A-5.同。~最後にデザートを添えて~
~~~~仕事押し付けたった。これで後は、建造に集中できる。
(注意喚起)
本話はR15らしい話です。
苦手な方はご注意ください。
ボクをお部屋のベッドに寝かせて。
ストックは何やら、ちょっとがっしりしたお盆を持ってきた。
お盆を布団の上に置いて、彼女はベッドの淵に座る。
仰向けのボクと、俯く君と。少し、瞳の赤い光が重なる。
…………何されちゃう流れなんでしょう、これ。
ふと見ると。
お盆の上には、涼やかな見た目の容器と――黄色い物体。
何かぷるぷるしている。
何だろう、あれ。何か目が離せない。
記憶にはない。でも、これ。
ひょっと、して。
思わず身を起そうとしたところ、ストックの手が優しくボクの肩を押さえた。
彼女がもう片方の手でスプーンを握り、その黄色い何かを一すくい。
半開きになる、ボクの、口へ――――
…………はっ。
あれ?意識飛んでた??
横を見ると、陶然とし、とても満足気に仰向けにベッドに転がるストックが。
頬が上気して……というか汗かいとるくらいやんけ。息も荒いし。
目も、潤んで。何かこう、やり切ったって顔しておる。
彼女の向こうには、小テーブルが……その上に、かなりの数の空の器が置かれている。
あの黄色いの、相当数用意してたのか?
ほんのり記憶が蘇る。
その黄色くて甘いのを、ひたすらあーんして食べさせられるボク。
口移しを迫ろうとしては自重し、最終的にボクからもあーんして食べさせられたストック。
ほっぺや口元にかけらがついているのを見ては、そのまま吸い付きそうになって自分を押さえ。
指で拭って食べたら、その指を物欲しそうに眺められたり。
…………。
この記憶は忘れよう。
「大丈夫か?ストック」
「ああ。至福の時間だった」
君、自重はするけど欲望には素直だよなぁ。
ちょっと服乱れてるから、直してあげる。
布を持ってきて、少し濡らし。
ストックの額、首筋、襟元の汗を拭いていく。
「ん……」
「きもちい?」
「うん……」
珍しく素直な反応だ。
髪を手で梳くと……ちょっと地肌のあたりがじっとりする。
まぁまだ早い時間だし、後でお風呂入れば大丈夫かな。
あれ?そういえば今日って、だいたいの使用人の方はお休みだよな。
となると。
「ストック」
「なに?」
「髪、今日はボクが洗ってあげようか?」
瞳が、揺れてる。
「……はい、でぃ」
「なに?」
「本当は、して、ほしい。けど……」
「うん」
「傷つけたく、ない。こわい」
なんだこの乙女なストックは。
かわいいか。
「うん。怖いね」
「ハイディ、も?」
「そうだよ。
君をちゃんと受け入れられるか、怖いんだ。
どんなことされても、いいって思ってるのに。
本当にそうされて、受け入れられるか、まだわからない」
少し指先で、彼女の唇に、触れる。
心が、落ち着いていく。
きっと大丈夫って、確信はあるけど。
君を傷つけるのは、嫌だよ。
「じゃあ……練習、する?」
れん、しゅう。
不思議な響きが、胸にすとんと落ちて。
思わず、重ねてきている服を少し脱いだ。まだ肌は出ないけど。
ストックも、同じくらいの薄着になって。
二人、ベッドの上に座ったまま。
膝立ちで。距離を、縮めて。
抱き合う。
寝巻の方が薄いから、もっと感触のわかる接触をしたことは……ある。
それでも。あんまりべったりと、ひしと抱き合うようなことは、なくて。
ボクらの隙間が、なくなっていく。
触れる面積が多くなるほどに。
背筋がぞくぞくして、粟立つようで。
なのに、どんどん心が、落ち着いていく。
こういうの……動悸が激しくなるんじゃ、ないのかな?
息も鼓動も、静かになっていく。
なのに、暖かい。
…………ストックの手が、背中だ。浅い抱きしめ方。
遠慮してるな?もうちょっと、しっかり回してほしいのに。
もっと距離を、つめる、には。
彼女の緩く開かれた膝の間に、自分の膝を押し進めていく。
「!」
ストックはちょっとびくってしたけど……嫌じゃないみたい。
淑女にあるまじき姿勢だね……でも、もっと。
詰めて……彼女の太ももの付け根や、鼠径部が、その固さや柔らかさが、少し、感じられる。
ん……ボクも、嫌じゃ、ない。
「ハイディ、大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ。
心地いい……」
「うん……」
次投稿をもって、本話は完了です。




