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20-2.同。~真相は飲んで語らうに限る~

~~~~ぐったりと帰還。しかし我々、関係性が複雑だな。

「それでダリア。結局理由はさっきのでいいのか?」


「…………それは」



 ストックが話を戻してくれたけど、ダリアが言い淀んでる。



「ダリア、ボクが言っていいってことか?」


「ハイディがなんでわかんのよ……なんだと思ったの?」


「人に呼び出された」


「……ほんと、なんでわかんのよ」


「あのダンジョン、半分観光気分で行けるとこなんだよ。


 あそこにいたブロンズの人たちみたいな、初心者が行くとこ。


 君みたいに、シルバータグを持ってる人の場合、依頼を受けようとしても断られるはずだ」



 マリーに見せるために、物見遊山でいけるとこにしたんだよ。


 大変なことになったけど。



 なお建屋の外にいた15人がブロンズの1~2ランクなのは、出て来てから見た。


 ダリアは今、タグを服の外に下げているので見えてる。シルバーの1だ。



「なのに君がダンジョンに入れたってことは、別種の依頼を受けたということになる。


 君を指名した依頼が入って、中で話そうとなっていたんだろう。


 ダンジョンは精霊の監視が効かないから、密談に最適らしいしな?」


「それだと、私が呼び出したって場合もあり得るけど?」


「そもそも外国人は依頼だせねーぞ?言われただろう」


「んぐ。そうだったわね」



 聞いてから時間経ってるから忘れたか、興味がなかったのか……。


 まぁ代行使って、できないわけじゃないんだけどね。


 ただ、外国人とつるんでダンジョンで間引きでもない何かをやってる人がいれば、国防がすっ飛んでくる。



 何せ冒険者ギルドは、エングレイブ王国国防省の下部組織だ。



「でも会えなかった、と」


「それはそうなんだけど……なんで?」


「ダンジョン内依頼を出せるのは、シルバータグからだ。


 危険だから、安全の保障ができる信頼のある人じゃないと、やっちゃダメってなってる」



 街の人は出せないのか?というと、出せない。


 彼らがダンジョンに用がある場合は、役所に話を持ってくことになってる。


 街中の依頼とかなら、誰でも冒険者ギルドに出せる。



 でも、ダンジョン内で何かさせるという依頼には、制限があるのだ。



「そうしないと、魔物の情報収集や威力偵察に、平民を使う貴族が出るから」



 貴族は基本的には、冒険者タグは持てない。なのでギルドで依頼を出すのも不可。


 先の通り、そこは国防省の管轄。


 国防省は家と関わりない貴族家の者が集うところなので、貴族本人はお断りだ。



 いろいろと例外的な措置はあるものの、タグを持てる貴族関係者は「この子実家継ぎません」という人間だけである。


 ストックの「実家の裏書」とはそういうこと。


 権力の後ろ盾、実力の保証の意味でもあるが、ギルドにいて問題ないという実家からの一筆でもある。



 なお、コンクパールは嫡子がいたはずなので、ミスティがタグ持っているのは問題ない。彼女もシルバーで、ランクは3だ。


 そうそう、ミスティは高ランクだが先の依頼については、他がブロンズでほぼ子どもなので、引率として同行OKだった。


 ミスティだけの場合は、あそこの間引きは受けられない。



 ボクがこの辺に詳しいのは、ストック不在のとき、ファイア大公邸で読んだ本のおかげ。


 昔、国防と貴族でこの辺は揉めたことがあるらしく、厳密な取り決めがあるんだと。



「あそこにいた人は全員がブロンズタグ。


 中に人やご遺体がなかったことは、マリーに確認してもらった。


 だから、君に依頼を出した人は結局あそこにいなかったんだな、と思った」


「あれそのためだったんですか!?」


「半分はね。で?内容は分からんの?ダリア」



 前の席でダリアが、諦めたように肩をすくめた。


 最初っから話せばいいのに、面倒なやつめ。


 大方、自分の事情だから巻き込めないとか思ってたんだろう?



「『連邦の未来について、話がある』ってことだったわ。


 胡散臭いにもほどがあったし、敵だと思ってぶっ飛ばしにいったのよ」


「そしたら魔物をけしかけられたと」


「いやいやいやいや、魔物をけしかけるのは無理でしょ?」


「チキンチキンは今はそれほどでもないが、後年討伐優先度が飛躍的に上がる。


 ストック、何でかわかる?あるいは知ってる?」


「いや知らないが……暴走させる方法が判明したんだな?」


「そゆこと。ボクは帝国関係者なら、知っててもおかしくないかなー?とは思ってる。


 あそこは工材廃棄品のテロ活用とか、魔物の生態を利用した罠とか、そういうのばっかり発見してる」


「「あー……」」



 帝国経験者二人から、げんなりした声が上がる。



「……そういうこと」


「まだ証拠はないにしろ、連中はドーンだって落としに来るんだ。


 連邦についても、そういう見立てで問題なかろ」


「というかさっきあんた、外国人は依頼出せないとか言ってなかった?なのに帝国なの??」


「間に王国人を挟むんだよ。もちろん怪しまれるけどね。できないわけじゃない。


 継続してそういうことすると国防に捕まる。


 けど、連邦の王女を暗殺してすぐ逃げるつもりとかなら、可能ではある」



 そんな怪しい話に乗る人がいるか?という気もするが。


 王国にだっていろんな人がいるだろうしな。無いとは切り捨てられない。



「とにかくダリアは、自分でぶっ飛ばしに行くのは止めること。


 万が一があると、捕まるの君だからな?」



 例の三警句だ。相手が王国人なら、ダリアが精霊に処される。



「ん……わかったわよ。でもほっとけないでしょ?こんなの」


「マリー、ここまでの情報でなんかわかる?」



 マリーの予言は、情報を集めて範囲を狭めると負担なくできる。


 とりあえず真相突き止めて?とかやると倒れてしまうが。



「それが……ダリアさんに依頼した人はわかります。


 でも、その先が。確かに誰かいるんですけど、わからなくて」



 おい、おおごとになったぞ。


 未来でも過去でも、知り得ないことを知ることができる、マリーの力でわからない?



 いや……思いついた。ある。可能性が、一つだけ。


 前は分からなかったけど、ミスティやメリアという実例を見たことで。


 『メアリー』という役の存在がはっきりしたことで。



 ボクの中でそれが、結びついた。



 ストックが、こちらを見ている。


 君も、これまでの話を踏襲して思い至ったのか。



「過去に『予言の子メアリー』が実際にやっている場合だけは、マリーの予言ではわからない、か」


「「は?」」


「この話、説明すんのやだなぁ……めんどくさい。


 前のことを知らないマリーも、がっつり巻き込んじゃうし。


 ボクとしちゃせめて、もう少し君がボクらを信じられるようになってからにしたいんだけど」


「私、ハイディの言うことなら信じます」



 …………んん?


 この人間不信の塊に何があったし??


 そしてダリアはすごい顔すんなや。



「あー……ならごめん、せめて飲んでからにさせて」


「「は?」」


「ああいや、さすがにアルコールは飲まないよ。


 辛いのとマッシュがほしいだけ。


 身綺麗にして、ごはん食べて。その後にしようよ」



 ほんとやってられないので、できればミスティに説明を代わってほしい。

次の投稿に続きます。


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