめ。
その髪や背を優しく撫でていく。
すごい喜びようだな……息めっちゃかかる。
固いと思うんだけど、ストックは大興奮ですりすりしておる。
せっかくなので、なんとなく首筋や耳を撫でる。
お。なんかストック、体びくってしたな。
耳裏、耳たぶあたりを、指で優しくゆっくりとこする。
彼女の両の腕がボクの腰に回り、思いっきり太ももに顔が押し付けられた。
なんかこれは……よかったのかな?
静かに耳をすりすりし、たまに頭を撫でる。
ボクは、ずっとやっててあげてもよかったんだけど……。
しばらくしたら、ストックがもぞもぞとボクの膝から離れた。
そしてベッドにぐったりと横に……あれ!?この子いつの間にか汗びっしょりやんけ!!
「だ、大丈夫ストック!?」
「てんごく……」
…………大丈夫そうだ。
至福のお顔をしておる。
でも……よかった。本当に。
まだ幼い頃合いだから、これで決まりではない。
しかし、ボクがストックとの身体的接触に嫌悪感がないのは、確かだ。
前も言ったかもしれないが、正直友達くらい親しい相手でも、怖気が走るんだよね。
これは、メリアに頭下げて確認させてもらった。
彼女も、同じこと気にしてたので。
手を握るのでも、言い知れぬ悪寒がしてダメだった。
なんだろうねあれ、どこからくるものなんだろう。
ノリ軽めにスキンシップとるくらいなら、まぁいいんだけど。
こう、糖度というか、湿度というか、そういうものが上がると途端にダメになる。
鳥肌まで立つとは思わなかった。
そしてまぁ。この通り。
ストックに対しては、大丈夫だということだ。
むしろその。ボクも気分はよかったかな?
たぶん、またやる……やっちゃうと思う。
練習だ、って言い訳して。
彼女を、誘惑する、ように。
「お風呂入ろっか。それ、さすがに汗かきすぎだよ」
「うん。……うん!?」
「大丈夫だから。一緒に」
「…………………………うん」
というわけで第二ラウンドだ。
ストックの手を引き、脱衣所へ。
よぉし。彼女の天国は続行だ。
ボクはこれでも髪とか洗うの、得意な方だぜ。やったらぁ。
でも。
ボクらの肌を互い以外に見せる気はないので。
この話は、これでおしまい。
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